2015/08/30

ゆっくり、じっくり、丁寧に

シンガーの192Uを使って縫物をしていると、他のコンピューターミシンとは違い丁寧に生地をセッティングして、ゆっくり縫うようになっている自分に気付きました。

自分の欠点として、何でも急いで早くやろうとしてしまうところがあります。それでうまく行けばいいのですが、動きが雑になってしまうので、急いだばっかりに失敗してしまう事もしばしば。結局急がばまわれということで、ゆっくり丁寧にしたものは、仕上がりも納得が行く、綺麗なものになります。
今の生活をしていると何でも急いですること、効率ばかりを求めて楽にすることばかり身についていますが、この時代のものを使うと自分の心や動きもゆっくりしてくるような気がします。

Merchant&MillsのCarolyn Denhamさんがシンガーの電動モーターを付けた鋳物黒ミシンで楽しそうに縫っているのを見て、自分もゆっくりじっくり楽しく、丁寧に縫う事を心がけていこうと改めて思いました。

職業用ミシンは1分間に1500針、ジャノメやそのOEMのジューキ・エクシムプロなどは1600針、ジャノメCKは家庭用ながら1000針で早い!、と数字ばかり先走りしている昨今のミシン業界。そういう数字を見るとどんなに優れたミシンなのだろうと思ったりします。早いしパワーもあるし、いいのだろうと、提示された数字を基準に選びがちですが、いったいどれくらいの人が最高速度で長時間縫うのでしょうか。

家庭用ミシンが遅く感じるので、何とか早く縫いたいと言う人は職業用や工業用を買えばいいですが、そういう人はそれ程多くはないでしょう。
パワーがあってシンプルで使いやすいミシンというのはもちろん必要とされるものですが、1分間に何針かということは、多くの人に重要な事ではありません。
数字を見るのではなく、自分にとって何が必要かいうことをまず考えなければなりません。

学校選びでも、その学校の理念や環境が自分に合っているかという事より、偏差値や大企業への就職率などの数字を頼りにしても、実際の内情は数字では表しきれません。就職率がよくてもどんな形で就職したかはわかりませんし、すぐにやめている人の数字はここには出てきません。
偏差値もおおよその参考にはなりますが、どういう教育内容か先生はどういう指導をしているか、他の学生がどういう人たちかなどということはわかりません。
数字はあくまで参考にしかならないのです。
今は企業評価でも、売上、株価、給与、またはランキングなど数字を基準に判断することが多いですが、いい会社かどうかはどれだけの人や社会に対して貢献できたかで評価されるべきです。

工場で同じものを何百枚、何千枚と縫うなら、工業用で5000針ほどもスピードが出るものは必要でしょうが、家庭で縫う場合やオーダーを受けて1点ものを作る仕立屋はそんなに早くなくてもいいのです。だから足踏みの職業用ミシンをいまだに使っているテーラーの人もいるのでしょう。

待ち針を引き抜くことや、カーブ、方向転換などを考えるとそんなに早いスピードでなくてもいいはずです。ソーイングも実際にミシンを動かしている時間よりも、生地を切ったり、アイロンしたり、生地合わせをしたり、しつけをしたり、待ち針を売ったりといった作業が多くを占めるですから、それらをきっちり丁寧に、そしてミシンもゆっくり丁寧にを心掛けて、慣れたら少し早くしてみるのもいいですが、早く完成させよう、終わらせようと思わず、丁寧にゆっくり落ち着いてやった方がいいものが仕上がる気がします。

この192Uを買って改めて、ゆっくり丁寧に、そんな大事な事に気付かされました。
これはミシンだけでなく、料理や洗濯、買いもの、普段の生活全般に言えるのではないでしょうか。
早くしないと終わらないということであれば、どうやったらそれを解決できるか、別の方法を考えればいいのではないかと思います。
本当にそんなに早くしないといけないのか。今それをしないといけないのかと。

