2015/03/30

Mon Ami, Starlet, Genie, シンガーミシンの今、昔。

日本でシンガー・モナミといわれて70年代から販売されたシリーズは、コンパクトでポップな外観で、それまでミシンというと金属で重いものとうイメージを一新させたといっても過言ではないシリーズです。

Elna Lotusはこれよりも前に販売されたものですが、モナミシリーズほど安価ではなかったですし、軽くて手に入れやすい価格のミシンという、今のコンパクトミシンの源流となっているのは間違いなくモナミシリーズではないかと思います。

プラスチックボビンの水平ガマという今主流のスタイルの流れを作ったのもこのミシンと言えるのではないでしょうか。

このシリーズの初代機を作ったのはフランスですが、このシリーズ、各国でペットネームが異なります。
アメリカではGenie、イギリスやヨーロッパではStarletという名前で販売されていました。


なぜ国によってこんなに違うのか定かではありませんが、多くの国で同じモデルが販売されていたのは間違いありません。

水平ガマといえばシンガーで1920-30年代くらいにはすでにあったようですが、シンガーというのはかつて技術的にも売り上げとしても世界のミシン市場をリードしていました。

今はただのブランド名となって製造は別の会社が担っていますが、今でもこのブランド名は好きです。

そして、昨今世間の一部で言われているほど、現在のシンガーがよくないとは思えません。

確かに価格帯やラインによって製造会社が違い、一貫性がなく、製品として以前ほどの魅力がないという声もあるようですが、私は少なくとも興味を持つミシンがいくつかあります。

以前あげたモニカピクシー5710や今のコンピューターミシンのモナミシリーズは価格の割には機能や安定性があるように思われ、何より価格が明示されていてオープンな印象を持ちます。

手芸店に行けばシンガーのミシンはよく見かけますし、デザインも悪くありません。

新幹線の車体デザインなども手掛けるGKデザインという会社が今のモナミシリーズをデザインしているようで、デザインも一定の層には受けるものだと思います。

基本的に白を基調としたシンプルなもので、一部刺し色で鮮やかな色が配されているのもいいです。

2015/03/29

モナミのボビン

シンガー、モナミのボビンは他の水平釜プラスチックとは厚さが違います。



今は通常、家庭用ミシンは11.5㎜厚ですが、モナミは10.5㎜とやや薄め。工業用やブラザーの薄型9㎜に比べるとやや厚くなりま
す。

厚さだけならベルニナ純正・CBフック用と同じくらいですが、ベルニナは金属(アルミ)なのに対し、モナミタイプのものはプラスチックです。

今でも手芸店に行けば5個から6個入りくらいで売っています。純正ではなく、Cloverや河口というメーカーのものだったりします。
売っているということは、使っている人も少なからずいるということなのでしょう。

まだミシンに全く詳しくない頃、ボビンを売っているラックに、”モナミタイプ”と書いていて、”なんじゃこりゃ”と思ったが懐かしく思い出されます。

その時は、まさか、その”モナミ”を手に入れるなんて、ゆめゆめ思わず、だったのに。。。。

2015/03/28

コンパクト・水平釜のベストセラーMon Ami 購入ミシンNo.27 シンガー・モナミ394

水平釜、コンパクトと言えば、Elna Lotusがパイオニアと言えるのではないかと思います。ただし高価であったためか、シンガー・モナミシリーズほど一般に出回らなかったものと思われます。
日本人にとってポップでコンパクト、かわいい水平釜ミシンのはしりといえば、シンガー・モナミシリーズだったのではないかと思います。
シンガー・モナミは70年代にヒットし、広く普及したコンパクトミシンです。

elna Lotus はコンパクト水平釜ミシンでも金属ボビンを使うのですが、モナミは今や家庭用ミシンでは常識となったプラスチックボビンを使います。そういう点でも現在販売されている家庭用ミシンの気軽な機械という流れを作ったミシンと言えるものです。

モナミというとオリジナルバージョンの353(フランス製)とその後継(日本製)384などのポップな花柄が印象に残りますが、その他のものは前面のカラーが一色です。
私がざっと調べたところ型番による前面パネルの色・デザインは以下のようになります。

384=オリジナル353と同じフラワー柄
385=黄色とゴールドの中間のような色
387=ピンクベージュ
389=レモンイエロー
390=エンジに近い色
394=グリーン
397=鮮やかな赤


私の買ったのは394、前面がグリーンで、Mon ami Ⅱというものです。

アメリカのかつての工業製品が持っていた(ヨーロッパ製とも違う)カッコ良さみたいなものが感じられます。

このミシンは日本製ですが、部品などはアメリカから輸入し、デザインもアメリカで行っていたものだと思われます。







前面のSINGERの文字が綺麗です。


S I N G E R という文字も日本でデザインしていたら一文字ごとに大きなスペースをいれたりはしていなかったでしょう。この空間感覚がアルファベットの国ならではだと感じます。









下糸巻きの際はプーリー内側にあるボタンを押して、針の動きを止めます。


返し縫いはベッド右部にあるこのボタン。送り長さ調節のダイヤルを押すと返し縫いになります。


モナミには直線専用とジグザグができるものがあるようです。ジグザグができるものも直線用針板が入っている事もあります。(少なくとも394には入っていました。)



フットコンNECCHI ロジカ同様、手前を踏むようになっています。(通常、ミシンのフットコンは奥を踏みます。)

フリーアームにするにはテーブルの後ろ部分を押えるとこうなる。

スラント針。シンガー特有の針元が見やすい斜めになった針棒周り。
押えの棒も斜めになっています。



なお、ミシンケースは従来のミシン全体を覆うものではなく、取り付けると本体と一体化するようになっています。ケース部分を左側にスライドさせて取り外します。
ケースを取ると、針棒部分とふろころ部分がオープンになります。

