2016/08/29

Knit 13 トルネイオ バインダー押えを使ってみた(純正ではない)

カバーステッチで襟ぐりの処理などに使うことが多いバインダー押え。

メーカー純正のバインダー押えは1万円くらいしますので、なかなか購入には踏み切れません。そこで純正ではないものをネットで購入して使ってみることにしました。

バインダー押えを使うには、機種によってアタッチメントを付けないと取り付けられないものがあります。トルネィオでは、裾引きガイドやカバーヘムガイドを付けてからネジでとめます。
またジャノメ純正のバインダーには専用の押えがついてきます。社外品を買った自分は標準の押えで縫っていますが、問題なく縫えます。おそらく純正のものの方がやりやすいというのはあるでしょうが、細かいことは気にしません。
バインダー用の取り付けネジ穴がない機種ではガムテープなどでとめて使ってもいいようですし、工夫すればなんでも何とかなったりしますね。


実際に縫ったものがこちら
薄いベージュの生地に紺色のバインダー生地を付けてみました。

するすると生地を吸い込まれるように押えの下に入っていき、針が縫っていくさまは見ていて気持ちいいです。
かなり難しいのではないかと心配していましたが、丁寧にゆっくりやれば最初からそこそこに縫えました。

なんでも慣れないうちは、ゆっくり、丁寧に、これにつきますね。




2016/08/27

Knit12 2本針カバーステッチミシン トルネィオ795Uの使用感

今回はトルネィオ795の機能特徴と使用感について書いてみたいと思います。

糸通しは意外に簡単。

ロックミシンほど糸通しは難しくありません。これくらいの手間であれば自動糸通しは要らないと思います。
同じジャノメのロックミシンは、ピンセットがないと下ルーパーの糸通しが非常に難しいのですが、これはピンセットなしで通すこともできます。
2本の針糸の糸通しもロックミシンよりは針周りのスペースがあるので、それ程手間がかからずに通せます。


●糸処理は少し手間がかかるが、慣れれば難しくない。

ベビーロックのふらっとろっくはロックミシンと同じような空環(からかん)ができるようですが、トルネィオではできないので、縫いはじめと縫い終わりの糸処理がほかのミシンと違った形になります。

縫い初めの準備として、説明書には捨て布を用意し、2,3針手廻しで縫って、下糸を上げると書いてあるが、これも慣れればすぐできます。捨て布も糸を引き上げた後、するすると糸が抜けるので、糸引上げ用として繰り返し使う事もできます。

縫い終わりの糸処理は 押えを上げて、針糸2本を針穴の手前で引っ張り、押えの下にピンセットなどを入れて押えの下から手前に引き出し、2本の糸を切る。その後布を後ろに引っ張れば、針糸2本が布裏に引き出され、3本の糸を手で結ぶだけです。

袖口や裾を縫う時、縫い初めの数針に重ねて最後縫いますが、縫い初めの3本の糸が結べないのが気になるので、縫い重ねる直前、縫っている途中で縫い初めの針糸2本を裏に引き出して結んでから、縫い重ねるようにしています。



表側から縫うので、際をきれいに縫うのは難しい。

慎重に丁寧にやらないと最初から綺麗にに縫うのは難しいです。ある程度自分なりのやりやすい方法を見つければだんだんと慣れてくる気がします。
アイロンで整えて縫い線を書いてから縫う、もしくは、表から綺麗にまっすぐ縫うのを助けるガイド押え(メーカーにより形状・名称は違う)を使うことでより縫いやすくなります。
または、余分に布を切っておいて、縫った後で余った布をはさみで切るようにすれば、縫い目が際から外れてしまうことはありません。


●3本針カバーステッチにはならないが。

795Uは2本針なので、3本針カバーステッチはできません。殆ど使う事のない機能ですが、どうしても3本針にしたい時は、2本カバーステッチをした後、2本の真ん中にチェーンステッチをする、orチェーンステッチをした後、その縫い目をセンターガイド線に見立てて、はさむように2本針カバーステッチをすれば、表からは3本になります。裏もそれ程違いがないように見え、縫い目の強化にもなるのではと思います。
(ただし、これは自分の単なる思い付きなので、おすすめするものではありません。)



2016/08/25

Knit 11 やっと手にしたカバーステッチミシン 購入ミシンNo.46 ジャノメ トルネィオ 795U

以前からあればいいなと思っていたものの、ニットソーイングの裾処理のためだけに、なかなか数万円を出すことができないと思っていたカバーステッチミシン。運よく安価で中古を手に入れることができました。

購入したのは2本針のベーシックなジャノメ795Uです。欲を言えば3本針の機種が欲しかったところですが、自分の使用目的を考えた場合ほとんど2本針でしか使わないので、これで十分事足ります。

実際に手にしてみて感じたのはボディが思っていたより大きいという事です。


ふらっとろっくは実際に見たことがあったので、それと同じくらいのものを想像していたのですが、トルネィオはふらっとろっくよりもかなり大きいです。
ふらっとろっくはロックミシンとほぼ同じ大きさですが、トルネィオは家庭用ミシンとそれ程変わらない大きさです。全体的な印象として普通の水平釜家庭用ミシンと似た感じです。


トルネィオはふらっとろっくと違う大きな点としては

ふところに空間があること。

フリーアームになること

が上げられます。

はっきり言って、フリーアームはあまり使いません。なくても袖口は縫えます。
ただし、懐の空間は裾や袖口以外で飾り縫いなどしたい場合はあった方が便利なので、この点はふらっとろっくよりも優れていると言えるでしょう。

パワーはふらっとロックの方があると思いますし、ボディもコンパクトになっていて、ふらっとろっくの方が良いと思う向きもあります。
といっても差異は大きなものではないので、それぞれの好みで決めても問題ないのではないかと思います。

