2015/06/28

足踏みミシン、ベルトの取り付けと張り

購入した188U2はベルトがついていなかったので、TA(職業用)向けの革ベルトを購入しました。

足踏みの革ベルトは手芸店に行けば置いてあります。1500円程度です。
私はネットで購入したのでもう少し安く買えましたが、容易に手にすることができます。これは今でも足踏みを使っている人、放置していたものの復活させるために革ベルトを付け替える人がいるということの証でしょう。

届いた革ベルトを取り付けるために、封を解いてみましたが、はて、どうつけるのか説明がありませんでした。
ネットで調べてわかったの取り付けの流れは以下です。

1. 少し長めになっている革ベルトを車輪とプーリーにはわせて、長さを測り
2. 適当な長さに切る
3. キリか目打ちなどで穴をあけ
4. 金具を穴にいれる
5. 穴に通した金具をペンチで挟んで固定
6.ベルトを掛ける

ベルト取り付け前に足で踏みながら両手で引っ張っておくとベルトが長持ちするとか。
革を一度伸ばして、しならせておくことが大事なのでしょうか。

ベルトの取り付け自体初めてなので、やや戸惑う部分もありました。穴あけはやや手間取りましたが、取り付けは問題なくできました。

そして、実際に足踏みをすると針も動きました。

ただし、数か月して厚いものを縫おうとすると革がスリップしがちになることがありました。また縫製時に下糸巻き器がベルトにあたってしまうことも時々ありました。

取り付け時、短く切ってしまうとベルト自体が使えなくなるので、余裕をもったポイントでベルトを切ったからだと思います。やや慎重になり過ぎました。

運転操作自体にそれ程問題がなかったので、そのままにしていたのですが、革ベルトも伸びてきて、再度調整して取り付けることもあると聞いたので、より張りがでるように取り付け直しました。

張りが適度になってから運転も楽になりました。足踏みもしやすくなり、回転がよりスムーズになったような気がします。

貼り具合について表現は難しいですが、ベルトを指で押してみて少しだけしなるくらいがいいと思います。
簡単に手を添えただけで、ビヨーンとなるのはゆるいのだと思います。
あまり強く張りすぎるとベルトが切れやすくなるそうです。





2015/06/27

長年にわたるテーラーさんのお友達。購入ミシンNO.35 シンガー188U2

このミシン(シンガー188U2)は、職業用TA型のスタンダード機種、シンガー188の後継機です。

シンガー職業用ミシンには103型と言われる機種がこれより前に販売されていました。
103型は筐体がよりスリムでカーブがあり、繊細な感じのするものです。家庭用ミシンを横に長くしたような形です。

今でこそシンガーの103型職業用はジャノメ台湾工場のOEM提供をうけて製造販売されていますが、シンガー日鋼の宇都宮工場があった頃までは、長年188シリーズを製造してきました。

後期の188は、ブルーチャンピオンや188 Professional という名前で、今でも町のリフォーム屋さんなんかで使われているのを見かけることがあります。

188シリーズは何十年と製造されていましたが、根幹の構造はほぼ変わっておらず、安定した縫い目と耐久性で信頼感があり、長年テーラーの人にも愛用されてきた機種です。

私も以前、興味があって行ってみたアンティーク屋ともガラクタ屋ともつかない倉庫を改装したお店でこの機種が置かれているのを見つけ、足踏みならこういうミシンが欲しいと思っていました。

足踏みやテーブルに収納されたミシンはずっと欲しかったのですが、家には置く場所もないし、ずっと手を出さずにいました。幸い、置く場所を確保できたので買ってみることにしたのです。

カーブの少ないスクエアなボディで、家庭用足踏みよりも装飾が少なく、質実剛健な雰囲気が漂うミシン。

販売者の説明では、手廻しでは針が動くがベルトがついていないということでした。
手廻しで針が動くのなら、ベルトを付ければ何とかなると思い購入しました。

続きはまた次回。


2015/06/24

コンパクトミシン・三羽烏。

コンパクトミシンの中で、利便性と性能で信頼のおける質の高いミシンと言えば、
エルナ・ロータス、シンガー・モナミ、ジャガー・メイトの3シリーズだと私は思っています。

