2015/06/16

丸善ミシ x Kenmore x Frister & Rossmann

Kenmoreと聞いてピンとくる日本人はあまり多くはないと思いますが、これはアメリカのミシンのブランドネームです。メーカー名ではなく、ブランド名です。

アメリカでチェーン展開するSearsというデパート(高級ではなく中級くらい)で売られているミシンはKenmoreというブランド名になっています。
メーカーにOEMを依頼して製造し、Kenmore Sewing Machineとして販売しています。今はJANOMEなどもKenmoreに提供しています。

英語ですが、Sears Kenmoreのミシンについて、どこのメーカーが提供しているかなど書かれたものはこちら

以前NECCHIのLOGICAを紹介した時にSears-Kenmoreについて少し触れましたが、Sears-Kenmoreのミシンは一時
日本の丸善ミシンが多くの機種の製造を請け負っていたようです。

丸善ミシン???
何のことかよくわからない人もいるのではないでしょうか。
丸善と言えば、梶井基次郎の「檸檬」の舞台にもなった日本の洋書販売のさきがけ、今はジュンク堂と合併した本屋さんと思う人もいるかもしれませんが、その丸善ではありません。
丸善ミシンは現存の会社でもあります。
そう、大阪は守口にあるミシンメーカー、ジャガーミシンの以前の会社名です。
前の投稿で紹介したジャガーMateの銘板には丸善ミシンとしっかり書かれています。


今やジャガーと言えば、テレビ通販や家電屋にあるコンパクトミシンのメーカーというイメージを持たれる方も多いでしょう。ジャノメやブラザー、JUKIとは違い、ヤマザキミシンなどと同列のように感じるかもしれません。
しかし、80年代くらいまでは隠れた名機をいくつも製造していたのです。ジャノメやブラザーとも遜色がないくらいだったと思われます。
職業用ミシンのVELVET303は他メーカーの職業用と同じ直線専用ですが、VELVETⅡ305はジグザグもできる職業用として独自性を持っていました。

また、ジャガーMATEはコンパクトながらも高性能で頑丈なミシンとして、SearsのKenmoreブランドのほかヨーロッパではFrister & Rossmann Cubという名前で販売されていたようです。
Frister & Rossmannとはドイツ・ベルリンで1800年代中ごろにスタートした歴史あるミシンメーカーですが、世界大戦の動乱期を経てイギリスに移り、いつごろからかミシンの販売会社になりました。

現在販売されているFrister & Rossmann のミシンを見ると、ジャガーのロゴマークと同じく上糸と下糸が絡まった形が書かれているので、今やジャガーのミシンをヨーロッパで販売する会社となっているようです。

日本にいるとなかなか知ることのないミシン事情が各国にはあるのでしょう。また本国であるわが日本以上に、海外において実力を発揮している丸善ミシン・ジャガーミシンの魅力をKenmoreとFrister & Rossmannを見ることでより理解できたような気がします。

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