2015/10/03

家庭用ミシン、2本針を使ってみた

2本針、といってもロックミシンのことではありません。
家庭用ジグザグミシン用に作られた二股になったミシン針のことです。

購入したミシンの中にある針セット(シュメッツのもの)には2本針が入っているものがいくつかありましたが、今まで使ったことがなかったのです。
特に必要もなかったからですが、どういう風に縫えるのかは気になっていました。
それで実際に使ってみることにしたのです。

下の写真、真ん中が2本針。 

そしてこれをミシンに取り付け。

左右に糸を通し

縫ってみたのがこんな感じです。直線では縫い目の綺麗さは今ひとつですが均等に並列になりますし、左右の糸の色を変えれば模様縫いでアクセントになりますね。

表面は写真などで見たことがあったので何となくどうなるかはわかっていたのですが、それよりも気になっていたのが、裏がどうなるかということです。
2本針は上糸が2本で、下糸は1本です。そうなるといったいどんな形になるのか疑問に思っていました。

裏面はこんな縫い目です。直線縫いではジグザグのような模様になります。

対応している家庭用ミシンは限られますので、事前に使えるかチェックが必要です。
2本針は2㎜、2.5㎜、3㎜、4㎜、6㎜など数種類あるようですが、4㎜、6㎜巾の2本針は直線のみしか使えないようです。
3㎜もふり幅が広い模様には使えないでしょう。

2015/09/29

マジックステッチ・フラワーステッチアタッチメント

他のメーカーではフラワーステッチという呼称のようですが、ブラザー説明書ではマジックステッチとなっているアタッチメント。
送り歯を下げて、一定の場所で環状の模様や花模様をつくるものです。

以前から興味があったものの、このアタッチメントだけを買おうとはなかなかなりません。
ブラザーコンパルEXを購入するにあたり、少し迷ったのですが、このアタッチメントがついているのがわかったので、手に入れてみることにしたのです。

早速使ってみた感想ですが、ブラザーの付属品としてついているマジックステッチは、アタッチメント上でサイズの変更が出来ないので、一般のフラワーアタッチメント程、多様な模様を縫えるわけではありません。そこが残念ですが、とりあえずこういうものかという事はわかったので、それはそれで満足しました。
実際に縫ったのはこんな感じです。大きい布だとちゃんと手を添えていないとうまく生地が回転しないこともあるかもしれませんね。


一般に販売されているフラワーステッチアタッチメントはサイズを変えられるのでより楽しめるでしょう。
シンガーの動画ではいくつもの綺麗な模様を作っています。
https://www.youtube.com/watch?v=4qFIo0EQ4is

2015/09/27

はじめてのブラザーミシン 購入ミシンNO.42 ブラザー コンパルEX

初めてブラザーミシンを購入しました。

今までは少し興味があるものはあったのですが、どうしても欲しいと思えるものがなかったので購入していませんでした。今回、出品中のこのミシンに多くの付属品がついていて、その中にサークルアタッチメント(フラワーアタッチメントとも呼ばれるもの)があったので、買ってしまいました。ミシンそのものよりもそれが欲しかったとも言えます。

見た目にはなかなか魅力があります。
70年代前半のブラザーの代表的なミシン、ペースセッターと似た外観でありながら、その後の大ヒットシリーズ・コンパルという名を持つミシン。
コンパルといえば初期電子ミシンであり、その後コンピューター化されますが、このミシンはコンパルでも電動です。
ペースセッターと同じく、模様選択や送り、ふり幅調節のあたりに、何色も鮮やかな色がバランスよく配置されていて綺麗です。


説明書はなかったのですが、ネット上でみつけたペースセッターのものが参考になりました。上糸かけ、下糸巻、模様選択の方法などはペースセッターとほぼ同じです。

釜は垂直半回転。付属品にはアルミでなく、ブラザー純正のプラスチックボビンがついていました。白くて綺麗です。これが同時期のジャノメだと青いボビンでした。

動きは普通の電動ミシンで、フットコン操作のみです。
ただし、付属品がこれでもかというくらいついています。

押えも、三巻やコンシールファスナー、直線用、ジッパーなど10種類くらいあり、この当時のミシンに見られた単環縫いチェーンステッチ用の部品もあります。直線用針板もついていて、およそソーイングに必要なものは殆ど既に揃っています。