ミシンのハナシ1の時に購入・紹介したコンパクトミシンは山崎ミシンくらいです。
山崎ミシンは垂直釜という点を除いて現行他社のコンパクトミシンとそれ程変わりありません。
パワーも50W程度まで、ボディはプラスチック、高速運転時にガタツキの心配があるというのが現行販売されているものの特徴です。
また、コンパクトだからと言って、持ち運び時に便利なように持ち手ハンドルやカバーに工夫があるわけでもありません。
そういうこともあって、基本的にミシンはフルサイズの方がいいと思っています。

上にあげた3シリーズは持ち運ぶ事を想定して、、本体・ケースともに非常に考えられた作りになっています。
そのミシンならではの独自性があり、ボディや骨組みが金属製ながら持ち運んでも重くない、ポップでかわいい外観ながらも、パワーがあって縫い性能も高いのです。
そう言う意味でも私はこの3シリーズをコンパクト三羽烏と呼んでいます。

簡単にそれぞれの特徴を上げて比較してみましょう。

エルナ・ロータス elna Lotus,                         
 
 カバー一体型(蓮の花の花びらのように開く)
 水平釜、金属ボビン
 スイス製
 パワーがあり、スピードが出る。段差を乗り越えるBOX送りで
 厚地もOK

マイナス点
 釜が針の後ろにあり、返し縫いボタンやレバーがなく、ダイヤル
 なので面倒。
 ドロップフィード(送り歯ダウン)はなく、針板カバーで代用。
 模様選択時にふり幅ダイヤルを0に戻さないと選択できないなど
 操作面でやや手間がかかる。


シンガー・モナミ Singer Monami                       
 
 カバーはスライド式、カバーをつけても大きさは変わらず。
 水平釜プラスチックボビン
 フランス製オリジナルほか日本製など
 パワーは普通だが、糸締まりが良い。

マイナス点
 ドロップフィードなし。針板カバーで代用。
 一部の機種でプラスチックギアが経年で割れる不安がある。




ジャガー・メイト Jaguar mate                         

 エンボス加工のオシャレなカバーは全体を覆う形。
 半回転垂直釜。
 日本製。
 パワーもあるし、使いやすい。
 縫い模様も必要なものがそろっている。
 ドロップフィードあり。

マイナス点
 フリーアームにならない。
  (S-1など一部にフリーアーム可の機種もあるが)
 音がやや大き目。他の2機種に比べて振動を感じる。


サイズは、elna lotusが一番小さく、次がジャガーMate、シンガーmonamiはこの中では一番大き目です。

重さはmateもmonamiも同じくらいでしょうか。elna lotusはやはり一番軽く感じます。持ち運びしても苦にならないのはelna lotusです。

個人的には、一番使い勝手がいいと感じるのはジャガーmateです。
オーバーロック縫いが出来るのもいいですし。垂直釜なのも私の好みです。
また普通のソーイングをするには十分なパワーがあり。なおかつコンパクトで持ち運びも楽。フリーアームにならないのはやや痛いところですが、これを補ってもあまりあるくらいにレバーやフットコンなども使いやすくなっていますし、操作が簡単なのです。
ただし、どれが好きかと言われたら、Elna Lotusでしょうか。

2015/06/19

フランス製、ポップなミシン 購入ミシンNO.34 シンガー Mon ami 353

購入ミシンNO.33はジャガーMATEでした。
日本のメーカー、ジャガーが放ったコンパクトミシンの渾身の一作。

そしてNO.34はアメリカが世界に誇るミシンメーカー(だった)SINGERのコンパクトの代表作Mon Amiシリーズの第1号機と言われているもの、Mon ami 353。


このミシンはフランスで誕生したもので、各国によってペットネームが異なりますが、我が国では今でも変わらずシンガーのミシンシリーズ名としてMon amiが使われています。 シンガー日鋼時代から、ハッピーミシンに譲渡された現在まで変わらずに日本のシンガーで使われているこの名前。

フランス語で私の友達を意味するMon Ami(モナミ)。

その名のとおり、傍らの友となるように付けられた名前なのでしょう。
愛着の持てるとても可愛い雰囲気を漂わせています。

モナミシリーズで、この353の後継機、モナミ394はNo.27として既に紹介しました。
こちらの方は外観がよりアメリカのミシンメーカーらしいのですが、353はどこでも愛される大き目の花柄をモチーフにしたポップな外観です。マリメッコの有名な花柄ウニッコのようなおおぶりな模様でケースから取り出すとパっと華やぐ雰囲気です。
プーリー内側も同じ模様でアクセントになっています。