私が購入した795Uは2本針で、針の間隔は5㎜、一方3本針にもなる796系統は2本針にした場合、6㎜か3㎜です。

詳細な使用感はまた次回に。



2016/08/22

Knit 10 カバーステッチミシン選び。

ニットソーイングをするにあたって、家庭用ミシンだけで縫うやり方からはじめて、ロックミシンを使う場合について前回まで書いてきました。
今回からはカバーステッチミシンについて書いていきたいと思います。

カバーステッチミシンは使う用途が限られるので、ほかのミシンに比べて持っている人が少ないものです。
ソーイング教室でもカバーステッチミシンがないところもあるようですし、ニットをあまり縫わないと言う人は何万円もかけて買う程ではないでしょう。

家庭用のカバーステッチ機が登場したのも2000年前後とまだ歴史も浅いものですし、家庭用やロックミシンにくらべれば、販売機種数も格段に少ないです。

私も欲しいなーとは思いながらも、あまりニットを縫わないし、どうしたものかと思っていましたが、たまたま安く中古が手に入ったので2本針のベーシックなものを手に入れる事ができました。
今回は、購入する前にカバーステッチ機についていろいろ調べたことをまとめてみます。


カバーステッチ専用機

ジューキbaby lockのふらっとろっくとジャノメのトルネィオが有名です。日本では殆どの人がこの2社のいずれかの機種を使っているものと思われます。
ふらっとろっく は3本針のBL72Sのほか、 2本針 BL71、ニットソーイングクラブとのコラボレーションPetit Line・BL700などがあります。
トルネィオは2本針の795U、3本針は796U、HS700などがあり、直営店モデルとしてEsprit796というのもあります。最新のものは796Gです。(2016年8月現在)

ブラザーにもCV100というカバーステッチ機がありますが、上記2社のものほど使っている人は多くないようです。

JUKIには、チェーンステッチ機能がない、2本針のカバーステッチ専用のJUKI MCS-900という機種がありました。現在は3本針でチェーンステッチもできるMCS-1500という機種が販売されています。

性能やパワーなどはふらっとろっくの評判がいいようですが、ふところ幅があるところなど使い勝手の点でトルネィオを推す人もいます。
日本製のためかふらっとろっくが高額なので、リーズナブルなトルネィオで十分と考え、トルネィオを買う人も多いようです。
外観デザインを考慮すると、ブラザーやJUKIのものもいいような気がしますが、まだこの2社のものはカバーステッチミシンではメジャーではないように感じます。


複合機(カバーステッチやチェーンステッチ機能がついたロックミシン)
ベビーロック縫工房、(BL77WJ BL76W)、JUKI345DCなどが主な機種です。ジャノメにはかつて270Bという複合機があり、現行では1200Dが販売されています。
現行複合機はほとんどが3本針5本糸対応で、カバーステッチも3本針が出来、カバーステッチミシンにはできないインターロックという縫い方ができます。
インターロックなどあまり使わない機能でしょうが色々な縫い方が1台の機械できることが特徴です。ジャノメ1200Dには上飾りカバーステッチという機能もあります。

海外ではカバーステッチ専用機よりも、3本針5本糸の複合機が結構販売されています。ベルニナやハスクバーナ、シンガーなどが複合機を販売しているため、複合機の選択肢が豊富です。

複合機・縫工房を、DCモーターにしてパワーを増強、懐も大きくして、ニーリフターまでつけて進化させたのが、ベビーロック縫希星です。海外でOvationという名前で先行発売され、日本で最上位機種として販売されるようになりました。糸も最大8本まで設置でき、縫い方のバリエーションも多く、他の複合機よりも一段上といえるでしょう。
機能・性能ともにとても魅力的な機種ですが、いかんせん高額なのがネックです。

カバーステッチのステッチ(針)の間隔は、縫工房や縫希星は6㎜か3㎜、JUKI345やジャノメ1200Dは5㎜か2.5㎜となっています。


複合機かカバーステッチ専用機か
レビューや経験談などを見てみると、複合機よりもカバーステッチ専用機を推す人がほとんどです。

縫工房を使ったが使いにくかったという意見をよく見かけましたし、あまり奨めないと書かれていることが多かったのです。ロックからカバーへ変更する際や、それをロックに戻す時の糸のかけ替えや、セッティングがとにかく面倒だということでした。

複合機を買ったものの、カバーステッチやチェーンステッチなどは殆ど使った事がないと言う人も少なからずいるようでした。

縫工房やジャノメ1200Dはロックとカバーの専用機を別々に買っても殆ど変わらないくらい高額なので、別々に買ったほうがいいというアドバイスをする人も多いようです。

選択肢も少なく、糸のかけかえやセッティング変更なども手間がかかり、価格も手ごろではない複合機を買うよりは、置く場所があれば、ロック、カバーそれぞれ専用機を買うほうがいいと私も思います。
置く場所もないので一つにまとまった複合機が欲しい場合、日本では最も手ごろな価格のJUKI345がいいのではないでしょうか。
この機種はロックミシンとそれほど価格も変わらないので、購入後ほとんどカバーステッチ機能を使わなかったとしてもそれほど無駄な出費だったとは感じないでしょう。
カバーステッチ専用機を改めて買い足すとしても、ロック専用として十分使っていけます。

ウェーブロック機能や自動糸通しが欲しい場合は、複合機では縫工房か縫希星になりますが、この機能が本当に自分に必要か考えたほうがいいかもしれません。

2016/08/18

Knit 9 カバーステッチがない場合のニットの裾処理 Part 2 家庭用ミシン2本針使用

カバーステッチミシンがない場合のニットの裾処理について、前回屏風だたみ縫いや伸縮糸使用による直線縫いについて書きました。
今回はもう一つのお勧めの方法を紹介したいと思います。

