2015/06/04

家庭用ミシン、自動糸切り機能は必要か、否か

家庭用ミシンに自動糸切機能が付くようになってから早や数十年、というか30年くらいでしょうか。
80年代に自動糸切のパイオニアJUKIが工業用ミシンにしか搭載していなかった自動糸切機能を家庭用ミシンに採用。それまで家庭用ミシン市場では、鳴かず飛ばずで、他社に後塵を拝してきたJUKIが家庭用ミシン業界で巻き返しを図る起爆剤ともなったこの機能。

その後ジャノメやブラザー、シンガーなどのメーカーでも採用され、最近では、あらゆる電気製品で便利機能は後回しにされがちな欧州メーカーのベルニナやハスクバーナでも自動糸切機能が多くの機種で装備されています。
ただし、どのメーカーも殆ど全ての機種という訳ではなく、上位機種に限られるのがこの機能です。職業用ミシンでもいまだに自動糸切付と糸切なしの2つのモデルが販売されています。

一体この機能は必要なのか、否か。 ふと考えてみたのです。

自動糸切が便利なのは間違いありませんが、この機能に欠点がないとは言えません。
縫い終わった後に糸を切るために、生地を引っ張り出して、糸切バサミを手に持ってという工程がなくなるのはありがたいことですが、鋏で切る程に残り糸なく切ることができず、どうしても糸が数mm程度残ってしまいます。これはメーカーや機種により差があるので、メーカーによっては改めて糸を切らなと気になる程度まで残る場合もあるようです。
さらに、縫い初めに下糸を引き上げておく必要がないということに(一応は)なっているので、縫い初めに裏側に”鳥の巣”と表現される糸がぐちゃっとなった糸玉が出来てしまう事もあるとか。

ボタン一つ(or足踏み一回)で糸を切ってくれるので作業もはかどり、多く縫う人にはこの機能があった方が便利なのは間違いありませんが、私はそれ程必要性を感じていないのです。
生地を引っ張って、糸切バサミで切る作業が結構好きだからです。
おそらくゆっくり丁寧にするのが好きな人は糸切よりも昔ながらに引っ張って糸を切って、時には上糸を裏に引っ張り出して結んでという事が苦にはならないと思います。

一方、縫製作業に効率を求められる場合や、大量にスピーディに縫うのが好き、または必要な人はこの機能を一回使ってしまうと、これがないとやっていられない、イライラすると感じる人もいるようです。
私も早く手っ取り早く直線でだーーっと色々縫っていきたい時、また大き目の衣料を縫っていて生地を引っ張ったりするのが大変なものの場合は、自動糸切付のミシンを使います。

ただし、手での糸切の作業を楽しんで、ゆったり縫物をしている時の方が、何となく楽しめているような気が(個人的には)しています。

何でも機械に便利にワンタッチでしてもらう癖がついてしまうよりも、自分で出来る事はやる、面倒な事も多少は受け入れて、体と頭を使うことは大事だと感じています。
機械やコンピューターが勝手にやってくれる事はありがたいものの、それを誰も疑わない方向に進んでいく社会には幾何かの疑問が残ります。

私なりに自動糸切について簡単な結論を出すとすれば

・毎日何時間もミシンを使って作業する予定の人、スピーディに効率よくやるのが好きな人。
・取り回しの難しい大きなもの(大物キルトなど)を主に縫うという人は、自動糸切付が良い。
・それほど毎日大量に縫う予定もない、または多少の手間と不便さは気にならないと言う人は
 自動糸切はなくてもいい。

そう考えると職業用ミシン、工業用ミシンにはあった方がよく、
家庭用ミシンではそれ程いらないのではという事になります。

予算に余裕のある人は、(あっても使わなくてもいいのですから)自動糸切付を買えばいいし、予算がない場合はなくてもいいとも言えるでしょう。



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