縫い模様の数やレバーの位置などは若干異なりますが、全体としてはボディやケースは394や他のmonami とほぼ同じ大きさです。

ただし、細かい部分では違いがいつくかあります。
上糸を上部に立てて置く353に対いて、394は背面についていて、横にスライドする形。
左が353上糸立て、右は394の背面上糸通し。

394は針が手前に向け斜めになっているスラント針仕様でしたが、こちらはは普通に垂直針ということ。
加えて、394はフリーアームになりますが、353はフリーアームになりません。
針板やすべり板なんかも若干形が違います。
左が353垂直針、右が394のスラント針(斜め針)
394と操作感や針の動きなどはほぼ同じなので、特に目新しい事はないのですが、どんな外観なのか気になっていたので、実際目の当たりにすることが出来てよかったというところです。


2015/06/16

丸善ミシ x Kenmore x Frister & Rossmann

Kenmoreと聞いてピンとくる日本人はあまり多くはないと思いますが、これはアメリカのミシンのブランドネームです。メーカー名ではなく、ブランド名です。

アメリカでチェーン展開するSearsというデパート(高級ではなく中級くらい)で売られているミシンはKenmoreというブランド名になっています。
メーカーにOEMを依頼して製造し、Kenmore Sewing Machineとして販売しています。今はJANOMEなどもKenmoreに提供しています。

英語ですが、Sears Kenmoreのミシンについて、どこのメーカーが提供しているかなど書かれたものはこちら

以前NECCHIのLOGICAを紹介した時にSears-Kenmoreについて少し触れましたが、Sears-Kenmoreのミシンは一時
日本の丸善ミシンが多くの機種の製造を請け負っていたようです。

丸善ミシン???
何のことかよくわからない人もいるのではないでしょうか。
丸善と言えば、梶井基次郎の「檸檬」の舞台にもなった日本の洋書販売のさきがけ、今はジュンク堂と合併した本屋さんと思う人もいるかもしれませんが、その丸善ではありません。
丸善ミシンは現存の会社でもあります。
そう、大阪は守口にあるミシンメーカー、ジャガーミシンの以前の会社名です。
前の投稿で紹介したジャガーMateの銘板には丸善ミシンとしっかり書かれています。


今やジャガーと言えば、テレビ通販や家電屋にあるコンパクトミシンのメーカーというイメージを持たれる方も多いでしょう。ジャノメやブラザー、JUKIとは違い、ヤマザキミシンなどと同列のように感じるかもしれません。
しかし、80年代くらいまでは隠れた名機をいくつも製造していたのです。ジャノメやブラザーとも遜色がないくらいだったと思われます。
職業用ミシンのVELVET303は他メーカーの職業用と同じ直線専用ですが、VELVETⅡ305はジグザグもできる職業用として独自性を持っていました。

また、ジャガーMATEはコンパクトながらも高性能で頑丈なミシンとして、SearsのKenmoreブランドのほかヨーロッパではFrister & Rossmann Cubという名前で販売されていたようです。
Frister & Rossmannとはドイツ・ベルリンで1800年代中ごろにスタートした歴史あるミシンメーカーですが、世界大戦の動乱期を経てイギリスに移り、いつごろからかミシンの販売会社になりました。

現在販売されているFrister & Rossmann のミシンを見ると、ジャガーのロゴマークと同じく上糸と下糸が絡まった形が書かれているので、今やジャガーのミシンをヨーロッパで販売する会社となっているようです。

日本にいるとなかなか知ることのないミシン事情が各国にはあるのでしょう。また本国であるわが日本以上に、海外において実力を発揮している丸善ミシン・ジャガーミシンの魅力をKenmoreとFrister & Rossmannを見ることでより理解できたような気がします。

2015/06/13

ジャガーメイトのエンボス加工のユニークなカバー

ジャガーMATEは外観デザインや性能だけでなく、もう一つ特筆すべきポイントがあります。

それはこのエンボス加工されたプラスチックハードカバーです。

海外のコレクターから今でも人気のあるこのミシンですが、このカバーがカワイイと思う人が多いようです。

日本人が見ると、高島屋? と思ってしまいそうなバラの模様ですが、ベージュのカバーにエンボス加工されているので、落ち着いていて品があります。

ピッタリとミシンがはまり、横の金具でカチッとホールドされるようになっているので、上のハンドルを持つことにより安定して持ち運びができます。

ケースとミシンが一体化したエルナロータスやリッカーマイティ(電子のお針箱)、ケースをスライドさせて一体化するシンガー・モナミとも違い、ちゃんと全体をカバーで覆いながら、コンパクトで安定しているジャガーMATEはかなりユニークと言えるでしょう。