それは、家庭用ミシンの2本針を使用することです。


私もカバーステッチを購入する前は、何とか伸縮に耐えられる、2本の綺麗な平行ステッチができないものかと考えていました。
とりあえず伸縮に耐える直線縫いをしたい場合はレジロン・ウーリーの糸を使って直線縫いをすることをお勧めしますが、カバーステッチと同様の2本の平行な直線にしたい場合はこの方法がいいかもしれません。
結構伸びるニット生地を2本針で縫ってみたのですが、伸ばしてみても切れません。
スパン糸で縫っても伸びます。


一般的に日本ではこのやり方が推奨されていることはあまりありません。
ただし、海外のソーイング関連のページや、動画などでは、ニットソーイングに2本針(Twin Needle)を使えばいいと紹介しているのをたびたび見かけます。
日本で2本針を使ったニット縫製を奨めているのをあまり見かけないのは、一つには手芸店などで2本針が販売されておらず、日本における針のメインメーカーであるオルガンが、2本針をあまり大々的に売り出していないからだとも思われます。
ジャノメやブラザーなども純正2本針があるようですが、2㎜幅など狭い幅などのものが多く、4㎜や6㎜のカバーステッチの代わりになるような幅のものがあまりない事にも起因するのだと思います。

私も2本針はシュメッツのものを使っていますが、これもネットで購入しました。一度買って丁寧に扱えば、そんなに長い距離を縫うものではないので、結構持つと思います。

シュメッツも2本針は2㎜、2.5㎜、3㎜、4㎜、6㎜などがあるようですが、ニットの裾縫いには4㎜が一番お勧めです。4㎜は80/12号と、90/14号の2サイズがあります。2㎜、2.5㎜は12号、3㎜は14号、6㎜は16号のサイズしかありません。

カバーステッチのかわりにするには6㎜サイズもいいのですが、6㎜は16号しかありませんし、またジグザグのふり幅が5㎜という家庭用ミシンでは6㎜幅の2本針は使えません。
最近のミシンは7㎜以上のふり幅のものも結構ありますので、そういうミシンをお持ちであれば見た目を考えて6㎜のものを使うのもいいでしょうが、あまりふり幅が広いミシンは針板の穴が大きいので、ニット生地が食い込みやすくなるという難点もあります。4㎜のものが針のサイズも2種類あり、一番使いやすいのではないかと思います。

カバーステッチと同じく表側から縫う必要があり、縫うのが難しく感じるかもしれませんが、長めにカットしておいて、縫った後に裾や袖の余分な布を切る方法であれば、問題なく縫えるでしょう。

★2本針でニットをきれいに縫うには★
2本針はニット生地が針板に食い込みそうになったり、生地が伸びそうになるデメリットはあります。
さらに、2本の針の間が盛り上がったようになるという特性もあります。(生地の盛り上がりはカバーステッチでも多少は発生します。)

これらを回避するには、押え圧を緩めにして、上糸調子もやや緩めにして、手で生地の送りを助けてゆっくり縫うようにするといいでしょう。

送り幅をやや長め、3~3.5㎜くらいにした方がきれいに縫えます。

また、紙を下に敷いたら、布帛と同じように早く縫って行っても綺麗な直線で簡単に縫えます。直線も乱れなくビシッと揃いますし、2本の間の生地の盛り上がりも出来ません。
ただし、縫った後に紙を剥がしづらいのがデメリットです。2本の縫い目の間に紙が残るので、ピンセットなどで残った紙屑を取り除いていかなければならず結構手間になります。

簡単に縫えることを優先し紙をはがす手間を引き受けるか、紙を敷かないで、多少縫いにくくてもゆっくり手を添えながら曲がらないように縫うかが、悩みどころです。

なお、糸はレジロンで縫うとうまく縫えませんでした。
2本針を使うときは普通のスパン糸がいいです。

何枚縫うかわからないニット。さらに袖口や裾処理など特定の用途にしか使えないカバーステッチミシンに何万円もかけるのはなかなかできないものです。
今回紹介した家庭用2本針を使うか、レジロン・ウーリー糸で直線縫いするかで、カバーステッチミシンがなくてもそれなりの仕上がりにできると思うので、ニットの裾処理で困ったときは試してみてください。




2016/08/16

Knit 8 カバーステッチがない場合のニットの裾処理  Part1 屏風だたみ縫いと伸縮糸での直線縫い

カバーステッチミシンをもっていればいいのですが、そうでなければニットの裾や袖を縫う際にどうするか、迷うものではないでしょうか。

ニットをメインに縫う訳でもないし、用途の限られるカバーステッチの購入を躊躇する人は多いでしょう。カバーステッチは安価なものでも4~5万。通常は6~9万円くらいします。

そこでその代りとして
1.ロックミシンで屏風だたみ
2.家庭用ミシンのニット縫い(雷のようだと言われる小さなジグザグ縫い)orジグザグ
3.ニット用糸を使い直線縫い(レジロンもしくは上糸レジロン下糸ウーリー)
なんかが考えられる縫製方法です。

1.屏風だたみ縫いですが、ロックミシンだけでカットソーを仕上げられるというメリットがあります。そのためロックミシンのニットソーイング本でもこのやり方で説明していることも多いです。
生地の伸縮にも対応していますので、着用上の不都合はありません。

------実際にぬってみた感想------------------
 屏風だたみ縫いのために作られている”裾引き押え”は持っていませんし、購入したいとまでは思わないので、通常の押えで左針が折り目の際になるように縫ってみたところ、ゆっくり丁寧に縫い進めていけば、それなりに綺麗に縫うことが出来ました。
この縫い方をした場合、表から見た時に生地が縫い目のところで折れた感じに見えないように、縫製後しっかりとアイロンで押えて整える事が重要です。


2.家庭用ミシンの伸縮縫いorジグザグ縫いは、家庭用ミシンでニット縫製をする場合に使う人もいますから、ニットの裾処理でも使えなくはないです。ただし、見た目があまりきれいではないので、ロックミシンでニットソーイングをするような人はあまり使わないのではないでしょうか。