左がケースを取り付けた状態、右がケースを外したところ。 後ろにあるのがケースです。

以上、モナミの他のミシンとは違う、形状的特徴をいくつかあげてみました。



2015/03/26

修理屋さんに出してみた。

かなり長編になってきた不具合があるベルニナ170についての話。

不具合をざっとおさらいすると、
縫い目の長さ調節が出来ない。返し縫ボタンが利かない。返し縫いボタンを押して返し縫になったとしてもボタンから手をはなしても前進に戻らない。
釜周辺も結構な錆が出ていたので、その部分は錆取り剤である程度はとれたのですが、他も状態はあまりよくなかったのです。
おそらくあちこちに固くなっているところがあり、送り機構にも固着が見られるのだと思いました。
ボディを外して、中の可動部に油を注したりしたのですが、一向によくなりませんでした。

前回書いたように、英語のサービスマニュアルも購入したもののうまくいかず、これはもう自分ではどうしようもないなと思い、初めて修理屋さんに依頼しようと決めました。
ネットで見て、いくつかベルニナミシンの修理をされているところは見つけました。
そして、同機種、同症状の修理についてブログで掲載されていた宅配で受け付けてくれる修理屋さんに問い合わせをして、費用が想定の範囲内だったので、お願いすることにしました。

送った後、ガチガチに機械部分が固まっているので直らないかもしれないと連絡がありましたが、最善を尽くして頂きました。

結果

直りませんでした。

やはり自分が推測した通り、送りステッピングモーターの不具合であることは間違いなかったのですが、注油や機構の固着解消のための対処ではどうにもならず、結局ステッピングモーターを取り換えないと完治しないということでした。

残念です。

ステッピングモーターをメーカー経由で取り換えられたとしても、かなりの金額になるということを修理屋さんにも説明していただいたのもあり、この170の修理をあきらめました。
部品等も一緒にお送りしたので、そのまま送ったミシンと部品を送り返してもらいました。

長い時間をかけて頂いたにも関わらず、当初の説明にもあったとおり、直らない場合は往復送料だけで良いとのことだったので、その通りにさせて頂きましたが、かけて頂いた時間を考えると何とも申し訳ない気持ちになりました。

ただし、こういう部分でプロの仕事を見たという気がしたので、依頼をしたことは良かったなという思いを抱きました。

外観デザインはどのミシンよりも好きなので、どうしても何とかしたいという気持ちはその後も消えませんでした。
まあそのうち何かのきっかけかで、ふと直ったりするんじゃないかと願い、念じておくことにしました。

このアーティスタ170については数か月後に変化があるのですが、それはまた追々書きたいと思います。

2015/03/24

サービスマニュアル買ってみた

海外のサイトでベルニナ170のサービスマニュアルを買いました。

以前から海外のミシン販売店がサービスマニュアルを販売しているのを知ってはいたのですが、実際に買うとなると、英語だし、サービスマニュアルを参照してやりたいこともなかったので、買うには至っていませんでした。ベルニナ170の送りがおかしく、リバースボタンを押しても返し縫にならなかったりしたので、どうにかならないかと思っていました。
そして、思い切って、(と言っても価格は$10くらいですし、それ程高くはないのですが)買ってみることにしたのです。

北米在住であればプリントされたものを郵送という形も考えられますが、ここは日本なので当然のごとくPDF版を購入しました。

購入前はどういう流れなのかはっきりしなかったのですが、Paypalでの支払いを済ませると、入力したアドレスにダウンロードのリンクがほどなく送られてきました。リンクは1週間ほどダウンロードができる設定になっているようでした。
システム的に処理されているので、営業時間は関係なく送られて来る仕組みになっていました。これは助かりました。アメリカやカナダあたりの場合は時差が結構面倒ですので。

すぐにダウンロードし、見てみたのですが、ボディの開け方や、送り歯の調整値や基板の設計図なんかが載っているのですが、肝心な固着解消のための方法や注油の仕方なんかは書かれていませんでした。

今回のアーティスタ170の不具合は、おそらく長年放置していたため送り機構が固着したことが原因と思われ、その不具合を解消するための注油箇所などの説明書きがあればという望みを託しサービスマニュアルを購入したのですが、結局その点についてはわからずじまい。

カバーの取り外し方、基板の構造、送り歯の位置や高さ、その他の調整値や調整時の注意や方法なんかが書かれていますが、どちらかと言えば、本格的な修理のためというよりは、ちょっとした調整のためのものと考えた方がいいようなものでした。

サービスマニュアルでも、メーカーや機種によって書かれている内容は異なると思われ、他のメーカーのミシンであれば、もっと詳細に書かれているものもあると思いますが、ベルニナ・アーティスタ170・180のサービスマニュアルはそうではありませんした。

ただサービスマニュアルがどういうものかわかったので、そういう点では満足しました。
それほど高い値段でもないですし。

以上、ミシンのービスマニュアルを海外オンラインで買ってみた話でした。

2015/03/23

ベルニナ170、不具合対策。続き。

結局なかなか治らない、ベルニナ・アーティスタ170の送り不具合。

ネットで調べて自分で色々とトライしてみました。

そんな中、ベルニナ170、180などのコンピューターミシンにはメンテナンスメニューというのがあるのを発見。
電源を入れた時に、clr (クリア)ボタンを長押ししておくと、メンテナンスメニューになります。
ここで、そのミシンの総利用時間、利用ステッチ数などが確認できるようになっています。

やり方はこちらの動画を参照してください。 ベルニナ200の場合はこちら
ベルニナ・オーロラなどの場合はこちら

海外のものであれば、こういうメンテナンス情報なども動画があるので、困った時は助かります。
いくつかあるメンテナンスメニューを試してみて、ネット上の画像や映像を参照しながら、注油等を繰り返し、カバーを外していろいろやってみたのですが、一向に症状は改善されませんでした。