重さはそれ以前のフラットベッドのジグザグミシンよりも軽く、ハンドルもついているので、出し入れも楽です。

フリーアームにするのも最近よくある付属品ケース全体をずらすのではなく、手前のベッドを少し持ち上げるだけでOK。
その下には糸かけ図も描かれていて親切。

送り歯のアップ・ダウンも手前にあるレバーで簡単。

もの足りなさを感じるとすれば、針基線が中基線か左基線にしかならない事。(ペースセッターは右基線もあるようですが、コンパルEXは右には出来ないようです。)
敢えてあげるならそれくらいです。私の好きなダブルオーバーロック縫いもできます。


パワーや貫通力、縫い模様数など特に他のものに比べて格段に優れているわけではないのですが、通常のソーイングで求められるパワーや機能が備わっていてこのミシンでいい、こういうミシンがあれば十分と思わせるミシンです。

プラスチックのボディではないので、古くなってもちょっと拭き掃除すれば新品に限りなく近いくらい綺麗になります。白さも製造当時とあまり変わらないのではないかと思われます。保管状態を良くして、丁寧に扱えば長年使えそうなミシンです。

大きさ、重さ、パワーすべてにおいて、ベーシックな半回転垂直釜の電動ジグザグフリーアームミシンという気がします。フットコンでの細かな速度操作もしやすく、動きも滑らかで使いやすいです。

2015/09/21

ミシンのふところの大きさ

縫いやすさの目安ともいわれる懐の大きさ、、持っているミシンを実際に測ってまとめてみました。

以下、幅、高さの順に記載。
幅は針穴中心から右の空間 高さは懐の中心点あたりの高さです。

JUKI シュプール25SP
職業用ミシン
幅、高さともに家庭用よりどれも広め。十分な広さがあり、一般的なソーイングで困ることはない。

・JUKI シュプール25SP 幅22cm×高さ15cm
・ベビーロック Excim Pro 22.5cm×14cm
・シンガー188U 2 21.5cm×14cm





海外(ヨーロッパ)メーカー・家庭用ミシン 
ベルニナ ビルティオーゾ160
キルト用にも使えるように通常家庭用よりやや広め。
現在のハスクバーナのミシンはさらに広く22~25cmくらいあるようです。
日本メーカーでも上位機種はもっとアームが長いものもあります。
エルナ(ジャノメ製)のエクセレンスなどもアームがかなり長い。

・Electrolux 990  幅19cm×高さ11.5cm
・ベルニナ・ビルティオーゾ160  19cm×11cm
・ベルニナ・アーティスタ170  19cm×10cm 
  (液晶タッチパネルモニターの分だけビルティオーゾより高さがない。)



標準的な家庭用ミシン
シンガー 192U
家庭用ミシンの基準となったシンガー15種が17cm×12cm。これにあわせて殆どのものが幅17×高さ12が基準となっているようです。
JUKI HZL-7800やリッカー・ベルニナ・ホリデーヌはこれに比べるとやや狭くなっているが小さすぎるということはない。普通の衣料を縫うにはこれ位でも十分。ただし大き目のキルトなどをする場合はもう少し広い方がやりやすいはずです。

・シンガー 15-90  幅17cm強×高さ12cm強
・シンガー 192U 17cm×12cm
・JANOME Two in One 17cm×12cm
・シンガー Sc-380 17cm×12cm
・TOYOTA HZ-586  17cm×11.5cm
・JUKI HZL-7800 15.5cm×12cm
・リッカー・ベルニナ RCM1230 16cm×11cm


ジャガー Mate Mark2
コンパクトミシン(と呼ばれるもの)
A◆70年代のもの
 家庭用に比べて特別小さすぎると言うほどではない。
 本体の大きさを考えると、懐は広めにとられている。

・シンガー Mon ami353  幅15.5×高さ12cm
・ジャガー Mate mark2  15cm×11cm
    (アームがカーブしていて一番長い所は幅17.5cm)
・エルナ ロータスtsp  15.5cm×11cm



ジャガー CD-2204

B◆近年の通販ミシン
やや小さ目の印象。
・ジャガー CD-2204 幅14cm×高さ9cm


コンパクトミシンも古いものはそれなりに広さがあるようですので、それほど、狭すぎるということもないようです。




現行の安価なプラスチックミシンは、幅が13cmくらいしかないものが多く高さもありません。ジャガーのキティちゃんミシンでいうと幅9cm×高さ8.5cmしかないです。
これでは縫うものが限られるか、よほどの強者でない限り、大物の衣料を縫うことは難しいです。