2015/08/27

192Uの返し縫レバーとインチ表記

シンガー192は基本部分が以前紹介したシンガー15種の代表的なミシン15-90と同じで、送り幅調節のレバーは返し縫いレバーにもなっています。

希望の送り幅の位置に持ってきて、左側の丸いネジを固定。
これにより送り幅が固定されます。

返し縫いをしたい場合はこのレバーを目いっぱい上げたら基本的には同じ幅で返し縫い出来るようになっています。

このレバーは返し縫い状態にするのにバネが利いているわけではないので、返し縫いの位置で簡単に固定できます。よって、延々返し縫い状態にすることも容易です。
15-90や192Uを足踏みで使う場合、このレバーの便利さをより実感することができるでしょう。

職業用ミシンの188U2の場合、返し縫いレバーは固定されません。


返し縫い状態にするためには右手でレバーを押えておかなければならないのは他のミシンと同じですが、足踏みの場合プーリーも縫い初めに回す必要があり、慣れてくればうまくできるようになりますが、なかなか難しいです。
これが192Uだと返し縫い時もレバーを固定することができるので、縫い初めの手廻しが楽です。

こういう点は家庭用足踏みミシンの方が職業用より親切な作りになっています。スピードが速く懐も広い職業用ですが、操作は家庭用の方がやりやすい。
なんでも一長一短ですね。

ちなみにシンガーはアメリカの会社なので、昔のシンガーミシンは送り長さもインチ表記です。
6や10などの文字は、1インチあたり何針縫うかということを表しています。
1インチ = 2.54 センチメートルですので、6だと大体4㎜ちょっと。10だと2.5㎜程度ということになります。

ちなみに針板のラインはJUKIやベルニナでもインチ表記が併記されているものもあります。

あまり日本ではインチやヤードはなじみがないので難しいですが、アメリカでは生地販売もヤードを基本としているようです。
1ヤード = 0.9144 メートルで、ざっくりと捉えると90cmなので、日本(1m単位)よりもちょっと短めです。

2015/08/24

鋳物職業用ミシンと家庭用ミシンのベッド面のサイズ。台の違い。

以前から気になっていた家庭用ミシンと職業用ミシンのベッド面の大きさ、つまり家庭用ミシン台と職業用ミシン台はどれくらい違うのかという事ですが、シンガー192Uを買ったので改めて測ってみました。

シンガーの職業用188Uはやや大きい気がするもののどれくらい家庭用と違うのか実際に知りたかったのです。

ベッド面の寸法は
・家庭用192Uは、横幅37cm×奥行18cm弱。
・職業用188Uは、横幅40cm×奥行18cm

家庭用の方が3㎝横幅が狭いですが、奥行はどちらも18cm程度でほぼ同じです。
ということで、横幅が違うというだけでした。
 左:家庭用192U  右:職業用188U2
横幅が違うので、足踏み台や電動ポータブルケースは同じ寸法ではなく、乗せかえる事はできません。

足踏みの台も、家庭用は内側に倒してしまってしまえばミシンをすっぽり収納できるので、使わない時は台として使えますが、職業用はそういう仕様にはなっておらず、ミシンを載せておくことしかできません。
この辺が職業で頻繁に使う人用に作られたものと、家庭で時々使う人向けのものの違いです。

なお、車輪も職業用は大きいので家庭用である車輪部分も含めて蓋をしてしまってボックス型になるような事はありません。

2015/08/22

直線専用、シンガー15種の後期版。購入ミシンNO. 40 シンガー 192U

シンガーの15種と言われるミシンは、家庭用ミシンのスタンダードとなった機種です。
シンガー 192
私がなぜシンガー15種を持っていながら、この192Uを買ったのかというと、私の持っている15-90にいくばくかの不満があったからです。
・膝レバーで動かすので微妙な速度操作がしづらい。
・モーターの取り付け部が一度破損したので、状態が不安定。
・ベッド面にやや傷があり、デカルといわれる模様がはがれてきている。

この不満点を解消するため
・フットコントローラー操作が出来るもの。
・モーターが正常で取り換えも簡単なもの。
・本体が綺麗なもの。
を探していたら、黒ミシンとは違い、やわらかい雰囲気がありながらも頑丈な鋳物シンガーがみつかりました。