こんなに変わったカバーを持ったミシンは他にありません。

まさに FANCY!といいたくなるようなものです。




2015/06/11

海外でも人気。コンパクトながらもミドルな実力。購入ミシンNO.33 ジャガーMATE MarkⅡ

以前から気になっていたこのミシン。
ジャガーMATE MarkⅡ。
ジャガーのミシンは初めて買いましたが、買うならこれだと考えていました。コンパクトながらしっかりしたミシンだと聞いていたので、以前から気になっていたのです。
一定以上ミシンを買ってきて、この頃にはコンパクトミシンに興味が湧いてきていました。
これを買う少し前、エルナロータスやシンガー・モナミなどを手に入れましたが、これら70年代の代表的なコンパクトミシンは水平釜が多いのですが、このミシンは当時のフルサイズ家庭用ミシンの主流であった垂直半回転釜です。


コンパクトミシンながら本体は重量があります。
置いた時には安定感があるのですが、、若干、動作音は大き目な気がします。
といってもうるさいというものではないです。

このようにしてベッド面を大きくできます。
一番手前がアクセサリーケース
いたってシンプルでレトロな外観。
60年代から70年代にかけてミシンの輸出では日本メーカーでもトップを走っていたジャガーのミシンだからか、送り長さやふり幅、返し縫いの表記が "
LENGTH" "WIDTH" "REVERSE"と書かれています。
海外モデルでも同じデザインの部品を使えるようにしたためでしょうか。小さ目の文字がとても雰囲気があります。
文字がわからなくても、直感的にこのダイヤルは何のためのものかとすぐにわかるようになっています。アップルのマッキントッシュがそうであったように、触っているうちに操作を覚えられます。
難しい操作は何一つありません。

ふり幅は最大4㎜、送り長さも最大4㎜

実用に十分な模様縫いを備えていて、ダイヤルで選択します。
縫い目もピシっとしていて綺麗です。

操作も外観もこんなにシンプルで使いやすく、コンパクトなのにパワーもあるミシンはなかなかありません。消費電力85wでこのサイズにしては大きいです。

本格的に服を何枚も縫うとなれば、これでは小さいと感じるかもしれませんが、普通の家庭でちょこちょこ縫物をしたいと言う人には収納するにしても便利、出したままでも見た目にも邪魔にならないとても優れたミシンです。

壊れそうな部品が少なく、長持ちするミシンです。





2015/06/07

フリーアームかフラットベッドか

ミシンを購入する際、今の家庭用ミシンは殆どフリーアーム機能がついているので気にする事がないかもしれませんが、自分の用途にフリーアームがあった方が便利なのか、そうではないのかを考える必要があります。

職業用ミシンは現在ほぼ全てがフリーアームにはなりません。かつてシンガーから出ていたもので一部フリーアームになるものがありました。SINGER 103S ,103A 103sf 103dfなどがこれにあたり、この103Aや103dfにはニット縫製に有効な差動送りもついていたようです。

現在、主要メーカーの家庭用ミシンでフリーアームでないものとして思い浮かぶのはジャノメCKシリーズです。これは半職業用と言われているほどなので、職業用に匹敵するような大きさと安定感を優先しフリーアーム機能をあえて排除したものと思われます。
昔の足踏みミシンや鋳物ミシンの時代には全てがフラットベッド(平台)で、袖口を縫う際や補修をしたいときも、職業用と同じく内側から縫っていたものと思われます。

このことからも服装の制作においては慣れてくれば平台で問題ないといえるでしょう。何より平台の利点は安定感だと思います。
やはり広めの台と懐がある方が生地が安定するので縫いやすいです。