フルサイズの家庭用ミシンくらいあれば衣料制作などはほぼ問題ないでしょう。

以上ミシンのふところサイズの実測値比較でした。

2015/09/15

送り歯の数と送り性能について

最近のミシンは昔のものに比べて送り歯の数が多くなっています。
これはジグザグ幅が7㎜のものが多く、昔のミシンに比べて広く、送り歯の数を増やしやすいというのもあるでしょう。
通販ミシンのジャガー2204は送り歯が6枚あります。シンガー モナミSC-380は7枚です。
シンガー SC-380
最近のミシンでは送り歯、6枚! 7枚!など、送り歯の数が多いのでしっかり布を送ると言う売り文句をよく目にします。
シンガーのモナミヌウシリーズを例にとると、7枚と言っても、手前の2枚はかなり小さなものですし、奥の左から2枚目、3枚目は同じ針板の穴に配置されています。
無理に送り歯を多くしたようにも見て取れます。

昔の鋳物直線ミシンをはじめ、今の職業用ミシンも直線専用のものは送り歯3枚が基本です。また家庭用でもふり幅5㎜のリッカー・ベルニナ・ホリデーヌシリーズは3枚ですが、どれよりも送りがいいのではないかと思うくらいしっかりと生地を送ります。上のシンガーSC-380に比べて、各送り歯が大き目で頑丈な印象です。

リッカー・ベルニナ ホリデーヌ
ベルニナは工業用と同じBOX送りになっていて、布をホールドしたら送り歯が水平に動き生地を規則正しく送ってくれます。最近のJUKIの家庭用ミシン、エクシードやグレースシリーズもBOX送りだそうです。

私は送り歯の数は送り性能に全く関係ないと思っています。それよりも送り歯の形状と送り方が重要です。
また、送り歯が少ない方が、カーブは縫いやすい気がします。少なくとも私はそうです。押えも細めで生地や縫い目も見やすいからです。

ミシンのカタログに送り歯7枚!なんて書かれていても全く響かないというか、その部分はほぼ見ていません。
だから、送り歯の数を売りにしたり、無理に送り歯を増やすことに躍起になるのはやめてほしいです。それよりもせいぜい5枚くらいでしっかり送れるものがいいです。
あまり送り歯が多すぎると針板、針周辺がガチャガチャした印象で、見た目にもあまり好きではありません。

2015/09/08

テレビ通販のミシンを使ってみた感想

ジャガー2204を使ってみて私が感じたのは、一部の人にネットでコテンパンに言われている程悪くはない、ということです。テレビ通販でも、もっと軽い電池やアダプターで動くようなメーカー名もよくわからないものとは明らかに違うでしょう。

本体が小さく軽いので、頑丈で重量もある他の家庭用上位ミシンに比べるとやや心もとない印象は確かにあります。あまり無理はさせられないなーと使っていても感じます。
ただし、少なくとも家電店や量販店で置いてあるミシンよりはこれの方がいいと思います。そういう場所にあるミシンには、ジャガー2204よりもさらにコンパクトな電動ミシンも結構あります。プラスチック感満載で軽く、模様選択ダイヤルやレバーをガチャガチャ動かしみても、何だか頼りなく、ある意味おもちゃみたいなものです。

ジャガーCD-2204 はこういうものとは違います。重量7kg程度で安定感はそれなりにあります。
消費電力は65W ですので、今のブラザーやジャノメのミシンでも40~50Wくらいしかないものがあることを考えると、恐ろしく非力というわけではないです。
実際使ってみてもこれは本当にダメだな、とは感じません。

もちろん、部品もプラスチック樹脂でコストダウンしたものを使っていて、上位機種に比べれば耐久性・パワーは劣るでしょうが、ヘビーに使わない人、大物や難素材は縫わない人はこれでも十分に使えるミシンだと思います。

長年使っていくとどうなるかはわかりませんが、少し使った感想としては悪くはないという事です。動きも滑らかで、音も静かで心地よく、普通地であれば快調に綺麗に縫って行きます。

安価なミシンは調整値にばらつきがあるので、全ての機体が良いとは限らないということを付け加えておきますが、少なくとも私はこのミシン、価格のわりになかなかのものだと思いました。

ずーっと気になっていた通販ミシンを実際に手にして、触ってみることが出来て、満足しました。

2015/09/06

ジャガーCD-2204 機能特徴

今回はジャガー2204の機能的な特徴について、いくつかのポイントを上げてみます。

上糸通しが変わっている。
左サイドの上糸通し用レバー
今のミシンはスリット状になっていて、天秤が見えないようになっているものが多いですが、これも同じくです。ただし、今までのミシンとは違い、上糸かけがかなり簡略化されていて、びっくりするくらいです。普通は、上糸を掛ける時、下に下ろした糸を天秤にかけるために再度あげるのですが、これは下ろしたらすぐに針棒のスリットまで持っていきます。
その後、これまた変わった針穴糸通し器に欠けて、左サイドパネルにあるレバーを下ろすと、糸通し器が動き、糸が針に入っていきます。
その後は今までの自動針穴糸通し器と同じようにループになった糸を引き出すだけ。