ベージュのカラーリングはシンガー191Uという人気機種でもありましたが、192よりも茶系に近い色です。
シンガー15種ミシンを糸調子器や天秤を前面にもってきて使いやすくしたのが191Uで、日本メーカーが大量に生産していたかつての直線鋳物家庭用ミシンも天秤や糸調子器が前を向いているので、、どちらかと言えば191U に似ています。

家庭用ミシンの基本モデルとなった15種と、191・192の違いと言えば、送り歯の高さがダイヤルで調節できるところです。押え圧調節に加えて、送り歯の高さを調節すれば生地の厚さに合わせて送りが最適化されます。これはとても便利です。
15-90ではベッド下の下軸駆動のあたりで送り歯の調節ができるのですが、本体が重く、奥に倒すとケースも倒れそうになるので、とてもやりにくいのです。
昔の直線ミシンの最大の難点は重いということなのですが、送り歯調節や下軸への注油も本体をたおさないとできず、時に台ごと傾いてしまい安定しないので、大仕事です。
下左のシルバーの丸いものが送り歯高さ調節
実際に使った感想はというと、他の鋳物ミシンとそれほど操作感は変わりません。縫目も綺麗に出ます。
そして、同じようにシンガーの古いミシンの匂いがします。
これはシンガーの匂いなのか、油なのか、鉄の匂いなのかわかりませんが、ジャノメの古い直線ミシンHL2-350 ではこの匂いはしませんでした。
だから、私にはシンガーの匂いだと感じるのです。

この192Uはとにかく重いです。大きさはそれ程でもないのですが、本体重量16.7Kg (モーターと台を含む) それにフットコントローラーを入れると17.4Kg、ケースを入れて量ると20.6kgもあります。
これは備え付けで置いておく場所がないとキツイです。持ち運びはできますが、これを使うたびに出してくるのはとても大変です。女性ならさらに負担に思うでしょう。

カバーも木製なので、プラスチック製のものに比べて重さがあります。ミシンと台の上からこのケースをかぶせると、カチッと内側でストッパーがとまるようになっているので、便利ですが、いかんせん重い。

動作時の安定と持ち運びの両方を考えると、ミシンは7~11kgくらいがちょうどいいのだと思います。あまり重いと乗せるテーブルもしっかりしたものでなくてはならず、気がかりです。

コンピューターミシンが主流になり、自動制御で便利機能がついて進化した一方で、部品も安価な樹脂製になり耐久性は昔のミシンには及ばないと言われる昨今のミシンですが、軽くて持ち運びやすくなったと言うのがミシンのここ20~30年の発展の大きなものと言えるのかもしれませんね。
あまり重いものはやはり身体的にも心理的にも負担になりますから。

2015/08/17

ミシン糸あれこれ

ミシン糸と一言にいっても、日本にも海外にもメーカーや種類が色々とあります。
私も糸についてはそれ程詳しくはないのですが、調べた事を後々の備忘録もかねて書いてみます。

素材
昔のミシンを買うとよくカタン糸やコットン100%の糸がついています。
これらには普通のコットン地のようなものもありますが、艶のある糸もあります。
こういうものを今買う事はあまりありません。売っているのは見かけるので、手縫いや昔のミシンで使う人がいるのでしょう。

カタン糸ってなんでこんな呼び方をするのかと思っていたら、カタンとはコットンがなまったものらしいですね。

今のミシンはポリエステル系の糸で調整されているので、コットン系の糸を使うと糸調子が合わなじかったり、糸切れすることもあるようです。プラスチック満載の今のミシンでは負担がかかりすぎるとも言われます。

現在主流の化繊、ポリエステルの糸は、どんな素材にもなじみやすく、すべりもよいのでミシンでも縫いやすいのが特徴で、綿糸の風合いも持たせているようです。ポリエステル系の糸の中でもスパン糸が最も売れているものです。
その中でも、日本で一番メジャーなものがフジックスのシャッペスパンでしょうか。