これほど時間をかけてメンテナンスに取り組んだミシンはありません。
同じデザインのベルニナ・アーティスタ180の時もそうでしたが、このミシンに対する思い入れが結構なものだなと自分で驚くくらい、手間と時間を掛けました。

デザインが好きなミシンで、さらに性能的にも垂直半回転CBフックでまさに理想のこのミシンを何とかしたいという思いが募るばかり。

どうにもならないままでは嫌だし、思い入れの強いミシンを何とかしたいという思いがあり、”いつかは何とかなるだろう” と信じることにしました。
が、ただ待っていても何ともなりません。

十分に時間と労力を使ったので、修理を依頼しようかと考えましたが、その前にもう少しだけ自分で出来る限りを尽くしたいと思ったのです。そこで、海外ではネットで簡単に購入できるサービスマニュアルを参照したらもう少し突っ込んだ修理ができるのではと考え、それをやってみることにしました。

続きは次回。



2015/03/22

ベルニナ170、ディスプレイ表示はしたものの。。。。。

電源は入り、フットコンを踏むと針は動くが、ディスプレイに何も表示されないというジャンク品のベルニナ・アーティスタ170。

自分で色々とカバーを外したりして、基板等を確認してみて、何となくコンセントつないで、電源をいれたら、なんと!! ディスプレイに起動画面が表示され、模様選択ができるようになりました。


模様を選択すると針がその模様に応じて横に動く。


これは使えるようになるのでは? と思い喜んだのです。

そしてもう一度念入りにボディを拭き掃除して、釜周りも開けてホコリを取り除いて、針・糸を付けて布を縫ってみたのです。

ところが、、、、、、、、

布を送りません。縫えません。

良く見ると送り歯が下がったままです。

右サイドにある送り歯ダウンのボタンが引っ込んでいて、送り歯が下がった状態になっていたので、ボタンを押して送り歯を上げるようにしたのですが、上がってきません。

そこで、押えを上げると同時に、送り歯も下げてくれるベルニナのフリーハンドシステム、押え上げレバーを使って押えを上げてみるようにすると押えが上がってきました。

と、思いましたが、送り歯の位置が低い
修理ブログなんかを見ているとこの頃のベルニナ130や160なども送り歯が下がった状態になっているので、布を送らなくなったというのをよく見かけていました。

そして、何とかして、釜周辺を念入りに見てみて、これかなと思うネジを緩めて、送り歯を支えている部分を調節して、送り歯を上げる事に成功

そして布を置いてぬってみたのです。送って行きます。 良かった!

と喜んだのも束の間、今度は返し縫ができません

返し縫ボタンを押しても、ベルニナコンピューターミシンにはほぼ装備されている、ボタン一つで延々送りが返し縫い状態になるボタンを押しても返し縫いしないのです。

これは困った。

その後釜周辺に錆が見られるので、錆取り剤で錆を取り、注油をいろいろな個所にしてみたのですが、一向にこの返し縫いにならない不具合と、送りダイヤルを動かしても、送り長さが変わらない不具合は改善されませんでした


2015/03/21

思い入れのある筐体デザイン 購入ミシNO.26 リッカー・ベルニナ・アーティスタ170

どうしても頭から離れない、思い入れのある製品というのは誰しも何かしらあるのではないでしょうか。

私にとって、ミシンという分野に関して、ベルニナというメーカーは非常に大きな意味をもっていますし、色んなメーカーのミシンを手に入れ、一時はそちらの方に気持ちが傾きそうになりますが、やはりベルニナだなと思う事は多いです。

高価で憧れの対象となっているベルニナだからいいのではなく、使いやすく愛着が持てるからベルニナなのです。

シンガーの15種やJUKIのシュプールなんかは場合によっては、ベルニナよりも優れたミシンともいえます。またハスクバーナやジャノメもこれでないとと思わせるミシンがいくつかあります。

ただし、わかりやすく簡単な上糸通し、垂直釜の扱いやすさ、フットコンのサイズや踏んだ時の反応、針の動き、ボタンやレバーの位置など全てにおいてベルニナが体に合っていると感じるのです。

おそらくジャノメが体に合っている人もいますし、ハスクバーナが合っている人もいます。ブラザーのヌーベルが何より使いやすいという人もいるでしょう。
水平釜は便利で簡単だし、追加の押えやボビンなど部品も安価で手に入れやすいので、初心者の人はジャノメなど日本のメーカーのミシンがいいと思ったりしています。先日、これからミシンでソーイングを始めたいという人に、ジャノメのコンピューターミシン・センサークラフトを奨めて代理購入し整備して渡してあげたところ、すごく喜んでもらったことがあります。
ジャノメのミシンは便利で機能的、性能も一定以上あるのですが、私の使い方や体には何となく合っていないと感じます。このことは以前の投稿で書きました。

そして、私にとってベルニナの中でも一番欲しいと思わせる外観デザイン、見た目に魅かれるミシンがベルニナ初代アーティスタなのです。

モノクロモニターであり、今ではやや古くなったという印象もあります。

カラーモニターとなり、機能も充実した後継のアーティスタ200、730、630、640、最新の5や7シリーズなどには及びませんが、白一色のボディに、控えめに整列するように紺と紫の中間色のボタンが配置されていて、ここしかないという位置に収まった丁度良い大きさの液晶モニターが好きなのです。

全体的に他のものよりもすっきりしていながらも、ちょっとした主張があるのがいいのです。

後継のアーティスタもこの初代のデザインを色付けしたり、モニターを大きくしたりしてアレンジしたように見えます。全てはこれが始まりなのではないかと思えるのです。

モニターに関していうと、他社(ハスクバーナ、ブラザー、JUKI,など)の豪華な液晶タッチパネルのミシンはアーム右側に付いていることが多いですし、ジャノメの最近のものセシオ11000、11500、ハイパークラフト12000DXなどは本体右上部にありますが、どうもバランスが悪く、ミシンなのかPOSレジなのかパソコンなのかわかりません。これらジャノメの高級ミシンは機能的には素晴らしいと思え、興味もあるのですが、デザインがちょっと、、、、、なのです。