初心者でもわかりやすく簡略化したのでしょうが、これだとミシンの仕組みを全く理解しないまま終わりそうです。おそらく内部でうまく糸がかかるようになっているのでしょうが、何も見えないのでやや気持ち悪いです。



操作ボタン
ボタンを押して模様選択すれば、あとはスタート、ストップ(開始・停止)ボタンを押せば針が動き、もう一度押せば止まります。
開始・停止ボタンは小さ目で、下に向いていてやや押しにくいのですが、その上にある返しぬい・止めぬいボタンは大きく押しやすいです。
フットコントローラーが標準装備でフットコンを使う場合が殆どでしょうから、ボタンの位置はこれでいいのでしょう。



ふところサイズ
コンパクトミシンの範疇にはいるものなので、懐はやや狭いです。


縫い模様
こんなにたくさん使うことはないでしょうが、縫い模様も70種類ほどあります。
本体右側に縫い模様が表示されていて、模様の上の番号を上にあるボタンで選択するようになっています。模様番号表示液晶の文字も大きくて見やすく、模様選択で戸惑う人はいないでしょう。
ボタンホールも3種類あります。


上糸をかけていないと自動で止まる。
ミシンに糸かけをしていないとスタートしても数針縫った後に、ピーピーピーと警告音が鳴り、ミシンが止まってしまいます。そのことはミシン上面に記載されています。

注油などメンテナンスはユーザーでしないという前提で、注油後の慣らし運転など想定していないのでしょうが、これはやや不満です。
水平釜プラスチックボビンの最近のコンピューターミシンは押えを下げないと針が動かないなどありましたが、糸を通していないと針が止まるミシンは初めてです。

LEDライト
ライトはLEDです。LED照明はやや暗く感じるので私はあまり好きではありませんが、今のスタンダードとしてはLEDなのでしょう。使用上は問題なく手元を照らしてくれます。

送り歯ダウン機能はなし。
ドロップフィード(送り歯ダウン)機能はついていないので、ダーニングプレートがついています。ただし、昔のものと違ってプラスチックで軽いものです。
こんなのでもいいのかと思うくらいですが、実際に取り付けてみるといとも簡単に針板に取り付けられました。
 ※同じ通販ミシンでもシンガーSN-777シリーズなんかはドロップフィードがあるようです。

機能的な特徴はこんなところです。
実際に使った感想は次回。

2015/09/05

ついに手にしたテレビ通販のミシン 購入ミシンNO.41 ジャガー CD-2204W

以前、通販ミシンについて気になっている旨の投稿をしました。
初心者の人がどのミシンを買おうか迷っていて、テレビ通販でやっていたミシンはどうでしょうか?なんて質問をしたら、答える人(特にミシンに精通している人)は大体こう書いています。
”テレビ通販のミシンなんて買うものではない。” ”パワーもないし、すぐに壊れる” ”お金を無駄にしたくないなら5万円、せめて3~4万円のミシンを買わないといけない” と。

当然のように山崎ミシンも批判の的です。
私の購入ミシン第1号は通販で有名な山崎範夫のミシンです。当初はそれでも十分でした。革や厚物を縫いたい場合は山崎では物足りなくなり、その後多くの頑丈なミシンを手にしましたが、山崎ミシンも結構気に入っていました。またフットコンを付けられない初代モデルだったので、もう手元にはありませんが、最初のミシンだっただけに手放す時は心惜しく思ったものです。
厚地はモーターの力だけでは止まってしまう時もありましたが、普通地を縫うなら十分に機能しますし、うまく縫えないなんてこともあまりなかったです。

そして、テレビ通販もいくつかありますが、私が買ったジャガーのミシンはジャパネットで売っていたもの、ジャガーのCD-2204Wです。


CD-2204MPなど型番末尾にMPとついているのはピンク色。ミルキーピンクの略だそうです。
私が買ったのはW ホワイトです。白いプラスチックで艶があり綺麗な今っぽい外観のミシンです。
重さは6.9kg。
ちなみにTBSや日テレ、QVCは主にシンガーのSN-777シリーズを売っています。シンガーのSN-777は重量が5.7~5.9kgくらいなので、こちらの方がやや重めです。ただし、私が持っている他のミシンに比べると軽く感じます。