そして3.ニット用の伸縮する糸(ウーリーとレジロン)を使って直線縫いをすることについて少し前の投稿で書きましたが、これは生地の伸びにもついてくるので、カバーステッチミシンがない場合にはお勧めの方法です。
ロックミシンを持っている人は職業用ミシンを持っている人も多いと思うので、そんな方は職業用ミシンor家庭用直線専用ミシンで、押え圧、上糸を緩くして、ニット用針を使い、上糸レジロン・下糸ウーリーで縫ってみてください。
ロックで針処理をした後、カバーステッチのようにするには2本直線をかければそれらしく見えます。

私はどちらかといえば、屏風だたみ縫いより、ウーリー・レジロンで縫う方が好きです。
それは見た目の問題と縫製のやりやすさです。
ただし、裾処理のためにわざわざ家庭用・職業用ミシンの糸や針、セッティングを変えてまで縫うのが面倒だと言う人は、屏風だたみでも十分ではないでしょうか。
そんなに人は縫い目なんてみていませんから、アイロンで綺麗に整えれば快適に着用できるはずです。

カバーステッチミシンがない場合の裾・袖口処理でもう一つ私のおすすめの方法がありますが、それは次回紹介します。

2016/08/13

Kinit 7  ニットソーイング 上手に縫うために

前回はロックミシンの基礎的な操作方法を身につけることについて書きましたが、今回はミシン操作以外の部分、ニットソーイングで生地を裁断したり、整えたりといった点で有用な情報をお伝えしたいと思います。

ニットソーイングの基礎を身に着ける。クライムキさんの本がお勧め。
ニットソーイングの基礎的な知識を付けるためにはクライムキさんの本を読むのが手っ取り早いです。

他のニットソーイング本でももちろん良いものがあります。ただし、クライムキさんの本は、作っているもののデザインや雰囲気は好みが分かれるところですが、縫い方のコツや、手順が他の本より丁寧にわかりやすく書かれていて、図や写真も大きく、本当に理解しやすいのです。

他の本はともすれば理解している人の視点で書かれていることが時にあり、これどうするの??と思う部分があったり、肝心な知りたい所が端折られていたり、文章だけで説明されていてわからない事もあります。
それに対し、クライムキさんの本はこれから作り始める人、読者の視点で作られているものが多いので、初心者にもやさしく、どの本も基礎がしっかり身に付くようになっています。

ほかの本のほうがおしゃれなものが載っているので、ついそういう本を手にしがちですが、基本を押さえるのであればクライムキさんのニットソーイング本をおすすめします。


生地の伸びの方向を常に意識すること。
ニット生地と一口にいっても、伸びるのは基本的には横方向です。
縦地はそれほど伸びないので、縫製時にセンシティブになる必要はないのですが、伸びる横地を縫う時は、ロックミシンの作動を使ったりしないといけません。
家庭用ミシンでニットを縫うときも、やはり横地を縫うときに伸びないように気を付ける必要があります。生地によっては多少縦横の伸縮率も異なるかもしれませんし、縦と横が分からなくなってしまった場合は、手で伸ばしてどれくらい伸びるか確認すればいいです。


生地のカットはロータリーカッターがいい。
布帛でも薄い生地はロータリーカッターを使う方が、2枚重ねの場合も綺麗に切れますが、ニットの場合は生地が伸びて切りにくいので、ロータリーカッターの方がきれいににカットしやすいです。
その他、パターンのから線を描いた後、ざっと鋏で切ってしまって、ロックミシンで縫う時に線をたよりに綺麗にカットするという方法もあります。


ピン止めではなく、クリップが便利
生地をとめておくために、布帛では待ち針でピン止めすることが普通ですが、ニットソーイングでは、プラスチッククリップがいいとされています。
(クライムキさんの本でも紹介されていて、クライムキブランドで20個1000円くらいで売っています。)
ただし、ちょっと高い気がしたので、もっと安く手に入らないかと、100円ショップで探してみました。いくつかありましたが、色はクリアではなく、赤、黄色、紫などのちょっと強めの色で、ラメが入っていたりします。今はこういう色でしか売っていないようなので、私は買いませんでした。

家で探してみると、以前100円ショップで買ったと思われるクリップがありましたので、今はそれを使っています。

ニットソーイングに向いていますが、布帛でも厚めの生地であればこれが非常に役立ちます。


カットソー、Tシャツの首回りは襟ぐり布を伸ばしながら縫う。これは必須!
襟ぐり布は首回り寸法の7割くらいの長さで十分です。ソーイング本の型紙もそうなっていると思います。(型や生地によって違うので、6.5から8割くらいの長さのものもあるかと思います)

襟ぐり布が前身頃後ろ身頃を縫った長さと同じくらいであれば、さらに生地が伸びてしまい、襟ぐりがかなり伸びて不恰好になります。

私も型紙からではなく、持っているカットソーと同じ形にしたくて、カットソーを型紙代わりにして、寸法通りにぬったところ、襟ぐりがかなり広がってしまい、クルーネックのものを作るつもりが、ボートネックのようになってしまいました。

首回りに、襟ぐり布をクリップ止めやピンどめする時は、後ろ中心、前中心、肩線などをあわせ、首回りにたるみがある状態にしておきます。
『オールシーズンのメンズ服』日本ヴォーグ社 より
それでその留めたポイントで首回りと襟ぐり布が合うように、襟ぐり布を引っ張りながら縫うと、縫いあがった時に綺麗にできます。
またロックミシンの差動で生地を縮ませながら縫うとよりよく縫えます。家庭用ミシンで縫う場合も襟ぐり布を上にして襟ぐり布だけ伸ばしながら、身頃布を伸ばさないように縫う事が大事です。

