2016/08/18

Knit 9 カバーステッチがない場合のニットの裾処理 Part 2 家庭用ミシン2本針使用

カバーステッチミシンがない場合のニットの裾処理について、前回屏風だたみ縫いや伸縮糸使用による直線縫いについて書きました。
今回はもう一つのお勧めの方法を紹介したいと思います。

それは、家庭用ミシンの2本針を使用することです。


私もカバーステッチを購入する前は、何とか伸縮に耐えられる、2本の綺麗な平行ステッチができないものかと考えていました。
とりあえず伸縮に耐える直線縫いをしたい場合はレジロン・ウーリーの糸を使って直線縫いをすることをお勧めしますが、カバーステッチと同様の2本の平行な直線にしたい場合はこの方法がいいかもしれません。
結構伸びるニット生地を2本針で縫ってみたのですが、伸ばしてみても切れません。
スパン糸で縫っても伸びます。


一般的に日本ではこのやり方が推奨されていることはあまりありません。
ただし、海外のソーイング関連のページや、動画などでは、ニットソーイングに2本針(Twin Needle)を使えばいいと紹介しているのをたびたび見かけます。
日本で2本針を使ったニット縫製を奨めているのをあまり見かけないのは、一つには手芸店などで2本針が販売されておらず、日本における針のメインメーカーであるオルガンが、2本針をあまり大々的に売り出していないからだとも思われます。
ジャノメやブラザーなども純正2本針があるようですが、2㎜幅など狭い幅などのものが多く、4㎜や6㎜のカバーステッチの代わりになるような幅のものがあまりない事にも起因するのだと思います。

私も2本針はシュメッツのものを使っていますが、これもネットで購入しました。一度買って丁寧に扱えば、そんなに長い距離を縫うものではないので、結構持つと思います。

シュメッツも2本針は2㎜、2.5㎜、3㎜、4㎜、6㎜などがあるようですが、ニットの裾縫いには4㎜が一番お勧めです。4㎜は80/12号と、90/14号の2サイズがあります。2㎜、2.5㎜は12号、3㎜は14号、6㎜は16号のサイズしかありません。

カバーステッチのかわりにするには6㎜サイズもいいのですが、6㎜は16号しかありませんし、またジグザグのふり幅が5㎜という家庭用ミシンでは6㎜幅の2本針は使えません。
最近のミシンは7㎜以上のふり幅のものも結構ありますので、そういうミシンをお持ちであれば見た目を考えて6㎜のものを使うのもいいでしょうが、あまりふり幅が広いミシンは針板の穴が大きいので、ニット生地が食い込みやすくなるという難点もあります。4㎜のものが針のサイズも2種類あり、一番使いやすいのではないかと思います。

カバーステッチと同じく表側から縫う必要があり、縫うのが難しく感じるかもしれませんが、長めにカットしておいて、縫った後に裾や袖の余分な布を切る方法であれば、問題なく縫えるでしょう。

★2本針でニットをきれいに縫うには★
2本針はニット生地が針板に食い込みそうになったり、生地が伸びそうになるデメリットはあります。
さらに、2本の針の間が盛り上がったようになるという特性もあります。(生地の盛り上がりはカバーステッチでも多少は発生します。)

これらを回避するには、押え圧を緩めにして、上糸調子もやや緩めにして、手で生地の送りを助けてゆっくり縫うようにするといいでしょう。

送り幅をやや長め、3~3.5㎜くらいにした方がきれいに縫えます。

また、紙を下に敷いたら、布帛と同じように早く縫って行っても綺麗な直線で簡単に縫えます。直線も乱れなくビシッと揃いますし、2本の間の生地の盛り上がりも出来ません。
ただし、縫った後に紙を剥がしづらいのがデメリットです。2本の縫い目の間に紙が残るので、ピンセットなどで残った紙屑を取り除いていかなければならず結構手間になります。

簡単に縫えることを優先し紙をはがす手間を引き受けるか、紙を敷かないで、多少縫いにくくてもゆっくり手を添えながら曲がらないように縫うかが、悩みどころです。

なお、糸はレジロンで縫うとうまく縫えませんでした。
2本針を使うときは普通のスパン糸がいいです。

何枚縫うかわからないニット。さらに袖口や裾処理など特定の用途にしか使えないカバーステッチミシンに何万円もかけるのはなかなかできないものです。
今回紹介した家庭用2本針を使うか、レジロン・ウーリー糸で直線縫いするかで、カバーステッチミシンがなくてもそれなりの仕上がりにできると思うので、ニットの裾処理で困ったときは試してみてください。




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