ジャガー2204はハードケースがついていたのですが、ミシンが小ぶりなわりにケースがミシンに比して大きいです。

私の買ったものはワイドテーブルが欠品していたのですが、本体とケースの隙間にワイドテーブルをいれられるのか、その辺の事情は定かではないのですが、とにかくケースがでかい。
ミシンが折角コンパクトなのにこれでは収納時にフルサイズミシンくらい場所を取ります。

かといって、ケースに説明書やフットコントローラーを収納できるポケットがあったりはしません。どうしてこの大きさこの形なのか、不思議です。

ちなみにシンガーモナミヌウシリーズもミシンの大きさに比してケースが大きいのですが、収納スペースが外についていて、内側にミシンの形に合うような発泡スチロールが入っているので本体にピタッとはまります。
もしかしたらジャガーのものも内側に発砲スチロールかなんが入っていたのかもしれませんが、いずれにしても収納もない割に、無駄に大きいです。

ボディにはこれでもかというくらい、注意書きが書いてあります。糸の通し方、下糸巻のガイド図、注意事項など。

昔の鋳物ミシンなんて糸通しがややこしくても何にもかいていなかったのに、最近のものは何でも便利にできていますね。“あんしん設計”といったものでしょうか。

続きはまた次回



2015/08/30

ゆっくり、じっくり、丁寧に

シンガーの192Uを使って縫物をしていると、他のコンピューターミシンとは違い丁寧に生地をセッティングして、ゆっくり縫うようになっている自分に気付きました。

自分の欠点として、何でも急いで早くやろうとしてしまうところがあります。それでうまく行けばいいのですが、動きが雑になってしまうので、急いだばっかりに失敗してしまう事もしばしば。結局急がばまわれということで、ゆっくり丁寧にしたものは、仕上がりも納得が行く、綺麗なものになります。
今の生活をしていると何でも急いですること、効率ばかりを求めて楽にすることばかり身についていますが、この時代のものを使うと自分の心や動きもゆっくりしてくるような気がします。

Merchant&MillsのCarolyn Denhamさんがシンガーの電動モーターを付けた鋳物黒ミシンで楽しそうに縫っているのを見て、自分もゆっくりじっくり楽しく、丁寧に縫う事を心がけていこうと改めて思いました。

職業用ミシンは1分間に1500針、ジャノメやそのOEMのジューキ・エクシムプロなどは1600針、ジャノメCKは家庭用ながら1000針で早い!、と数字ばかり先走りしている昨今のミシン業界。そういう数字を見るとどんなに優れたミシンなのだろうと思ったりします。早いしパワーもあるし、いいのだろうと、提示された数字を基準に選びがちですが、いったいどれくらいの人が最高速度で長時間縫うのでしょうか。

家庭用ミシンが遅く感じるので、何とか早く縫いたいと言う人は職業用や工業用を買えばいいですが、そういう人はそれ程多くはないでしょう。
パワーがあってシンプルで使いやすいミシンというのはもちろん必要とされるものですが、1分間に何針かということは、多くの人に重要な事ではありません。
数字を見るのではなく、自分にとって何が必要かいうことをまず考えなければなりません。

学校選びでも、その学校の理念や環境が自分に合っているかという事より、偏差値や大企業への就職率などの数字を頼りにしても、実際の内情は数字では表しきれません。就職率がよくてもどんな形で就職したかはわかりませんし、すぐにやめている人の数字はここには出てきません。
偏差値もおおよその参考にはなりますが、どういう教育内容か先生はどういう指導をしているか、他の学生がどういう人たちかなどということはわかりません。
数字はあくまで参考にしかならないのです。
今は企業評価でも、売上、株価、給与、またはランキングなど数字を基準に判断することが多いですが、いい会社かどうかはどれだけの人や社会に対して貢献できたかで評価されるべきです。

工場で同じものを何百枚、何千枚と縫うなら、工業用で5000針ほどもスピードが出るものは必要でしょうが、家庭で縫う場合やオーダーを受けて1点ものを作る仕立屋はそんなに早くなくてもいいのです。だから足踏みの職業用ミシンをいまだに使っているテーラーの人もいるのでしょう。

待ち針を引き抜くことや、カーブ、方向転換などを考えるとそんなに早いスピードでなくてもいいはずです。ソーイングも実際にミシンを動かしている時間よりも、生地を切ったり、アイロンしたり、生地合わせをしたり、しつけをしたり、待ち針を売ったりといった作業が多くを占めるですから、それらをきっちり丁寧に、そしてミシンもゆっくり丁寧にを心掛けて、慣れたら少し早くしてみるのもいいですが、早く完成させよう、終わらせようと思わず、丁寧にゆっくり落ち着いてやった方がいいものが仕上がる気がします。