ニット地にはナイロン系のウーリーやレジロン、などの伸縮性のある糸が向いているとか。
ウーリーにはナイロン以外にポリエステル100%のものもあるようで、主にロックミシンで使用されます。
レジロンはシャッペスパンと同じフジックスの糸の名前です。旭化成のレオナ66というのも同じようなものです。
上糸をレジロン(orスパン)、下糸をウーリーにして縫うとより良いようです。

ロックミシン用 90番

太さ、番手

糸の太さを表す番手は、針とは逆に、数字が大きくなればなるほど細い糸です。

最も一般的なのが60番手で今の家庭用ミシンの自動糸調子も60番手を基準にして設定されているようです。

ロックミシンは90番で縫う事が多いです。ロック用として一番多く売られているのは1000mから2000mくらいの太いコーンに巻かれた糸です。
一般的な家庭用ミシンでは30番手までが対応糸のようです。




ジーンズの裾などステッチを目立たせるものは20番で縫う事が多いようです。


8番であれば職業用なら何とかいけるかもしれませんが、通常は20番くらいまででしょう。
8番、5番以上になると釜の調整などが必要になるようで、太糸・厚地専用の工業用ミシンか改造ミシンの範疇です。

60番、3000m糸巻


ちなみに靴づくりの時はポストミシンに30番のテトロン糸をかけて縫っていました。テトロンは絹ミシン糸をも意識して開発された光沢のある糸です。

長さ当たりの金額を考えると工業用の2000~3000m巻のものなどが一番安いということになりそうですが、家庭用で気軽に使うには普通の150~200m巻くらいのものが普通です。

私はあまり糸にはお金をかけたくないので、出来る限り安ければいいと思っています。3000m巻のものも買いますが、これらはベーシックな生成り、黒などを買っています。


それ以外の色が必要になると、100円ショップ・ダイソーの日本製のものを買います。
中国製は毛羽立ちが多く、質も良くないようなので買いません。最初期に安いからと買ったもののミシンによっては、よく糸切れをおこしました。
また50m巻の細い糸巻が何色もセットになったものも中国製で、こちらも質はそれなりです。ただし今の水平釜のミシンであればこういうものでも問題なく縫える事も多いでしょう。
100円ショップ セット糸
台湾製もありますが、一応の基準として100円ショップなどでも日本製のものを買うようにしています。ダイソーの日本製のものは、50番手なのですが、この糸でトラブルがあったこともありませんし、近くにダイソーがあるのでなくなったらすぐに買いに行くことが出来ます。近場に手芸店がないので、ついこのダイソーの日本製で済ませてしまいます。
ダイソー 50番 日本製ミシン糸 200m
ダイソー以外の100円ショップでも、150m巻でシャッペスパンと同じフジックスの日本製スパン糸があるので、それを買う事もあります。
フジックス 100円 ミシン糸
また以前から海外の糸も気になっていました。
海外のソーイングのビデオなどでよくGutermannと書かれた糸を見かけました。以前買った中古ミシンの中にこのギッターマンの糸が入っていました。ミシン自体が古いものなので糸巻にはW.Germanyと書かれています。西ドイツがまだあった頃のものです。


糸巻は日本ではシャッペスパンなどにあるような形が主流ですし、アメリカもCoats & Clark社など、日本と同じようなものが使われていますが、ヨーロッパではギッターマンの糸巻のようなものが多いようです。
この糸巻が何ともカッコいいなと思って、いくつか買おうかなと思いユザワヤに行ったのですが、その店舗には欲しい色が在庫切れでほとんどなかったので1色だけ買いました。サルキーという種類のポリエステル系の糸です。ギッターマンはドイツのメーカーのようですが、この糸はSwiss Madeと書かれていました。

その他の色は、別の手芸店にあったメトラー(スイスのメーカーのようです)のメトロシーンという糸を買いました。これもギッターマンと同じような糸巻でなかなかいいです。太い方は500m巻なのですが、それほど高くなかったです。