赤の小さなアクティバも可愛いのですが、私はやはり男ですし、ボタンの色がより頑丈そうに見えるこの初代アーティスタが好きなのです。

ベルニナ・アーティスタ180を購入したものの不具合が多く、結局修理なしでは使えなくなってしまい、また9㎜幅の全回転釜はどうにも自分の用途には合っていないような気がしたというのはこちらを見てもらえればわかると思います。

その後同じ外観デザインで、ベルニナCBフック半回転釜の170や165が欲しいなと漠然と思っていたところ、アーティスタ170のリッカー代理店時代に販売されたモデル、RICCAR BERNINA170が、電源が入り針は動くが、ディスプレイが表示されないということで出品されていたのです。

運よく比較的安価で手にすることができたアーティスタ170についての続きは、また次回から。

2015/03/19

ミッドセンチュリーなデザイン 購入ミシンNo.25 JUKI HZL-11 Frou Frou 

かつてこのブログでも触れたことのあるこのミシン。JUKI HZL-11 フルフル

一説にはフレンチデザインのミシンだということで、そのミッドセンチュリーモダン(1950〜60年代アメリカを中心に流行したシンプルながら未来的な感じのするデザインスタイル)的オシャレなデザインは唯一無二なスタイルです。

NECCHI LOGICAは80年代前半にできたものですが、このフルフルはその少し前に70年代後半に発売されたものです。
ロジカがスターウォーズ的スタイルだとすれば、フルフルはどちらかといえば、よりシンプルな「2001年宇宙の旅」に出てくるインテリアに近い感じがします。

すべてのパーツをケースに効率的に収納できるようになっています。
エルナ・ロータスほどではありませんが、コンパクトで軽い。


このミシン、ライトは内臓型ではなく、別立て。独立したランプとしても使えます。
コードが短いので、他のシーンで使うには延長コードが必要になりそうです。
通常の設計どおり、ミシンのライトとして使う場合は、ランプをミシンの背面のコンセントに入れて電源を確保します。


そしてこのライトのカバーを開けてこんな感じで照らします。



このミシンは水平ガマです。まだJUKIのミシンのほとんどが垂直ガマだった時代、このミシンはちょっと特殊な位置にいるものです。




ただし、シンガーやジャノメに比べて、水平ガマとしては後発だったためか、縫い目はいまいちです。
裏の縫い目がやや粗く、ビシッとしまった縫い目にはなりません。

縫い目はすごくきれいではないですが、一応、直線、ジグザグ、ボタンホールなどが問題なく縫えますから、これで十分という人はいるでしょう。何より他とは違うデザインのコンパクトなミシンが欲しいという人にはいいですね。

小さ目のフットコンで操作するタイプで、音は普通。静かではないが、うるさくもない。



天秤は上下ではなく水平に動くので、糸かけの仕方も特殊です。

ダイヤルは小さくかわいい。

また、テーブル面は筐体の大きさに比して広めです。


JUKI HZL-11 Frou Frou、縫いは期待できなくても、何とも愛着の持てるミシンなのです。






2015/03/16

オートクチュール制作現場の家庭用ミシン

Christian Diorのオートクチュールドレスを作る作業場の光景が見られる映像を、たまたま登録していたメールマガジンにリンクがあったので見てみました。
こういう作業場を含めて、アパレル企業の生産現場では当然のことながら工業用ミシンが使われていると思っていたのですが。

大量生産を主体とした既製服の現場ではないからか、こういう少量生産でまずはサンプルとしてショーで使うものをつくる現場ではなんと家庭用ミシンが使われています。

映像はこちら

一部職業用(高速の直線ミシン)と思わしきものもありますし、他の動画では工業用ミシンも使っているようですが、このビデオにあるもののいくつかは明らかに家庭用ミシンです。押えもジグザグのものがついています。
直線のみでなく、ジグザグやフリルに模様縫いなどをする必要があるのか、それ程高速で大量に縫う必要がないからかはわかりませんが、家庭用ミシンなのです。

これにはちょっと驚きました。
こういう豪華で手のかかるオートクチュールの衣装も家庭用で縫う事もあるのが意外でした。

改めて家庭用ミシンの可能性を知らされたので、書かずにはいられませんでした。

私は昔から白い空間が好きなのですが、ここも白い。こういう白い場所でやると、より純粋にすっきりした気持ちで作業をしたり、考えたりできるのでしょうか。
白い服も好きです。人に感情を与えないながらも、黒い服よりも主張があるような気がするからです。また、こういう制作現場で白衣というのは、場所が清潔である事の証にもなり得ます。

2015/03/14

Merchant&Mills 永続的、珠玉デザインな裁縫道具、パターン

このブログを見てくれているミシン・ソーイング好きの皆さんなら、Merchant&Mills(マーチャントアンドミルズ)のことはご存知でしょうか。

イギリスの小さな町で、フランスの昔ながらのテーラーの雰囲気や道具を大切にして、それを伝えていく事業と店をやられています。
アンティークショップのような雰囲気の店内には、オリジナルのソーイング道具やパターン、オリジナルのバッグ、生地などが売られているようです。

どうしてもこの店オリジナルのソーイングツールが欲しくなったので、電車で少し行った街中のお店にMerchant&Millsの商品が置いてあることがわかったので、、実際に道具を見てみたいと行ってみました。

色々と商品を置いてあったのですが、ネット上で見つけて欲しいと思っていた、まち針、Grass Headed Pinは、やや短く自分はもう少し長いのが欲しいと思ったので、買いませんでした。

そして、一番目についたメジャーだけ買って帰ってきました。
これはメートル法で150cmまでの測れる他、現代日本人にとっては寸法を聞いただけでは感覚的に認知しにくいインチによる計測もできます。
黒い面がインチ、白い面がセンチメートルのメジャーです。メートルの一部にロゴが入っているので、この数センチにかかってしまうと計測がしづらいという難点があります。