この192Uを買って改めて、ゆっくり丁寧に、そんな大事な事に気付かされました。
これはミシンだけでなく、料理や洗濯、買いもの、普段の生活全般に言えるのではないでしょうか。
早くしないと終わらないということであれば、どうやったらそれを解決できるか、別の方法を考えればいいのではないかと思います。
本当にそんなに早くしないといけないのか。今それをしないといけないのかと。

2015/08/27

192Uの返し縫レバーとインチ表記

シンガー192は基本部分が以前紹介したシンガー15種の代表的なミシン15-90と同じで、送り幅調節のレバーは返し縫いレバーにもなっています。

希望の送り幅の位置に持ってきて、左側の丸いネジを固定。
これにより送り幅が固定されます。

返し縫いをしたい場合はこのレバーを目いっぱい上げたら基本的には同じ幅で返し縫い出来るようになっています。

このレバーは返し縫い状態にするのにバネが利いているわけではないので、返し縫いの位置で簡単に固定できます。よって、延々返し縫い状態にすることも容易です。
15-90や192Uを足踏みで使う場合、このレバーの便利さをより実感することができるでしょう。

職業用ミシンの188U2の場合、返し縫いレバーは固定されません。


返し縫い状態にするためには右手でレバーを押えておかなければならないのは他のミシンと同じですが、足踏みの場合プーリーも縫い初めに回す必要があり、慣れてくればうまくできるようになりますが、なかなか難しいです。
これが192Uだと返し縫い時もレバーを固定することができるので、縫い初めの手廻しが楽です。

こういう点は家庭用足踏みミシンの方が職業用より親切な作りになっています。スピードが速く懐も広い職業用ですが、操作は家庭用の方がやりやすい。
なんでも一長一短ですね。

ちなみにシンガーはアメリカの会社なので、昔のシンガーミシンは送り長さもインチ表記です。
6や10などの文字は、1インチあたり何針縫うかということを表しています。
1インチ = 2.54 センチメートルですので、6だと大体4㎜ちょっと。10だと2.5㎜程度ということになります。

ちなみに針板のラインはJUKIやベルニナでもインチ表記が併記されているものもあります。

あまり日本ではインチやヤードはなじみがないので難しいですが、アメリカでは生地販売もヤードを基本としているようです。
1ヤード = 0.9144 メートルで、ざっくりと捉えると90cmなので、日本(1m単位)よりもちょっと短めです。

2015/08/24

鋳物職業用ミシンと家庭用ミシンのベッド面のサイズ。台の違い。

以前から気になっていた家庭用ミシンと職業用ミシンのベッド面の大きさ、つまり家庭用ミシン台と職業用ミシン台はどれくらい違うのかという事ですが、シンガー192Uを買ったので改めて測ってみました。

シンガーの職業用188Uはやや大きい気がするもののどれくらい家庭用と違うのか実際に知りたかったのです。

ベッド面の寸法は
・家庭用192Uは、横幅37cm×奥行18cm弱。
・職業用188Uは、横幅40cm×奥行18cm

家庭用の方が3㎝横幅が狭いですが、奥行はどちらも18cm程度でほぼ同じです。
ということで、横幅が違うというだけでした。
 左:家庭用192U  右:職業用188U2
横幅が違うので、足踏み台や電動ポータブルケースは同じ寸法ではなく、乗せかえる事はできません。

足踏みの台も、家庭用は内側に倒してしまってしまえばミシンをすっぽり収納できるので、使わない時は台として使えますが、職業用はそういう仕様にはなっておらず、ミシンを載せておくことしかできません。
この辺が職業で頻繁に使う人用に作られたものと、家庭で時々使う人向けのものの違いです。

なお、車輪も職業用は大きいので家庭用である車輪部分も含めて蓋をしてしまってボックス型になるような事はありません。

2015/08/22

直線専用、シンガー15種の後期版。購入ミシンNO. 40 シンガー 192U

シンガーの15種と言われるミシンは、家庭用ミシンのスタンダードとなった機種です。
シンガー 192
私がなぜシンガー15種を持っていながら、この192Uを買ったのかというと、私の持っている15-90にいくばくかの不満があったからです。
・膝レバーで動かすので微妙な速度操作がしづらい。
・モーターの取り付け部が一度破損したので、状態が不安定。
・ベッド面にやや傷があり、デカルといわれる模様がはがれてきている。

この不満点を解消するため
・フットコントローラー操作が出来るもの。
・モーターが正常で取り換えも簡単なもの。
・本体が綺麗なもの。
を探していたら、黒ミシンとは違い、やわらかい雰囲気がありながらも頑丈な鋳物シンガーがみつかりました。