ソーイング本でも伸ばしながらと書いてありますが、どれくらに伸ばせばいいかわからず、少しだけ伸ばし気味ならいいのかなと思っていましたが、襟ぐり布がかなり短いので、それが合うように結構伸ばしながら縫うのだと、実際にやってみてわかりました。

何度か失敗してやっと綺麗に縫えるようになりました。


縫った後は必ず、アイロンがけを!
ロックミシンで差動をうまく使って丁寧に縫い上げられたとしても、どうしても生地がビシッとならないこともあります。そんな時はアイロンがけをすると生地が落ち着きます。
家庭用ミシンで縫った場合も同じですが、とにかくアイロンがけをすることです。
そうすると仕上がりが格段にちがってきますし、アイロンがけまでちゃんと終えると縫い終わったーという気分が一気に高まります。


こられの事を頭にとどめておけば、きれいに生地を裁断し、効率よく作業を進めらて、仕上がりも良くなってくるはずです。

2016/08/10

Knit 6 ロックミシンの基礎。縫い方のコツや糸はしの処理などを覚える。

家庭用ミシンや職業用ミシンなど本縫いミシンではなんてことのないことでも、ロックミシンではなかなかわかりづらいことがあります。それ程、本縫いミシンとロックミシンは操作方法が異なります。私も最初は慣れるまで結構戸惑いました。

たとえば、作動の使い方なんかは、N(ニュートラル)の状態から、数値が大きくなれば縮ませながら縫う、数値が小さくなれば伸ばしながら縫うなど、覚えなければ毎回説明書や本とにらめっこです。
角の縫い方、カーブの縫い方など、普通のミシンよりも針回りのスペースが狭いわりに、押えが大きく針も2本ついているロックミシンは、生地の操作がやや難しく感じるでしょう。

そんなとき、私は下記のミシン屋さんのページにある、ロックミシン講座が非常に役に立ちました。
内角、外角、筒もの、内カーブ、外カーブの縫い方のコツ、肩線の処理方法などは非常に参考になります。このページを一通りみて実際に縫ってみれば、ロックミシン操作の基本はおさえられると思います。
http://www.mymishin.com/special/school.shtml

そして私が長い間なかなかいい方法が見つからなかった、ロックミシンの糸はしの処理

縫いはじめと縫い終わりの空縫いでできる糸の残りをどうしたらいいのか。
本縫いミシンでは返し縫をして糸を切ってしまえばいいですが、ロックミシンはそうはいきません。

私は面倒な時は空環をそのまま、まとめて固結びしてしまうこともあります。
また、空環の糸をほどいてまっすぐにして、4本の糸を2本ずつ結ぶというやり方をしてしまうこともあります。糸をほどいてみると、針糸に比べてルーパー糸がいかに長いかがわかります。
短い針糸2本と長いルーパー糸2本にほどいた状態
このやり方、いつも難なく解けるようなコツをまだつかんでいないので、うまく行かないことが時々あります。そういうときは適当にまとめて固結びしてしまいます。こういう部分で雑な性格が出てきます。

私は面倒くさがり屋な性格なのであまり好きではありませんが、一番確実な方法は、本などでもよく書かれている、糸端を大きな穴のある刺繍針などで裏側の縫い目の中にいれてしまうというやり方です。

針だと先がとがっていて、気を付けてやらないといけないので、私は100円ショップで買った編み物用のとじ針に糸を通してやったりします。
これであれば先はとがっていないので、安全です。

なかなか慣れるまでには時間がかかるロックミシンの操作ですが、一度覚えてしまえばそれほど難しいことはありません。
自分もニットソーイングをほとんどやったことがなかった頃よりは、操作に慣れが出てきた気がします。(気のせいかもしれませんが、、)

2016/08/09

Kinit 5 ロックミシンはベビーロックの人気機種でないといけないのか

前回までは家庭用ミシンだけでニットソーイングをすることについて書いてきましたが、今回からは次の段階、ロックミシンを使ってのニットソーイングに関することです。

まずは、ロックミシンの機種選びについてです。

ニット縫製だけでなく主に端かがりでロックミシンを使う人でも、”ロックはやはりベビーロックじゃないと”、”衣縫人、糸取サイコー”というようなことを言われます。

確かに空気圧により自動糸通しをしてくれて、縫い目も綺麗でパワーもある。家庭用ロックミシンのパイオニア、鈴木製作所のジューキ babylockが優れているのは言うまでもないでしょう。
と言いつつも、私も衣縫人、糸取物語は持っていません。新品は言うまでもなく中古で買うにしてもかなり高額です。
多少奮発すれば買えなくもないですから、皆がそんなにいいと言うならどんなものなのか、他のロックミシンとはどれくらい違うのか、というのを知りたい気もしますが、以前も書いたとおり、私は衣縫人、糸取物語のデザインやネーミングがあまり好きではありません。

babylockのロックミシン、私はBL3-407を持っています。これはボディも小さく、デザインもいいですし、機能も十分、音も小さ目で、優秀な機械です。
また差動付4本糸プロラインなんかは見た目もいいのですが、衣縫人など現行babylockは丸みを帯びた形が好きにはなれません。プラスチックが色あせたり、黄色に変色しがちなところもあまりいただけません。

私は、ニットソーイングができる2本針4本糸ロックミシンを2台もっています。一つはジャノメ、もう一つは今はなき美馬ロック(ドイツのメーカーPFAFFへのOEM提供品)です。
一般的には美馬精機もロックミシンに力を入れていた会社ですし、美馬ロック(マミーロック)もロックミシンの縫い目は綺麗と言われます。私が持っているものもベビーロックのような自動糸通しはついていませんが、下ルーパーの糸通しレバーがあるので、ジャノメのロックミシンよりも糸通しが楽にできます。
ジャノメは家庭用ミシンではリーダー的存在ですが、ロックミシンでの評判はあまり目にしません。ただ、基本的な機能は持っているし、ジャノメのロックミシンにも特に大きな不満を感じません。