質はおそらく日本製シャッペスパンとあまり変わらないと思いますが、何となく形とデザインがいいので買ってしまいました。結構気に入っています。

ただし、メトラーの糸もGerman Madeと書かれた白い糸巻で売っていましたが、在庫がなくなり次第、赤の糸巻に切り替わるそうです。別の手芸店ではメトラー・メトロシーンの糸は全て赤に切り替わっていました。糸巻の色が変わるだけならいいのですが、赤いものはGerman Engineered, Made in Chinaとなっていました。要は中国製になったということです。
品質に差がないのかもしれませんが、中国製であれば何もこれを買う意味もなく、日本製のシャッペスパンや、ひいては日本製の100円ショップのものがいいのかと思ってしまいますね。糸巻の赤の色も何となくぼんやりしたような感じでした。

普通のソーイング好きの人はシャッペスパンなど日本メーカーのスパン糸を買う事が多いですし、これを買えば無難であることは間違いありません。一般的な家庭での使用では一部の質の良くない中国製糸などを除いて、それほど気にしないでも快適にソーイングは出来ると思います。

以前買ったミシンについていた糸でタイ製のものがありました。手芸店でも安売りの特価品ということで最近タイ製の糸を見かけます。色んなものの生産が、先進各国から中国へ、その後東南アジアへとシフトしていっているのでしょう。

2015/08/13

ミシンの操作ボタンの位置

下記の投稿を書いた当時は返し縫レバーとボタンの位置が離れていて使いにくいと書いていましたが、その後何度か触っていくうちにこんなもんかと気にならなくなってきました。

返し縫いレバーは大き目ですが、全体のバランスを考えてこのような形なのかと思いますし、こちらも使っていくうちにだんだんと慣れてきます。

何度も使っていくうちにこのミシンの使い方に体が馴染んでくるので、問題なくなってきました。

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エクシムプロ9500を買って気づいたのが、自動糸切のボタンの場所が他のボタンと離れすぎていて、慣れるまでつい、ボタンの位置を探してしまうということです。

これがJUKIのシュプールであれば、針上下ボタンと自動糸切ボタンがふところの右側部分にあるので、縫い終わりにとにかく右に手が動きます。送り歯ダウン、返し縫レバーも含めて右側にあり、操作系はここに集中しています。
糸切ボタンも横長で押しやすいのでこれを使いにくいと思った事はないのです。



一方、エクシムプロの場合、針上下ボタンと下糸巻ボタン、最高速度調節スライドなどは上にあり、返し縫レバーと糸切が右にあるので、最初はちょっと探してしまうのです。
ちなみにジャノメ系の職業用ミシンについているメインモーターから独立した下糸巻というのは必要???と疑問符をつけたくなります。縫いながらでも下糸が巻けるということなのですが、そんな状況ってどれだけあるんでしょうか。

ボタン類というのは出来れば集中してあった方がわかりやすいと思います。
返し縫いは昔のミシンでも右側にレバーやボタンがあることが多いのでこれで問題ないのですが、ボタン類があっちこっちに離れていると、上を見て、あ、違う、 糸切は右だったと思って間違えることがあります。
少なくとも針上下ボタンと糸切ボタンは近くにした方が使いやすいと思いました。
(こういうのも慣れれば問題ないのかもしれませんが、最初は手間取ります。)

さらに、返し縫レバーと糸切ボタンが意外に近いので、どうもレバーが邪魔に感じられます。
レバーをもう少し下にするか、糸切ボタンをもう少し上にしてほしいです。
JUKIシュプールも同じ配置ですが、返し縫いレバー上面から糸切ボタンまで4cm、エクシムプロは、2.2cm。返し縫いレバーも分厚く大きく、手前に出っ張っているため、より狭い感じがするのです。
レバーの操作自体もJUKIの方が楽です。
ヌーベルクチュールのレバーも画像で見る限りシュプールと同じくらいなので、ジャノメ系のものが一際大きいようです。


               ジャノメ系の職業用も最新のものはフットで糸切が出来るようになっているので、
               レバーとボタンの近さもそれ程問題にならないかもしれません。

なお、このエクシムプロ、送り長さの調節も本体右側面にダイヤルがあり、前面右端にダイヤルの目盛があるのですが、小さくてちょっと見にくいです。シュプールの目盛と一体になったダイヤルと比べると操作性も視認性も悪いです。下の写真はアップにしていますが、上にあるエクシムの全体写真を見てみるといかに小さいかわかります。