アメリカなどで商品をみるとインチやフィートが書かれていてどれくらいか一目見ただけではわかりませんが、これで少しは理解を深められると思います。

Merchant & MilsのWEBページ
http://merchantandmills.com/
創業者Carolyn Denhamも出ている、Merchant & Mills の動画
https://www.youtube.com/watch?v=19E-1oTM6_E


同じ日に、こんなものも買ってしまいました。
ユニクロとMerchant&Millsのコラボレーション・トートバッグです。
色柄が違う6種類あるようですが、私はこの色を買いました。
右側が、バッグについていたMerchant&Millsの説明タグです。

その後購入したMerchant&Millsのソーイングブックの写真を載せておきます。
ソーイング道具の説明や、いくつかのベーシックアイテムの縫い方、最後に一つレディースのパターンが附属しています。(ただし、原寸大の型紙でないので拡大コピーが必要。)

昔からある、裁断ばさみや糸切バサミを除いて、最近はファンシーで可愛らしかったり、ナチュラルな感じの裁縫道具が殆どの日本とはまた違う、カッコいいソーイングツールが買える貴重なお店です。
日本でもいくつかのお店やオンラインでも購入できるので、興味を持たれた方は是非見てみてください。ビジュアルを眺めているだけでも楽しいです。

2015/03/12

ブラザーコミュニケーションスペースに行ってみた

名古屋に平日に行く用事があり、用が終わったあと時間があったので、どこか観光するところがないかと思い調べたら、なんとブラザーのお膝元だけあって、企業の展示館があるというのを発見!
これは行かねばと、名駅や栄など中心部からしばし地下鉄に乗っていけば、この展示館のある瑞穂区の堀田(ほりた)というあたりに着きます。
地下鉄からも名鉄の駅からも歩いて程近い場所にあり、周りはそこかしこにBROTHERの看板が掲げられていました。さながらブラザー村といったところでした。

ブラザーの営業日に合わせて開館しているこの施設は、平日の10時~17時と月2回の土曜日に開館しているようです。

コンクリートの平屋建てになっていて、周りには木々や芝生が丁寧に手入れされた庭があるとてもきれいな建物です。

そしてなかなか見応えがあり、快適でクリーンな館内にも関わらず、観覧無料!!です。



ミシン好きの私にとってはテンションが上がる場所でした。
無料でもあり、それ程期待していなかったのですが、これがまた多くの展示物があり、ただミシンを展示しているだけでなく、ブラザーがミシン以外の製品も色々と製造している会社だということがわかるような展示内容でした。
ただし、やはり創業者の安井さん兄弟が海外製に負けないようなミシンをつくるためにこの会社を興した事は一目瞭然でした。

撮影も一部を除いて許可されている施設なので、ここで皆さんにも紹介したいと思います。

なにより圧巻はブラザーのミシンだけでなく、、保存資料的価値の高い海外のあらゆるミシンが壁一面に展示されているコーナーです。
1階から上を見上げるようにしてみてもいいですし、2階に上がった時は上から全体を眺めるようにして見ても、このブログを見てくれているようなミシン好きの人にはたまらない景色だと感じます。




また足踏みミシンの実体験コーナーおあります。家に足踏みミシンなんてなかったし、学校でもそんなの見たことない、ミシンって電動じゃないの?という若い人にはとても貴重な体験になることでしょう。

自分もやってみましたが、体が大きいためか(言い訳?)最初はうまくできませんでしたが、だんだんと上手くいくようになってきました。
逆回転になると、ちゃんとモニター上で教えてくれますし、かなり早く踏んで動かさないと良く出来ましたとはなりません。これも面白かったです。

またシースルー(和製英語でいうとスケルトン)になった刺繍ミシンで、一連の動きが観察できるような機械も展示されていて、見ていて飽きません。


さらに2階は工業用ミシン。


別の展示ルームではブラザーがかつて作っていた、冷蔵庫やバイクなんかもありました。
さらにその他の主力商品であるorあった、タイプライターやプリンターなんかも展示されています。



ちょうどここに行った数週間前にブラザーのプリンターを買ったばかりだったのですが、同じものが展示されていました。
プリンターを新調しようと大型家電店に行ったのですが、最初はプリンターならCANONかEPSONかなーとその2つのメーカーのコーナーばかり見ていたのですが、CANONのものは大きすぎてどれもいまいちで、消去法でEPSONにしようとほぼ決めかけていたところで、たまたま目にしたブラザーのものがデザイン的にも良かったのです。
声を掛けられて機能や特徴を説明されたらどうにもそれが魅力的に見えてきました。価格は上記2社よりも安いわりに、同価格帯ではとてもないような機能がブラザーのものにはありました。何よりデザインは一番よかったのです。
これを買うしかないと、すぐに購入したのですが、ブラザーというのは改めて魅力的な部分がたくさんある企業だと認識した次第です。

私の多くのミシンコレクション(??)にブラザーのミシンはまだ一つもありませんが、ブラザーの強みである、刺繍や薄物に関して私があまり重きを置いていないだけで、デザイン的にとても優れた商品があることは事実です。ブラザーの中で以前からこれはいいなと思うミシンがあるのですが、どうもタイミングが悪いのかなかなか手に入りません。

最後のあたりで、現在の最上位機種と思われる、イノビスが展示してありました。自分で刺繍をすることもできます。


とても煌びやかにみえるなかなか素晴らしいミシンに思えました。
自分は刺繍をしないので必要ないですが、初めて最新の高級刺繍ミシンに触れることができて満足しました。

企業のショールームや事業紹介のための施設は無料のところも多く、私も大阪にある日清食品のインスタントラーメン発明記念館などに行った事もあります。その記念館も無料なのに展示が充実していて自分だけのオリジナルカップヌードルも作れたりして面白いです。
横浜にもあるようですが、横浜のは有料だそうです。

その他家の近所にある日本酒の酒蔵なんかも一般に開放していて、少しですが試飲させてくれたりするので、たまに行きます。

住んでいるところによって、いろいろと面白いところがあるはずですから無料の企業資料館やショールームに行くのを休日のレジャーに取り入れるのはいいことなのではないかと思います。
今ショッピングモールや繁華街に行ってもどこも同じような店ばかりあり、買い物するか外食するかしかすることがないなと思っていますので、遠出してドライブやレジャーにいけない時は近所でそういう施設にいくのはお勧めです。

2015/03/11

TOYOTAアイシン精機  OEKAKI 50 新たな流れを作るミシンの登場か!?