ベージュのカラーリングはシンガー191Uという人気機種でもありましたが、192よりも茶系に近い色です。
シンガー15種ミシンを糸調子器や天秤を前面にもってきて使いやすくしたのが191Uで、日本メーカーが大量に生産していたかつての直線鋳物家庭用ミシンも天秤や糸調子器が前を向いているので、、どちらかと言えば191U に似ています。

家庭用ミシンの基本モデルとなった15種と、191・192の違いと言えば、送り歯の高さがダイヤルで調節できるところです。押え圧調節に加えて、送り歯の高さを調節すれば生地の厚さに合わせて送りが最適化されます。これはとても便利です。
15-90ではベッド下の下軸駆動のあたりで送り歯の調節ができるのですが、本体が重く、奥に倒すとケースも倒れそうになるので、とてもやりにくいのです。
昔の直線ミシンの最大の難点は重いということなのですが、送り歯調節や下軸への注油も本体をたおさないとできず、時に台ごと傾いてしまい安定しないので、大仕事です。
下左のシルバーの丸いものが送り歯高さ調節
実際に使った感想はというと、他の鋳物ミシンとそれほど操作感は変わりません。縫目も綺麗に出ます。
そして、同じようにシンガーの古いミシンの匂いがします。
これはシンガーの匂いなのか、油なのか、鉄の匂いなのかわかりませんが、ジャノメの古い直線ミシンHL2-350 ではこの匂いはしませんでした。
だから、私にはシンガーの匂いだと感じるのです。

この192Uはとにかく重いです。大きさはそれ程でもないのですが、本体重量16.7Kg (モーターと台を含む) それにフットコントローラーを入れると17.4Kg、ケースを入れて量ると20.6kgもあります。
これは備え付けで置いておく場所がないとキツイです。持ち運びはできますが、これを使うたびに出してくるのはとても大変です。女性ならさらに負担に思うでしょう。

カバーも木製なので、プラスチック製のものに比べて重さがあります。ミシンと台の上からこのケースをかぶせると、カチッと内側でストッパーがとまるようになっているので、便利ですが、いかんせん重い。

動作時の安定と持ち運びの両方を考えると、ミシンは7~11kgくらいがちょうどいいのだと思います。あまり重いと乗せるテーブルもしっかりしたものでなくてはならず、気がかりです。

コンピューターミシンが主流になり、自動制御で便利機能がついて進化した一方で、部品も安価な樹脂製になり耐久性は昔のミシンには及ばないと言われる昨今のミシンですが、軽くて持ち運びやすくなったと言うのがミシンのここ20~30年の発展の大きなものと言えるのかもしれませんね。
あまり重いものはやはり身体的にも心理的にも負担になりますから。

2015/08/17

ミシン糸あれこれ

ミシン糸と一言にいっても、日本にも海外にもメーカーや種類が色々とあります。
私も糸についてはそれ程詳しくはないのですが、調べた事を後々の備忘録もかねて書いてみます。

素材
昔のミシンを買うとよくカタン糸やコットン100%の糸がついています。
これらには普通のコットン地のようなものもありますが、艶のある糸もあります。
こういうものを今買う事はあまりありません。売っているのは見かけるので、手縫いや昔のミシンで使う人がいるのでしょう。

カタン糸ってなんでこんな呼び方をするのかと思っていたら、カタンとはコットンがなまったものらしいですね。

今のミシンはポリエステル系の糸で調整されているので、コットン系の糸を使うと糸調子が合わなじかったり、糸切れすることもあるようです。プラスチック満載の今のミシンでは負担がかかりすぎるとも言われます。

現在主流の化繊、ポリエステルの糸は、どんな素材にもなじみやすく、すべりもよいのでミシンでも縫いやすいのが特徴で、綿糸の風合いも持たせているようです。ポリエステル系の糸の中でもスパン糸が最も売れているものです。
その中でも、日本で一番メジャーなものがフジックスのシャッペスパンでしょうか。

ニット地にはナイロン系のウーリーやレジロン、などの伸縮性のある糸が向いているとか。
ウーリーにはナイロン以外にポリエステル100%のものもあるようで、主にロックミシンで使用されます。
レジロンはシャッペスパンと同じフジックスの糸の名前です。旭化成のレオナ66というのも同じようなものです。
上糸をレジロン(orスパン)、下糸をウーリーにして縫うとより良いようです。

ロックミシン用 90番

太さ、番手

糸の太さを表す番手は、針とは逆に、数字が大きくなればなるほど細い糸です。

最も一般的なのが60番手で今の家庭用ミシンの自動糸調子も60番手を基準にして設定されているようです。

ロックミシンは90番で縫う事が多いです。ロック用として一番多く売られているのは1000mから2000mくらいの太いコーンに巻かれた糸です。
一般的な家庭用ミシンでは30番手までが対応糸のようです。