私が持っている2機種を比べてみても、それほど違いがあるようには見受けられません。使い勝手の点で多少の優劣はありますが、出来上がりの結果を見ると違いはほぼありません。

衣縫人、糸取物語などベビーロックの機種には自動糸通しの他、メス固定機能がついていたり、縫いやすくする意匠が随所にあるようです。メス固定のない他メーカーはメスをしまう必要があるものの、操作は簡単です。メス固定すると、固定されたメスが布ガイドにもなり便利でしょうが、それもなければないまでです。ロックミシンのボディのどのラインがメスの左側と同じか覚えておけば、そこにそって布を置いて、送っていけばいいだけです。ミシンに慣れて工夫していけば何ら不都合はありません。

だから、何も高い値段を出してまでベビーロックを買わなくても、安価で手に入る、TOYOTAやJUKIなど他メーカーのロックミシンで私は十分ではないかと思います。特にTOYOTAは4本糸差動付が2万円台で購入でき、音も静かで使った人の評判も悪くないようです。家庭用ミシンよりも機種にる差が大きくないと思われるロックミシン、なぜベビーロックばかりに人気が集中するのでしょう。日本製で安心、ブランド力があるというのはわかりますが、価格差程、性能機能差がないと思うのですが。

もちろん本人の意思としてベビーロックのロックミシンが欲しい人は多少出費がかさんでも購入したほうがいいです。丁寧に精巧に作られていて、これを買っておけば安心という信頼感もあることから多くの人が買っているのですから。性能やデザイン、価格に納得すれば買って後悔することはないでしょう。
ただし、、周りがいいと言うからベビーロックにしようかなー、でも高いしなー、なんて思っている人はベビーロックでなくても問題ないはず。

日に何枚も作り、販売したりする人など効率を求めるならベビーロックのミシンはいいでしょうが、趣味程度で何枚か作っていくと言う人は差動の付いたそこそこのロックミシンでいいのではないかと感じます。個人使用では元が取れる程にはなかなか縫えないでしょうから。

以上、あくまで個人的意見ですが、ロックミシンの機種選びについて考えてみました。

2016/08/07

Knit 4 家庭用ミシンでニット縫製のまとめ。 針や糸を揃えてよりきれいに。

前回は家庭用ミシンでニットを縫うに際して、通常持っている糸を使いながら、縫い模様を使って何とか縫うやり方について書きました。
今回はさらに進化させるために、ニット用の針や糸などを揃えて、家庭用ミシンでいかにうまくニット
を縫うかについて書いてみます。
最後に家庭用ミシンでニットを縫うことについて、書いてきたことのまとめを記載します。

ニット用の針
ニットを縫う時は、針は出来ればニット用のものを使用した方がいいでしょう。
オルガンでは、HA1×SP、 シュメッツでは、Jersy Ball Pointと呼ばれるものです。
オルガンのSPとシュメッツのニット針どちらも300~400円程度で購入できます。


それ程高いものではないので、ニットを縫う人は購入しておく方が安心です。
針の付け替えが面倒に感じる時もありますが、普通の針よりも先が丸くなっていて、生地を傷つけないという特徴をもっていますので、ニットを縫う時はニット用針に交換します。
目に見えて明らかに違うかというと、はっきりとはわかりませんが、万が一縫い直しになった時などは普通の針で縫うより生地の傷や穴があまり目立たないというのはあると思います。


レジロン糸

一般的にニットで直線を縫う場合、家庭用ミシンでも職業用ミシンでも、伸縮するレジロン糸を使うと良いと書かれていることがあります。
私も以前はニットを縫う事があまりなかったので、存在を知ってはいたものの使う事はなかったのですが、実際にニットソーイングをするようになり、レジロンで縫わなければいけないのかなと思い、以前購入した中古ミシンにたまたまついていたレジロンの糸を使う事にしたのです。

まず比較のために、ニット生地をスパン糸で糸調子をゆるめて直線縫いしてみましたが、まったく伸びず、縫い目が固くなってしまいました。

次に同じ生地を★上下糸ともにレジロン糸使用★で改めて縫ってみました。

綺麗には縫えるのですが、やはり一定以上の伸縮にはついていかず、伸ばしすぎると、プチッときれます。これは他の方もよく書かれていますが、実際そうでした。

そこで、次にどこかで見かけたことのある、ウーリー糸を使うという縫い方を試してみることに。

ウーリーという糸はウーリーロックミシン糸 と書かれて販売されています。いくつかのメーカーのものがあるようですが、一番有名なフジックスのものを買う事にしました。
小さな手芸店には置いていなかったりしますし、中規模以上の手芸店でも、端っこのかなりわかりにくいところに白と黒だけ置いていたりして、探す気で見ないとなかなか目に入ってきません。

よく言われるのは、ウーリーは下糸(ボビン糸)のみ使うという事です。

実際縫ってみた結果、ウーリー糸は思いのほか伸びます。

前回は縫い模様を駆使して何とかすると言うやり方を書きましたが、家庭用ミシンでニットを縫う場合、ニット用の糸を購入し、上糸レジロン・下糸ウーリーで縫うのがお勧めです。

レジロンが伸びるのは少しだけですが、ウーリーは糸の風合いが違うので、伸縮率が違います。
伸ばさなければ、ウール状というかふわっとした風合いなのですが、のばすと普通の糸と変わらない見た目になるのがいいです。
通常のふわっとした状態
糸を伸ばした状態

レオタード制作など、かなり伸縮する生地を縫うのであればロックミシンにウーリーを使うのもいいのでしょうが、私はそういうものを縫っていないので、ロックミシンでもウーリーを使った事がないです。そもそもロックミシンは縫い目自体が伸縮するので、スパン糸でもたいていの場合は問題ありません。
よって、ウーリー糸は家庭用や職業用など本縫いミシンでニットを縫う時に使った方が威力を発揮する気がします