2014年のグッドデザイン賞を受賞したTOYOTA OEKAKI 50というミシン。一目見て直感でピッとセンサーが反応してしまいました。
http://www.g-mark.org/award/describe/41001

写真で確認してもらえばわかるように、色や形がユニークです。
コンセプトもはっきりとしていて、今まで日本にあまりなかったミシンですね。

2012年に同賞を受賞したジャノメのミシンと比べても、トヨタのものは明らかにコンセプトがはっきりしていて興味をひかれます。
私はサステイナブルとかいうよくわからない触れ込みコピーで何かを語ろうとするものはあまり信用しません。薄っぺらく感じるからです。
一方で、トヨタのOEkAKI 50の説明はもっとわかりやすい言葉で説明されていて現実味があるのです。

横ふりの工業用刺繍ミシンでは、フットペダルの踏み具合や、膝レバーの押し具合によってふり幅が変わるものがありますが、それを家庭用で可能にしたものがこのOEKAKIミシンです。
なにより自分で作る楽しさを追求するために作られミシンですから、他のミシンがいくら貫通力や回転数や縫い模様の数などで機能的に優れていても、これには独自性があるので、こちらに目が行ってしまいます。

コンピューターが勝手に刺繍してくれるのではなく自分でやるというところが魅力的です。練習用のキットもあるみたいですし、上達に向けて修練したくなりますね。
豪華で高価な刺繍ミシンって一回セットすると、糸を変えるとかはありますが、それ以外は何もすることがなく全部ミシンがやってくれるので、何ともつまらないなと思っていたところ、こんな楽しそうなミシンが出てきてワクワクします。

もちろん今までの普通のミシンでも送り歯をダウンできるものであれば、フリーモーションで縫っていくことはできますが、横ふりの幅をコントローラーで自在に変更することはできません。
何より、このミシンはお絵かきをメインコンセプトに持って来たという点で画期的です。

デザインも悪くないし、豪華な液晶モニターがついていないのもいいです。コンピューターミシンなので、普通のミシンとして使うにも十分な縫い模様もあり使い勝手もよさそうです。

※2015年6月から予約受付中 http://www.egatama.jp/oekaki/
発売は2015年9月。 価格は税込みで68000円のようです。

トヨタ(アイシン精機)のミシンはジャノメやブラザー、JUKI、シンガーなどに隠れてあまり話題にはのぼりませんが、外観デザインがとてもユニークなものを作っています。
http://www.aisin.co.jp/sewing/lineup/lineup.html
QBシリーズも、コンパクトで独特の形をしています。



2015/03/10

デザイナーズミシン

家電製品や集合住宅などで、デザイナーズ家電や、デザイナーズマンションなんかは結構企画され、ここ15年から20年くらいの間は量産されてきた印象がありますが、ことミシンとなると、なかなかそういうものは思いつきません。

もちろん、先日紹介したelna Lotus はレイモンド・ローゥイーによるものですし、とんがったデザインのミシンという点ではこれほどのものはないといえるNECCHIのLOGICAはジウジアーロデザインです。

そして世界のミシン市場をリードする我が日本はどうかというと、かつてジャノメミシンのデザインの多くを担当していた小杉二郎さんは日本の戦後、我が国のプロダクトデザインの黎明期を牽引するデザイナーなので、これもある意味ではデザイナーズミシンといえるのかもしれません。
ただし、はっきりとデザイン優先で、これは他のものとは全く違う、機能はさておきこのミシンでないと、と思わせるようなユニークで革新的なデザインと呼べるようなものはあまりお見かけしません。
あくまで個人的な意見ですが、小杉さんのものはデザイナーズミシンと言えるほど特徴的なものではないようが気がしています。

これは車や家電、デジタル機器も同じですが、日本のメーカーはどこも同じようなものを横並びで作っているという印象が拭えません。
携帯電話(近年ガラケーといわれるもの)全盛の時代はデザイナー携帯というものが各携帯電話メーカーや通信キャリアから発売されていて、面白いものも多く、自分はこれが欲しい!と思えるものが結構ありましたが、スマートフォンの時代になってからは、iPhone以外はどれも一緒に見えます。なんならiPhoneは今のスマートフォンのデザインの元となったものなので、これも含めてそれほど変わりがないと言えると思います。
一つくらい丸とかオーバル型のスマートフォンや、折り畳み2面スマートフォンなんあってもいいようなものですが、なかなか一般には出回っていません。

ミシンの筐体デザインという点で、日本のリーダーがどこかといえば、Brotherだという気がします。
JUKIのミシンも結構Brotherの先行機種を意識〈真似?)していたりします。
今のベストセラー家庭用ミシン、JUKIエクシードシリーズは明らかにBrotherのフェリエやアデッソという先行販売ミシンに似通っています。
好き嫌いはさておきブラザーはキャラクターを配したものや、花柄、ローラアシュレイモデルなどターゲットを明確にして、そこにはまるデザインをしているといえるでしょう。
かつてあったJUKI The Misinのレバーの位置やデザインも、ブラザーのコンパルから来ているのではないかと思われるのです。