家庭用ミシン(特にコンピューターミシン)の場合、模様選択ボタンなどを除いて、縫っている前後や途中で操作する必要があるものはほとんどが針の上などに集中して一か所にあるので、操作しやすくなっているのだなーと改めて認識しました。

こういうのが全く気にならない人もいるでしょうし、むしろこういう形が好きだと思う人もいるかもしれせん。でも私は気になってしまいました。
ちなみに、同じジャノメOEMのシンガー103DXは糸切ボタンが懐の上にあります。この方が操作はしやすいと思いますが、このミシンはエクシムプロと違い針の上下ボタンがありません。



全体として、ジャノメ系の職業用ミシンは自分には合っていないのだなと思いました。
手も大き目で動きもおおざっぱな事も多いので、レバーとボタンの位置が近いことも人より気になるのかもしれません。

あくまでこれは自分が感じることで、ジャノメやエクシムプロがいいと言う人もいると思います。
ボディが大きく頑丈で、佇まいはどっしりしていて、頼りがいがありそうに見えますし、縫うと言うことだけ考えればいいミシンです。
使っているうちに好きになるかもしれませんが、今のところシュプールよりも使いにくく感じます。



2015/08/10

エクシムプロの使い勝手

実際に使ってみたエクシムプロ。

フットコンはやや大き目のものですが、なんということのない普通のもの。特に使いやすいとも使いにくいとも思いません。ジャックは3ピンのジャノメの電子ミシンやクライムキミシン、センサークラフトと同じでしたが、フットコン自体はこれら家庭用ミシンのものよりも大き目になっていました。

興味があったパワーについてですが、確かにパワーがあるような気がしますが、それほど厚いものを縫う事ばかりでないので、シュプールやベルニナ・ホリデーヌくらいで十分です。
本格的な革を縫いたいなら、専用の工業用などを検討するので、厚手のコットンや薄手の革であれば、既に持っている上記のミシンで事足ります。
違いをはっきり認識することができなかったので、このミシンを使って、これはスゴい!とは思いませんでした。

パワーや貫通力を増しているからか、何となく動きが固いというか滑らかでなく感じます。
同じ職業ミシンなら、私は断然シュプールの方が好きです。動きと音がシュプールの方がいいのです。

使い勝手という点でいうと、エクシムプロはボビンの入れ替えがやや面倒です。
ボビンの出し入れをするために、針板の左側にあるすべり板を開けないといけませんが、
JUKI SPUR25SPでは、左の白い部分とすべり板が一体化していて簡単にボビンケースの出し入れが出来ます。
JUKI SPUR25Pの一体かしたすべり板とカバー

一方、エクシムプロ(ジャノメ系)のものは、白い左のカバーを倒し、すべり板を外さないといけません。
大きさ重さがあり、剛性もあるようですが、プラスチック部分がもろそうなので、このすべり板の横の白い板も取扱いにやや気を使います。間違えて手を置いて破損したりしないかと。
エクシムプロのすべり板とボビン部分のカバー
これ一台を据え置きでガッツリ厚地を縫うという場合は安定しているしいいミシンです。
ただし、音はややシュプールよりも大きいです。1600針でるのですが、最高速で縫っていると音が気になるでしょう。
ミシン自体はガタツキませんが、下の机がしっかりとしたものでないと、机にガタツキが出て音が出るかもしれません。

1500針と1600針、100針のスピードの違いですが、シュプールとエクシムプロ、どちらも目いっぱいフットコントローラーを踏み込んでみましたが、それほど変わらないという印象です。私には殆ど違いがわかりませんでした。
家庭用でも最速750針とか800針のものと、900針のもので遅い方が使いにくいと思った事は一度もありません。まち針なんかを抜きながら縫う場合、そんなに連続して最速で縫えません。
車でもメーターの最高速度で走ることがないのと同様、最高速1600針でもそれでどれだけ縫うかを考えた方がいいです。
商売上、1500より1600針で早いからジャノメ系の職業用を選ぶ人がいればという事かもしれませんが、その100針が問題になる人はそれ程多くはないでしょう。