最初は半信半疑であまり興味のなかったウーリー糸ですが、本当に買ってよかったです。
長さも結構あるので、1本の値段は他の糸より高いですが、少なくともレジロンよりもコストパフォーマンスが高いです。

ニットの場合は基本的に糸調子はゆるめがいいですが、上糸レジロン下糸ウーリーにする場合も、上糸を少しだけゆるめの糸調子にする方が良いようです。

また、ウーリーは伸ばさないとふわっとした状態のため、下糸のみに使用し、表側から縫う必要があります


テフロン押え
ニットを縫う際にテフロン押え(スムース押え)を使うと良いという意見があります。私はその効果を実感したわけではありませんが、送りをよくする効果があると言われています。使用するミシン(送り力があまり高くないor押え圧調節がないなど)によっては有効かもしれませんね。

伸び止めテープ
これも肩線などの部分に貼るように指示がありますが、これを貼ることにより縫いやすくなりますし、着用や洗濯を重ねても伸びにくいです。



家庭用ミシンだけで、ニット縫製をする場合のおすすめのセッティングをここにまとめてみます。


1.押え圧調節を緩めにする。(調節可能であれば)
2.直線用針板を使う(可能であれば) なければ左基線などにする。
3.糸調節はややゆるめにする。普通は上糸だけ緩くするだけでよい。
4.針はニット用のものを使う。
5.糸はレジロンとウーリーを購入し、上糸レジロン、下糸ウーリーで縫う。

その他、
・端の処理は縫ってから余分な布を切る、
・出来る限り押えやテープなどニット縫製に有効なものを購入する。
といったところでしょうか。

家庭用ミシンだけで何とかニットソーイングをしたい、今までなかなかうまくニットが縫えなかった、と言う人は上記を参考にしてください。

2016/08/06

Knit 3 家庭用ミシンでニットを縫う 縫い模様を駆使し何とかする。

家庭用ミシンを使ってニットを縫うとき、糸や資材を新たに買い足さずに、家庭用ミシンの縫い模様を使って、いかに縫うかについて今回書いて行きます。

地縫い-------------------------------------------------------------------

ニット生地の縫い合わせ(地縫い)を家庭用ミシンでする場合、まず一番最初に考えられるものが、伸縮縫いです。
上記写真 15番が伸縮縫い
今の家庭用ミシンはこの縫い模様がついているものも多いです。この縫い模様がついたミシンをお持ちの場合は、まずはこの縫い方で縫ってみるのがいいと思います。
ただし、あまり伸縮する生地には向かないようなので、試し縫いをして大丈夫か見てみることをお勧めします。

伸縮縫いがない場合は、縫い合わせる布を待ち針かクリップでしっかり止めてから、ミシンの前後に同じ力で引き伸ばしながら直線で縫うと良いようです。


●端かがり-------------------------------------------------------------------
ニットの端かがりを家庭用ミシンでする場合、ジグザグか3点ジグザグが最も一般的です。
9番の模様が3点ジグザグ
ジグザグや3点ジグザグのほかにも、家庭用ミシンでも機種よっては、ニットの端縫いに向いた色々な縫い模様があります。
最近の日本メーカーの家庭用コンピューターミシンなら、色んな模様がついているものも多いですし、模様縫いが少な目の電子・電動ミシンでも自分のミシンの説明書をじっくり見てみてください。ニットの端かがり、縫い合わせなどに向いた縫い方が何かみつかるかもしれません。

ベルニナの場合は、こんな感じで説明書にも掲載されています。


なお家庭用ミシンでニットの端かがりをする際は余裕をもって生地を切っておいて、縫った後に、余分な布をはさみでカットしたほうが綺麗に仕上がります。出来上がりの寸法どおりに生地をカットしてかがり縫いをすると生地が丸まりやすくなります。特に薄めの生地の時は要注意です。


裾や袖の処理---------------------------------------------------------------

裾や袖の処理など表から見える部分は、既製品ではジグザグや伸縮縫いで処理してある事はないですし、出来れば直線であってほしいと思うのではないでしょうか。

そこで、ニット用の糸を買わないで何とか家庭用ミシンで縫いたいという人に私がお勧めするのは、3重縫い、伸縮強化縫いです。

上記 6番の縫い目が3重縫いです。
全ての家庭用ミシンについているわけではないですが、3重縫いは昔の70年代、80年代の電動ジグザグミシンでもついているものがありましたので、多くの家庭用ミシンでついている模様です。

ただ、ベルニナミシンの説明書でも3重縫い(トリプルステッチ)は厚くて丈夫な生地、補強縫いにと書かれていますし、私もジーンズ・デニムのチェーンステッチ縫いの代わりに縫い目を強くするためのものかと思っていました。
しかし、あるミシンのサイトで直線3重縫いは伸縮強化縫いと言われる、と書かれていたので、これはニットに使えるものなのか、一度試してみることにしたのです。



実際に縫ってみると、縫ったあと伸ばしてみても糸は切れず、生地の伸縮にも付いてきます。伸縮しない糸であり、普通のミシン糸であるスパンで縫っても伸縮します。伸ばしてみても糸切れすることはありませんでした。

ただし、伸縮する生地をそのまま家庭用ミシンで3重縫いすると、縫い目がよろよろと不安定で、綺麗な直線になりません。これであれば伸縮縫いでも変わらないなーと感じる縫い目になってしまいました。直線用針板と直線用押えであれば安定するのではと思い、試してみましたが、少しはよくなりましたが、それでも縫い目がよろよろとしてきれいとは言い難い。

それで次に紙を下に敷いて縫ってみたところ、3重の直線が綺麗にできました
3重の縫い目は縫い目が頑丈なので、縫った後に紙を引きはがす際、紙の破片が残ることがあり、それを取り除くのが面倒ですが、少し手間をかければ、家庭用ミシン、スパン糸でニットが縫えます。