ジャノメのデザインは色々‘とっ散らかった’印象があり、どうもブラザーほどターゲットとデザインに統一性がありません。どれも中途半端でどの人にも何とか合えば、というようなデザインが多いです。ターゲットを広めに設定していて定まりにくいのかもしれません。
何となく真ん中みたいなデザインをして、あとは変な柄とか、エンブレムをつけて他のモデルと一応差別化しましたという感じに見えます。
機能、性能は申し分ないだけに勿体ない。
刺繍ミシンも何となく、ブラザーに比べると。。。。。。。です。

私としては、世界をリードする日本のミシンメーカーに、デザイン的にこれが欲しい!!と思わせるミシンを作ってほしいのです。
ベルニナやハスクバーナ、Pfaff なんかは今でも家庭用ミシンでかっこいいと思えるデザインのものがありますが、それらの外国メーカーではなく、日本のメーカーにここらで一発やって欲しいのです。
日本には優秀なデザイナーがたくさんいますし、デザインコンペで一般に募ってみてもいいのではないでしょうか。
外国のデザイナーでもいいでしょうし、各社それなりに本気で外観デザインに取り組んだ、思わずこれはいい!!と思わせるミシンを作ってほしいのです。

2015/03/09

ロータスのボビン周りと操作性

ロータスシリーズは60年代から販売されたミシンなのですが、下糸は水平ガマです。
ただし、プラスチックではなく、金属製のボビンを使います。

純正ボビンは他では見たこともない形をしています。
私が買ったものには1つだけ純正ボビンがついていました。
Elna Lotus 純正ボビン。 ボビン上側だけ穴が開いた形状。

ただし、普通の11.5㎜厚の家庭用アルミボビンが使えますし、ベルニナの純正ボビンは厚さがより近いので、ベルニナのボビンを使うこともあります。ただし、ベルニナの純正ボビンは下糸巻軸に入りません。だから他のミシンで既に巻いてあるベルニナボビンは使えますが、ベルニナボビンにロータスで下糸を巻く事はできないです。

ボビンを取り出しにくい時は、ミシンの針棒後ろについているこの金具を上から降ろしてボビンの軸穴に入れて取り出します。

また、フットコントローラーはこんな形をしています。


右側の白い出っ張りは特にボタンという訳ではなく、左側の黒い部分を踏んだり、押したりして、速度調節をします。普通のフットコントローラーよりも小さいので、使いにくいかと思ってしまいますが、そんなに使いにくくはありません。

そしてこのミシン、送り性能、縫い性能はコンパクトなボディにしては非常に高いものを持っているのですが、操作性という点では今のミシンは言うに及ばず、その当時やそれ以前のミシンにも劣る点があります。

それは返し縫いをするには、右側の”送りダイヤル”をクルッと回して返し縫のポジションまで回さないといけないのです。
一番右側が送りダイヤル、その左がふり幅ダイヤル

さらに普通の前進縫いに戻すには、すぐに縫いたい長さの目盛りまでダイヤルを回して戻す必要があるのです。
昔の鋳物ミシンや足踏みミシンでもレバーやボタンで返し縫いあ出来るものがほとんどでしたが、elna Lotusはそういう形にはなっていません。

また縫い模様を変更する際は、真ん中にあるふり幅のダイヤルを0にしてからでないと、一番左の模様選択ダイヤルが動かせないなど、ひと手間余計にかかることがいくつかあるのです。

慣れてしまえばなんてことはないのですが、今の便利なミシンになれてしまった人からすれば、こういうのを面倒だと感じる人は少なからずいるでしょう。

やはりなんでも一長一短で、すべて万能というミシンはほんとに少ないということかもしれません。
性能もよく安定していますし、コンパクトで収納や持ち運びにも便利ですが、操作性という点でやや難ありといったところです。

ただし、多少の不便や手間がかかるものでも、このミシンは総合的に優れたミシンなので、修理してでも長く使いたいという人が多いのも納得できます。
このサイズと軽さでこれほど基本性能が高く、安定性のあるミシンは世界中どこを探してもなかなかないでしょう。

シンガー・フェザーウェイト221Kなんかも、小さ目で軽いミシンの割に、縫いの安定性や耐久性、信頼性の高いミシンですが、elna Lotusのようにジグザグができませんから、ジグザグでかがり、ボタンホールができるミシンとなると、この小ささで信頼できるのはelna Lotusとなるのです。

2015/03/07

驚きの小ささ。カブを彷彿とさせる音。

elna Lotusが届いたとき、まず思ったのが、小さい!!ということ。

コンパクトミシンなので、小さいことはわかっていたのですが、想像を超える小ささでした。

コンパクトミシンと言えば、家電店に行けばよく目にしますし、山崎ミシンもコンパクトミシンの範疇に入るものでしたので、それくらいを想像していたのですが、それよりもかなり小さいのです。

出っ張りや丸みがなく、スクエアになっているので無駄がありません。



モーターはその時代のモーターの特徴として共通しているのか、カブの音がします。

”カブ”と聞くと、今の若い人は 株なのか、蕪なのかと思ってしまうかもしれませんが、一定の年齢以上の人はHONDAのあれだなと思うと思います。

今は小さいバイク、Motor Cycleといえば日本ではスクーターといわれるやや大き目のものがほとんどですが、かつてはカブというミニバイクが日本中を席巻しました。

10年以上前ですが、ベトナムに行ったときは日本のカブは今でも健在で、中国製やその他のバイクを買うよりも、何よりもホンダのカブが一番カッコいいということで多くの人がカブに乗っていました。
今は日本でカブを見かけることはほぼありません。

話は変わりますが、最近VESPAというイタリアのスクーターを見かけなくなりましたね。90年代あたりにはヘルメットも含めて、オシャレな感じでコーディネイトして街中を走っているのをよく見かけました。