半月状の針板を採用していて工業用のバインダー押えが使えるということでジャノメの職業用を選ぶ人もいるようで、そういう使い方をしたい人はいいでしょうが、針板の厚さの違いなどにより工業用の押えが全て使えるわけではないようです。

また、ジャノメ系職業用はシュプールやヌーベルクチュール(の近年のモデル)ではできる、送り歯のダウン機能はありません。

職業用の中でどのメーカーのものがいいか迷う人も少なからずいるようですが、試してみて自分が使いやすいもの、形や動きが気に入ったものを買えばいいです。
ブラザーの職業用は他社に比べてパワーが劣るということですが、薄地はしっかりと縫えるようですから、薄地~普通地を主に縫う人には向いています。音も比較的静かなようです。
要は自分がこれでいいと思ったものを買えばいい、そう思いました。自分も最初にSPURがいいと思ったのは間違いではなかったと認識しました。

ジャノメの家庭用に慣れていて好きな人なら、エクシムプロをはじめジャノメ製造の職業用ミシンを買っても満足できるでしょう。それ程差はないものの、他社のものに比べて内部機構が頑丈で、厚地にも強いのは間違いないのでしょうから。


2015/08/08

ジャノメOEM 1600針/分の職業用 購入ミシンNO .39 ジューキBaby Lock Excim Pro 9500 

以前から現行職業用ミシンの中で、軸受にベアリングを使用していて頑丈で、一番厚地にも強いジャノメの職業用は気になっていた。
職業用ミシンの誘惑 という投稿の中で、職業用ミシンを購入するにあたり、JUKI、ブラザー、ジャノメなどを検討し、結局JUKIのシュプールにしたという話をしました。
ブラザーは薄地に強く、音も静かで使いやすいと聞いてはいたのですが、やはりデザインとか自動糸切の性能などでJUKIが欲しいと思ったのです。
ジャノメはそのデザインがあまり好きになれなかったので対象から外していました。

ただし、ネットやミシン店などの情報を見ると、今はジャノメの職業用(高速直線ミシン)をお勧めするところ(人)が多いとか。
JUKIシュプールで満足していたのですが、そういうのを聞くとどうしてもどれだけ違うのか、そして本当に良いのか試してみたいと思っていたのです。

(カタカナ)ジューキ/Baby Lockやシンガーの現行職業用もジャノメの製造によるもので、細かな違いがあれどもほぼ同じミシンという事を聞いていたので、デザインが好きではないジャノメよりジューキのエクシムプロの方がいいなと思っていたら、運よく割と綺麗そうなエクシムプロを手に入れる事が出来ました。

手元に届いてまず抱いた感想は、デカい・重い、ということ。

SPURとExcim Proの比較
聞いてはいたし、店で展示されているのを見たことがあったのですが、それでも実際に手にすると、違いました。大きいのはまだしも、結構重いです。
黒い鋳物ミシンはこれよりも重いものもありましたが、そういうのは元々重いだろうという意識があります。このミシンは最近主流の上部ハンドルで持つ白いミシンなのに重い。
今までのどのミシンよりも大きく、ハードケースがないので持ち運び時周りにぶつけないかと気を使います。同じソフトケースでもシュプールのものは前後に板のようなもの入っていますが、エクシムやジャノメのものはかぶせておくだけのソフトケースです。

JUKIのシュプールもやや重いのですが、持ちやすいし、大きくないので、使う時だけ出してくるという事も苦になりませんが、これは違います。
ジャノメのCKシリーズやエルナエクセレンスなどの大きい家庭用ミシンと同じく、ジャノメ系職業用ミシンもしまっておいて、使う時だけ出してくるのにはあまり向いていません。

さらに、ネットで中古を見るとジャノメ系職業用ミシンは後ろに2本ついている糸立て棒が折れているのをよく見かけます。重さや大きさのわりに、この部分がややもろいのではないかと思われます。だから出し入れする時もこの部分に気を使います。
エクシムプロ 背面と糸立て
実際使った感想はまた次回


