2015/05/11

ミシンの変遷を辿る。

私は個人的には今のミシンより、昔のミシンが好きですが、ミシンは年代によりある特徴に定義できるのではないかとふと考えました。そこで、自分なりに考えた事を整理してみることにしました。

18世紀末から19世紀前半に欧米で発明・開発されたミシン。日本に入ってきたのは1800年代半ばのことです。最初は人力で、手廻しや足踏みで動力を発生させて縫うものでした。

1900年代に入り、電動で動くモーターをとりつけて動くようになっていきます。

そして、1940年代、第二次世界大戦くらいまでは、鋳物の黒ミシンが主流。返し縫ができるようになったり、釜の構造に少しずつバリエーションが増えたりしていきますが、基本的には直線を縫う機能に特化していました。

ここまではアメリカやドイツのメーカーが一流の高級品として捉えられていました。

戦後、日本ではシンガーのミシンを模倣し、それに追いつけ追い越せとあらゆるミシン会社が勃興し、ミシン製造を始めます。

1950~60年代 電動、ジグザグの時代 
ベルニナのページを見ると1930年代にジグザグミシンを作ったと書かれていますが、

一般的には50年代ごろからジグザグミシンが登場し、60年代にかけて少しずつジグザグ機能を持つミシンが増えて行きます。これに合わせて、黒だけではなく、インテリアにもなじむミシン、ボディの色にバリエーションが増えてきます。動力は、足踏みか電動でした。
このあたりからアメリカやドイツメーカーを日本が猛追していきます。アメリカなどに日本のミシンを輸出するようにもなります。

60年代から70年代前半にかけてはカムを交換してあらゆる模様が縫えるミシンが数多く生産されました。

1970年代 カム内蔵、電子ミシンの時代
70年代にカムを内蔵したミシンが登場し、ダイヤル操作だけであらゆる模様縫いが出来るようになってきます。
そして電子基板を内蔵し、レバーやボタンでスピード制御などを行えるようになってきます。
この時代までは機械ミシンの時代です。ボディも頑丈で、部品も金属製が多かったので、少しずつ、プラスチック部品が少しずつ導入されてきます。
修理も比較的容易で、整備すれば長期にわたり使えるのはこの時代までに作られたミシンです。

またフリーアームにできるミシンが70年代~80年代に増えてきます。

1980年代 コンピューターミシンの時代
80年代に入り、針の動きをコンピューターで制御できるミシンが主流になっていきます。
文字縫いができるミシンが出てきたのもこの頃です。まだ金属ボディの頑丈なミシンが多く、コンピューター基板が初期のもので重く大きくなりがちでした高額なミシンが一般的に売れていたのもこの時期までです。
長く使え、信頼できるミシンが多かった時代です。

1990年代 コンピューターミシンの進化と小型化・軽量化時代
プラスティックボディを採用したミシン、軽く持ち運びしやすいミシンが増えてきます。金属部品からプラスチックや樹脂製の部品が増えてくる時代でもあります。
また手元操作や自動糸通し、自動糸切が出来る便利なミシンが増えてきます。
小型化し軽量化するために縫い性能や耐久性が犠牲にされるようになります。押え圧調節がないミシンが多くなってきて、機種によって厚地が縫えなくなってきたのもこの頃からです。
家庭用ミシンではプラスチック水平釜が主流となっていきました。

キャラクターものや、ワンポイント刺繍が出来るミシンが出てきて、かわいいボディへと移行していったのもこの時期です。

2000年代 高級刺繍ミシンと安価なミシンの二極化時代
消費社会が進み、ますますミシンの需要がなくなってくるのに合わせて、複雑な機能とパソコンとのリンク機能を持った高機能・高級ミシと、ちょっとだけ縫いたい、小さい、軽い、安いのコンパクトミシンが主流の時代になってきます。
今一部で売れている、JUKI、ブラザー、ジャノメの中価格帯にある実用性の高い優れたミシンは、90年代コンピューターミシンの焼き直しと言ってもいいものです。液晶のカラー化やLED証明、ワンタッチ○○のようなものくらいしか技術革新がありません。


ここまで整理して何を言いたいかというと、
長く使いたい、そして頑丈で少しだけ便利なミシンが欲しい場合は、70年代のミシンがいいのではないかということ。その理由についてはまた次回

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