ジーンズの裾などステッチを目立たせるものは20番で縫う事が多いようです。


8番であれば職業用なら何とかいけるかもしれませんが、通常は20番くらいまででしょう。
8番、5番以上になると釜の調整などが必要になるようで、太糸・厚地専用の工業用ミシンか改造ミシンの範疇です。

60番、3000m糸巻


ちなみに靴づくりの時はポストミシンに30番のテトロン糸をかけて縫っていました。テトロンは絹ミシン糸をも意識して開発された光沢のある糸です。

長さ当たりの金額を考えると工業用の2000~3000m巻のものなどが一番安いということになりそうですが、家庭用で気軽に使うには普通の150~200m巻くらいのものが普通です。

私はあまり糸にはお金をかけたくないので、出来る限り安ければいいと思っています。3000m巻のものも買いますが、これらはベーシックな生成り、黒などを買っています。


それ以外の色が必要になると、100円ショップ・ダイソーの日本製のものを買います。
中国製は毛羽立ちが多く、質も良くないようなので買いません。最初期に安いからと買ったもののミシンによっては、よく糸切れをおこしました。
また50m巻の細い糸巻が何色もセットになったものも中国製で、こちらも質はそれなりです。ただし今の水平釜のミシンであればこういうものでも問題なく縫える事も多いでしょう。
100円ショップ セット糸
台湾製もありますが、一応の基準として100円ショップなどでも日本製のものを買うようにしています。ダイソーの日本製のものは、50番手なのですが、この糸でトラブルがあったこともありませんし、近くにダイソーがあるのでなくなったらすぐに買いに行くことが出来ます。近場に手芸店がないので、ついこのダイソーの日本製で済ませてしまいます。
ダイソー 50番 日本製ミシン糸 200m
ダイソー以外の100円ショップでも、150m巻でシャッペスパンと同じフジックスの日本製スパン糸があるので、それを買う事もあります。
フジックス 100円 ミシン糸
また以前から海外の糸も気になっていました。
海外のソーイングのビデオなどでよくGutermannと書かれた糸を見かけました。以前買った中古ミシンの中にこのギッターマンの糸が入っていました。ミシン自体が古いものなので糸巻にはW.Germanyと書かれています。西ドイツがまだあった頃のものです。


糸巻は日本ではシャッペスパンなどにあるような形が主流ですし、アメリカもCoats & Clark社など、日本と同じようなものが使われていますが、ヨーロッパではギッターマンの糸巻のようなものが多いようです。
この糸巻が何ともカッコいいなと思って、いくつか買おうかなと思いユザワヤに行ったのですが、その店舗には欲しい色が在庫切れでほとんどなかったので1色だけ買いました。サルキーという種類のポリエステル系の糸です。ギッターマンはドイツのメーカーのようですが、この糸はSwiss Madeと書かれていました。

その他の色は、別の手芸店にあったメトラー(スイスのメーカーのようです)のメトロシーンという糸を買いました。これもギッターマンと同じような糸巻でなかなかいいです。太い方は500m巻なのですが、それほど高くなかったです。

質はおそらく日本製シャッペスパンとあまり変わらないと思いますが、何となく形とデザインがいいので買ってしまいました。結構気に入っています。

ただし、メトラーの糸もGerman Madeと書かれた白い糸巻で売っていましたが、在庫がなくなり次第、赤の糸巻に切り替わるそうです。別の手芸店ではメトラー・メトロシーンの糸は全て赤に切り替わっていました。糸巻の色が変わるだけならいいのですが、赤いものはGerman Engineered, Made in Chinaとなっていました。要は中国製になったということです。
品質に差がないのかもしれませんが、中国製であれば何もこれを買う意味もなく、日本製のシャッペスパンや、ひいては日本製の100円ショップのものがいいのかと思ってしまいますね。糸巻の赤の色も何となくぼんやりしたような感じでした。

普通のソーイング好きの人はシャッペスパンなど日本メーカーのスパン糸を買う事が多いですし、これを買えば無難であることは間違いありません。一般的な家庭での使用では一部の質の良くない中国製糸などを除いて、それほど気にしないでも快適にソーイングは出来ると思います。

以前買ったミシンについていた糸でタイ製のものがありました。手芸店でも安売りの特価品ということで最近タイ製の糸を見かけます。色んなものの生産が、先進各国から中国へ、その後東南アジアへとシフトしていっているのでしょう。