2015/08/04

ミシンの糸調子について

ジャノメKM2010クライムキミシンを買って、ためし縫いをしてみたのですが、どうも下糸がつるような状態でした。表から見ると綺麗な縫い目なのですが、裏側を見るとまっすぐつながったような縫い目になっているのです。ジグザグをしてみても、下糸がつった状態で、裏側が綺麗なジグザグにはなりません。
上糸調節ダイヤルで、“自動”となっているところに目盛を合わせても下糸が強いのです。

上糸のダイヤルを回して強めると、少しずつ揃ってくるのですが、そうすると糸締まりが生地の厚さに対して強すぎるのか、布が少しだけひきつるような感じになってしまいます。これがあまり強くなりすぎるとパッカリングの状態になるのだと思います。

下糸が自分で巻いたものではなく、市販の糸が既に巻かれたボビンを使ったためか、番手は同じなものの上糸と下糸の種類がやや違ったのか、自動にしても上下糸がそろわないのです。上下同じ糸、しっかりとボビンに巻かれた下糸で改めてやってみたら、自動に合わせてちゃんと上下が揃うようになりました。

これを経験してわかったことは、最近の(特に水平釜の)自動糸調子のミシンは上下、同じ種類の糸でないと糸調子は揃いにくいということ、
よく考えたら当たり前ですが、50と60くらいの少しの違いや、同じポリエステル系であれば問題ないと思っていましたが、番手や素材が少しでも違うと、自動モードでは糸調子が揃いにくいようです。

また、100円ショップなどで売られている下糸が既に巻かれたボビンはダメです。
糸の巻き方があまく、緩い部分がある。糸調子もそろいにくく、うまく縫えない事もあります。

私が中古ばかり買っているためにこういう糸調子が合いにくい事がたまたま起こっているのかもしれませんが、中古でもジャノメのミシン以外では、水平釜のものでも糸調子が合わない事はあまりありませんでした。ジャノメの場合、水平釜、垂直釜ともに糸調子を合わせにくいものが多かったです。自分の糸調子の好みと、ジャノメの糸調子の基準が違うだけかもしれませんが。。。 新品のネット購入者のレビューでもジャノメのコンピューターミシン(人気機種)を買ったが糸調子が合わないと言っている人がいるようでした。

また、シンガーなど他メーカーのミシンでもレビューを見ると、糸調子があわず裏側が綺麗にならないと書いている人をよく見かけます。
この中には上糸が糸調子皿にちゃんと入っていない場合や、上糸の掛け方が間違っている、下糸の巻き方やボビンの入れ方が違う、などもあるのではないかと思っています。
説明書どおり、規定どおりに入れた場合、多少合わないことはあっても、ぐちゃぐちゃになることはほぼありません。

ただし、例外的に出荷時の調整値が甘いものがあるのではないかと思います。特に安価なミシンではよくありそうです。以前書いた安価なミシンは調整値にばらつきがあるということが糸調子にも出てくると思います。

以前、ベルニナの半回転垂直釜の購入直後、ジグザグや模様縫いが裏表でうまく揃わない事がありました。ミシンを専門に売っている方から購入した中古機で、上糸も下糸も同じもの、下糸もきれいに巻かれたものだったので、故障しているのかと思いましたが、自分でボビンケースのネジをいじったら、その後は問題なく糸調子が揃い、模様やジグザグも綺麗に縫えるようになりました。

中古ミシン屋さんから購入したものでもこういう事がありますし、新品でも工場出荷時にきっちりと調整されていないと、調子が揃わない事があるのではないかと思います。
その場合は水平釜でも下糸の釜のネジを少しいじった方がうまくいくかもしれません。

水平釜は糸調子を上糸だけで調節するようになっているので、下糸の釜をいじる場合、針板のネジを回して取り外したりしないといけないので面倒です。
それに比べて垂直釜は自分で下糸も調節することが前提なので、ボビンケースも糸替えなどで頻繁に取り外しますし、ネジをいじりやすくなっているため便利です。やはり、私は垂直釜が向いているのだと、改めて感じました。
便利で簡単なはずの水平釜ですが、糸調節を調整しにくいので、不便になることもあります。