アメリというフランス映画が流行ったころは相手役の男性が乗っていたモペットというのもチラホラ見かけることもありましたが、90年代のオシャレバイクといえば、VESPAでした。
自分もちょっと欲しいなーと思ったことがありましたし、今でも持つ事になればうれしいですが、本当に街で見かけることがなくなったなーとふと思いました。

それは置いておいて、elna Lotus の音がなんともこのカブのエンジン音に似ているのです。
ブルブルッブルゥゥーー、ブーーン
明らかに今のミシンとは違いますし、外付けのYDKのモーターがついているものや、シンガーのアンティークミシンについていた電動のモーターとも違う音がします。

車やバイクでギアチェンジしたときのように、ロータスもスピードが変化すると、一速あがったなと感じるポイントがあります。

スピードが早いという触れ込みだったので、手にするまではどれだけ動きが早いのか非常に気になっていましたが、職業用はもちろん、ベルニナの一部のミシンもそこそこスピードが出るのでそれほど驚くものではありませんでした。ただし、コンパクトミシンにしては早く針が動くことに間違いありません。ボディの小ささを考えるとすごい運針性能だといえます。

スピードが速くなっても本体がブレることがないのもいいです。
プラスチックではなく、金属の筐体なので安定しているのでしょう。

カバーにもなっているフラップを取り外すとこんなにすっきりしますし、フラップをとればフリーアームにもなるのですが、アームはやや太めです。



2015/03/05

コンパクトミシンのパイオニアにして最高レベル 購入ミシンNo,24 Elna Lotus Tsp

デザインもよく、機能的にも優れたところのあるミシンを買う(集める??)ようになり、いつごろからかどんなものなのか無性に気になるミシンがありました。

そのメーカーは今ではジャノメに買い取られ、ブランド名としては残っていますが、私が欲しいものはメーカーオリジナルで製造されたもの、60〜80年代くらいまではその本国であるスイスで製造されていたようですが、今はもうブランド名だけが残っているので、スイスで製造されることはありません。

ベルニナがスイスでドイツ語圏のステックボーンという町にいまだ健在なのに対し、Elnaはフランス語圏のジュネーブの会社でした。

欲しかったミシンElna Lotus はニューヨーク近代美術館のコレクションにもなっています。
http://www.moma.org/collection/object.php?object_id=4067

レイモンド・ローウィーというフランス出身のインダストリアルデザイナーの方(事務所)のデザインによるもので、とても考えられた、無駄をそぎ落とした形になっています。
レイモンド・ローウィーはフランス人ですが、主にアメリカで活躍したデザイナーです。工業化社会からプロダクトの商業化、マーケティング主導の大量消費社会へと移りゆく時代にその手腕を発揮し、今でも同じデザインで販売されている永続的な商業デザインをしたこの分野の巨匠のひとりともいえます。
アメリカのたばこ・ラッキーストライクのパッケージや、鉄道や車、飛行機のデザインなど幅広い分野のデザインをされています。
日本の製品でいうと、たばこのピースの箱が彼のデザインです。発売当時からほぼ変わらないパッケージで販売されています。不二家のルックチョコレートのパッケージも彼のチームのデザインです。

カバーとなっているパネルを開くと、蓮の花のように見えるので、LOTUS(蓮)という名前になったようです。

カバーを開くと、それがソーイング・エクステンションテーブルになるように設計されています。
この形は70年代日本で大ヒットしたリッカー・マイティにも採用されています。(まあ、パクったということでしょうか)
マイティは電子のお針箱という名前がついていたミシンで、LOTUSと同じように開いてそれがテーブルになり、それを閉じてしまえばそのまま箱のようになり、保存しておけるということで、当時の
ミシンと比べても画期的だったようですが、デザインのアイデアとしてはLOTUSから得たとみてまちがいはないでしょう。
ただし、ロータスに比べて形がやや野暮ったく、パネルも厚め。軽やかさがありまえん。
ロータスがパタパタと蓮の花びらが開くというイメージに対して、マイティはバタバタと開きそうな感じに見えるのです。
リッカー・マイティは見た感じは嫌いではないのですが、やはりなんでもオリジナルにはどこかしら叶わないものなんでしょうね。
似て非なるもの。

興味がないわけではないので、いつかマイティも手に入れようとするのかもしれないという危機感が自分の中にはあります。ただ、マイティは経年による内部の破損が発生することがほとんどで、今でもまともに動くものがほぼないと思われれるミシンなので、よほどのことがない限り買う事はないと思います。そんなことを考えていること自体おかしいことなんですが、、、、

マイティに話がそれてしまいましたが、Elna Lotusはコンパクトなのにパワーがあり、スピードがあると書かれていて、その独特なデザインとともに魅力のあるミシンだということで、どうしても手にしてみたかったのですが、今は新品はもちろんのこと、中古でもなかなか出てきません。
ただし、修理ブログなんかをみると今でも時々掲載されているので、今も現役機として使っている人が少なからず日本にもいるようです。
アメリカのebayなんかでは定期的に出品されているので、それを購入することも何度か考えていましたが、手頃な値段ではなかなか見つかりませんでした。アメリカからだと送料を考えると買おうと決断できるものは限られてくるのです。

そんな中、苦節うん年…。 ということではないですが、やっと念願のミシンを手に入れる事ができました。
それも一番欲しいと思っていた色・オレンジ色のもを。



トップカバーを開けたところ、部品が収納されています。

Elna Lotus にも、SP、TSPとついたものがあり、私が買ったTSPはSPよりも縫い模様が少しだけ多いみたいです。

また、何回かマイナーチェンジをしているようで、Elna Stellaなどは同じような筐体デザインではありますが、Lotusが電動ミシンなのに対し、Stellaは本体のスライドバーで速度制御機能が出来る電子ミシンになっています。

Elna Carina というのはLotusとも似ていてよいデザインのミシンですが、これはコンパクトではなくやや大きめ、中型くらいのミシンでパワーもLotusよりもあるそうです。