一方、繕い縫いや補修をする時や小さい袋物を縫いたい場合はフリーアームがあった方が便利です。
ただし今の水平釜家庭用ミシンでは、構造上、垂直釜よりもアームが大きくならざるを得ないので、場合によってはアームに通しにくい事も想定されます。
繕いをしてまで衣料品を着続ける人が少なくなったから、それ程問題にはならないのかもしれませんが、私はよく繕い縫いをするので、フリーアームでも垂直釜の方がアームが細いので好みです。

家電製品もそうですが、流行すれば全てその構造になってしまってかつて重宝されていたものをいとも簡単に捨てていくのには賛同しかねます。
掃除機が紙パック式から多くがDYSONのまねをしてサイクロン式に移行した事もしかり、洗濯機がいつの間にかドラム式が殆どになり、乾燥機が上に付られるような昔ながらのものが少なくなったのも同様です。スマホとガラケーの関係もそうですね。

だから細いアームの垂直釜のミシンが日本メーカーでもう少しあればいいなと思います。山崎ミシンは垂直釜フリーアームですがこれはコンパクトミシンです。もう少し大きなものでいうとジャノメLC7500がありますが、これはレザーや厚地向けに作られたもので、縫い模様が普通の電子ミシンに比べて少ないです。
普通のフルサイズミシンで垂直釜、かつて普通にあったものがなぜ今殆どないのか。どのメーカーも横並びで同じようなものを作るのではなく、もう少し消費者が選択できるようなラインナップを揃えてほしいです。
細めフリーアームで袖や裾縫いの時に通しやすい、繕い縫いの時縫いやすいミシンが欲しい人って今でもいると思うのです。
また職業用ミシンも腕ミシンのような使い方もできる細いフリーアームの直線のみのミシンを売ったら売れると思うのですが。

2015/06/04

家庭用ミシン、自動糸切り機能は必要か、否か

家庭用ミシンに自動糸切機能が付くようになってから早や数十年、というか30年くらいでしょうか。
80年代に自動糸切のパイオニアJUKIが工業用ミシンにしか搭載していなかった自動糸切機能を家庭用ミシンに採用。それまで家庭用ミシン市場では、鳴かず飛ばずで、他社に後塵を拝してきたJUKIが家庭用ミシン業界で巻き返しを図る起爆剤ともなったこの機能。

その後ジャノメやブラザー、シンガーなどのメーカーでも採用され、最近では、あらゆる電気製品で便利機能は後回しにされがちな欧州メーカーのベルニナやハスクバーナでも自動糸切機能が多くの機種で装備されています。
ただし、どのメーカーも殆ど全ての機種という訳ではなく、上位機種に限られるのがこの機能です。職業用ミシンでもいまだに自動糸切付と糸切なしの2つのモデルが販売されています。

一体この機能は必要なのか、否か。 ふと考えてみたのです。

自動糸切が便利なのは間違いありませんが、この機能に欠点がないとは言えません。
縫い終わった後に糸を切るために、生地を引っ張り出して、糸切バサミを手に持ってという工程がなくなるのはありがたいことですが、鋏で切る程に残り糸なく切ることができず、どうしても糸が数mm程度残ってしまいます。これはメーカーや機種により差があるので、メーカーによっては改めて糸を切らなと気になる程度まで残る場合もあるようです。
さらに、縫い初めに下糸を引き上げておく必要がないということに(一応は)なっているので、縫い初めに裏側に”鳥の巣”と表現される糸がぐちゃっとなった糸玉が出来てしまう事もあるとか。

ボタン一つ(or足踏み一回)で糸を切ってくれるので作業もはかどり、多く縫う人にはこの機能があった方が便利なのは間違いありませんが、私はそれ程必要性を感じていないのです。
生地を引っ張って、糸切バサミで切る作業が結構好きだからです。
おそらくゆっくり丁寧にするのが好きな人は糸切よりも昔ながらに引っ張って糸を切って、時には上糸を裏に引っ張り出して結んでという事が苦にはならないと思います。

一方、縫製作業に効率を求められる場合や、大量にスピーディに縫うのが好き、または必要な人はこの機能を一回使ってしまうと、これがないとやっていられない、イライラすると感じる人もいるようです。
私も早く手っ取り早く直線でだーーっと色々縫っていきたい時、また大き目の衣料を縫っていて生地を引っ張ったりするのが大変なものの場合は、自動糸切付のミシンを使います。