紙を下に敷くと、送りも安定して、生地が針板に食い込まず、スムーズに縫えます。布帛を縫うのとほぼ同じ状態で縫い進められます。

写真では敢えてわかりやすいように、白い糸を使っているため、やや雑な印象をうけるかもしれませんが、、同系色の糸にすればそれほど目立ちません。一応1本の直線なので、ジグザグや伸縮縫いで処理してあるよりは、こちらの方がスッキリして見えます。




以上、今回は針も糸もニット用のものはないが家庭用ミシンの縫い模様を使って、ニットを縫うやり方を紹介しました。
ただし、これはあくまでもまったくお金をかけない形で何とかする方法です。よって、端処理は上記の方法で問題ないですが、地縫いや裾処理ではニット用の糸を買ったほうがいいです。

次回ニット用の針と糸(数百円程度で購入できるもの)を使ってより綺麗に縫う方法を紹介します。

2016/08/05

Knit 2 家庭用ミシンだけでニットソーイングをすること

私の場合、2本針4本糸のロックミシンがあるので、ニットソーイングをするなら、それを使います。
これはその機能を使わないと機械自体の調子が悪くなるので、出来る限りその機能を十分にいかすようにするという意味合いもあります。

ただし、出来るなら家庭用ミシン一つで色んな事が出来ればいいのになーと常々思っています。
いくつも道具を使い分けてプロのようにやるのもいいのですが、少ない資材、道具、機械でそこそこの仕上がりに持っていく。これが出来た時は楽しいものです。

家庭用ミシンしか持っていないから、ニットを縫うのは無理なのでは?と思っている人や、家庭用だけでニットを縫うのは難しそうだからやったことがない、という人は多いようですが、

端的にいうと、家庭用ミシンだけでニットを縫うことは可能です。
ただし、押え圧や縫い模様、針や糸などをニット縫製に適したものにする必要があります。

ニットがメインのソーイング本ではロックミシン使用による説明が主になっていますが、普通のソーイング本ではニット生地を縫う場合でも家庭用ミシンで縫っていることも多いです。
その通りにやれば一通りは縫えるようになると思いますが、それでも最初は布帛の縫製とは違うことにうまくいかないこともあると思います。生地が伸びたり、端が丸まってしまったりして出来上がったらなんかうまく行っていないとなることもあるかもしれません。それでも、何回かやっていれば慣れてきますし、適切なセッティングと道具があればそれなりのものが作れます。

まず、どんな家庭用ミシンを使うのがいいか ということでいうと

押え圧調節がついていて、直線用針板がある。 私はこの2つだと思います。

押え圧調節を弱くすることにより、生地の伸びを防ぐことができます。

今は押え圧調節がない家庭用ミシンも多いので、押え圧調節がないミシンの場合は
・生地の下に紙を敷く
・紙やすりを使う
などで布落ちや生地が伸びてしまうのを防ぐことが出来ます。

直線用針板もニットの直線を縫う時に、あれば布落ちを防げますし、生地の伸びも最小限におさえられますので、これがあればジグザグ用針板よりもスムーズに縫えます。

直線用針板がない場合は、針基線を左にするなどして、布落ちしにくいようにする工夫も有効でしょう。なければ出来ない、というものではなく、工夫すればたいていのものは何とかなります。

長くなりましたので、今回はこの辺にして、次回ニット用の針や糸を買っていない状態で模様縫いを駆使してニットをうまく縫う方法について書きたいと思います。 
次々回にはニット用の針や糸について書きます。

2016/08/04

Knit 1 ニットソーイングの事始め 

今まで全くと言っていいほど興味がなかったニットソーイング。

ロックミシンを購入したのも端かがりが早く綺麗にできるロックミシンが欲しかったからでした。
2本針4本糸の差動付であればニットの縫製も出来るし便利と聞いたので、これは出来ない機能があるのは嫌だし、ロックミシンの醍醐味を味わうならやはり4本糸じゃないとと思い、差動付の4本糸ロックを買いましたが、殆ど差動も使わず、主に端かがりに使ってきました。
端かがりだけであれば3本糸で十分です。差動もいりません。

機能を十分にいかし切れていなかったロックミシンですが、ちょっとしたきっかけをもとにやる気になり、ニットソーイングをやってみることにしたのです。

最近今まで長年愛用してきたいくつかの長袖カットソーがだんだんとくたびれたり、破れが出たりしてきたので、いいカットソーはないかと店に見に行ってみるも、気に入った長袖のカットソーをあまり売っていない。
それであれば、ちょっと頑張ってロックミシンを使って作ってみるか、と相成ったのです。

ところが、布帛や革を縫っていた時とはまた違った問題にぶち当たり、なかなかうまく縫えない。ただロックミシンがあればいいというものではい。むしろ素材の特性や縫うコツをつかまないとどうしようもないとわかったのです。

失敗をしながらも、何度か試行錯誤をし、そこそこにはうまく縫えるようになったのですが、そこで気づいた事を何回かに分けて書いていきたいと思います。

家庭用ミシンだけでニットが縫えないかと思っている人も多いと思います。
以前、家庭用ミシンでニットを縫う裏ワザというので、紙やすりを使う方法について書きましたが、その投稿は他のものと比べて多くのアクセスがありました。
ただし、その頃はニットの裾上げに家庭用ミシンを使った程度で、そんなに深くニットソーイングをしていたわけではなかったので、情報も断片的でした。今回ニットソーイングに取り組んでみて、針や糸、ミシンのセッティングを整えれば、家庭用ミシンだけでもそこそこのものが作れる事がわかりましたので、

まずは

家庭用ミシンでニットソーイングをすること について書いて行きたいと思います。

では次回から。