ただし、手での糸切の作業を楽しんで、ゆったり縫物をしている時の方が、何となく楽しめているような気が(個人的には)しています。

何でも機械に便利にワンタッチでしてもらう癖がついてしまうよりも、自分で出来る事はやる、面倒な事も多少は受け入れて、体と頭を使うことは大事だと感じています。
機械やコンピューターが勝手にやってくれる事はありがたいものの、それを誰も疑わない方向に進んでいく社会には幾何かの疑問が残ります。

私なりに自動糸切について簡単な結論を出すとすれば

・毎日何時間もミシンを使って作業する予定の人、スピーディに効率よくやるのが好きな人。
・取り回しの難しい大きなもの(大物キルトなど)を主に縫うという人は、自動糸切付が良い。
・それほど毎日大量に縫う予定もない、または多少の手間と不便さは気にならないと言う人は
 自動糸切はなくてもいい。

そう考えると職業用ミシン、工業用ミシンにはあった方がよく、
家庭用ミシンではそれ程いらないのではという事になります。

予算に余裕のある人は、(あっても使わなくてもいいのですから)自動糸切付を買えばいいし、予算がない場合はなくてもいいとも言えるでしょう。



2015/06/02

刺繍ミシン

刺繍ミシンというカテゴリーでいうなら、日本では間違いなくブラザーがリーダー企業です。

JUKIも刺繍ミシンがありますが、ソフト面などは皆無に等しく、今やあるのかないのかもはっきりしないくらいです。工業用ミシンがメイン事業なのでソフトウェア開発が伴う刺繍ミシンにはあまり重点を置けないのだと思います。

ジャノメはもちろん家庭用ミシン市場ではリーダーですので、現在の時流に乗った高価な刺繍ミシンを生産していますが、ブラザーに比べるとソフト面でやや劣ると言う印象です。
デジタイザーと言われる編集ソフトもあるのですが、ブラザーの刺繍プロといわれるソフトに比べると、価格も高く、汎用性でも劣るようです。
セシオと呼ばれるジャノメの刺繍ミシンシリーズは機能的には悪くはなく、一定以上の性能をもっていますが、刺繍ミシンなのか、普通のミシンとして使うのか、どちらもできますよ という形で売っているような、どうも中途半端な印象なのです。

その点、ブラザーは刺繍ミシンならもう刺繍だけでいいんじゃないかと利用者に思わせてしまうくらいの潔い刺繍ミシンです。
また刺繍ミシン本体の価格も比較的安価で小さなものから、大型の高級機までラインナップも豊富です。高級機はボディデザインも悪くありません。
何よりソフト面の開発に力を入れているからでしょうか、使い勝手もいいそうです。

海外メーカーでいうと、刺繍と言えばハスクバーナでしょう。何より刺繍のデザインが綺麗です。
やはり刺繍はデザインが最も重要です。ハスクバーナの刺繍データは、見て思わず顔がゆるむような、煌びやかで魅力的な刺繍デザインが豊富です。

ベルニナも現行の上位機種ほぼ刺繍ミシンです。近年はミシンを売って利益を上げるには刺繍機能をつけて高価にするしかないのでしょう。
かなり大きな刺繍ユニットをつけて半ば工業用かと思わせる使い方をするベルニナもあるようです。

女性的で軽やかで華やか、北欧的な可愛さもあるデザインの刺繍を多く持つハスクバーナ。対して誰がみても綺麗だと思えるようなデザインのベルニナの刺繍。
今や甲乙つけがたいものですが、その人によって好みがわかれるところでしょう。

私の場合、今のところ刺繍にはそれほど興味がないのでいいですが、刺繍ミシンの世界に足を踏み入れると、データやソフト、糸などに多くの出費が伴うのは間違いありません。また複雑な刺繍になればかんせいさせるのに時間も相当かかるようです。
道楽の域にあるものでしょうから、そこまではいけません。
行ったらなかなか抜けられないかもしれないので、怖いですね。オンラインゲームにどっぷりはまり、アイテムを購入しすぎて出費が半端ないというのと似てるのかもしれません。

刺繍、それはそれで綺麗だと思いますが、やはり何でも柄のあるものより、シンプルなものが好きな自分をこのまま維持していこうと思います。
キルトがあまり好きでないのも、模様や柄がそれ程好きではないという志向によるものかと思います。ミシンを買いすぎなので、そういうところで何とか調整しないといけないのです。

食べ過ぎ、買いすぎ、使い過ぎは禁物です。