2015/05/12

70年代のミシンの有用性

前回はこれまでのミシンの変遷を年代ごとに整理して、数あるミシンの中で、70年代のミシンが最も耐久性、機能性、利便性に優れているのではないかという一つの持論にたどり着いたのですが、その理由を今回は説明していきたいと思います。

70年代くらいまでは服も高く、気に入ったものもすぐには見つかりにくかったので、まだ家で服を作っていた人も多くいたのではないかと推測されます。
そのため洋裁をするのに向いた、頑丈なミシンが多いのです。

80年代のミシンもまだ精度の高い金属部品や金属ボディ採用で頑丈に作られていますが、コンピューター基板がだめになると、使えなくなるものも多いです。
90年代、2000年代になると液晶画面がだめになるともう使えなくなったりしますので、耐久性はそれ以前のミシンに比べてありません。

50~60年代以前のミシンはもちろん耐久性は高いですが、直線しか縫えなかったりするので、ボタンホールやジグザグを便利に一台でこなしてしまいたい場合には別のミシンかアタッチメントが必要になります。また、フリーアームにならないものも多いので、そういう縫い方をしたい場合は困ります。また、持ち運びするには重すぎて、今の家庭事情や、その他の道具、家電製品と比べるとかなりの不便なものと感じるでしょう。

もっとも、60年代までのミシンは、色んな機能はありませんが、耐久性には優れているので、一番頑丈で、故障も少ない事は否めません。

ただし、現在の一般的な使用にはジグザグなどもあった方がよいので、整備された70年代のジグザグミシンを使うのがいいのではないかと考えたのです。
だから、今でもジャノメのトピアシリーズやエクセル、ブラザーのペースセッターなどが国内外問わずに人気が衰えないのではないかと。

私の持っているor購入したもので70年代のものと言えば、ジャノメ・エクセル813、815、シンガー・モナミ353、394、初代機は68年発売ですが70年代に主に販売されていたエルナロータス、その後継のエルナステラ、ジャガーMATEなどです。

一部にプラスチックギアがあり、これが劣化すると交換の必要があるのが難点ですが、それが交換により解消されれば、頑丈で、満足できる貫通力、糸締まりがよく綺麗な縫い目、そして清掃して油を注してあげれば大体元気でいてくれて、一部の部品劣化はあっても交換できればずっと使える。それ以前のミシンに比べると収納が容易で持ち運びも可能なもの。
送りや針棒の制御が機械式なので、電力がなくなったとしても、手廻しでも全ての縫いが可能。

80年代から90年代にかけての高性能ミシン、リッカーベルニナやJUKI The misin、ジャノメ・センサークラフトもいいですが、これらはコンピューター基板やステッピングモーターがだめになると使えません。ただし、糸調節や貫通力などはこの時代の上位機種が一番あるかもしれないので、70年代のものよりこちらの方が優れている点は多々あります。

2000年代以降のミシンはきれいで便利な機能満載ですが、一生ものと呼ぶにはちょっと頼りなく、いつか壊れるかもしれなしいし、壊れたら修理代も高い。
多くの機能を備えていても使わない機能が殆どです。

個人的には70年代のものより80年後半から90年代のものを愛用しています。それは様々な縫い方ができるのと自分の使い方にはこのあたりのものが合っていると思うからです。
ただし、あとちょっとこういう機能があればいいのになーと思える70年代のミシン、足りない部分は自分で工夫したりアタッチメントで乗り切ったりして、アナログで解決できる安心感があります。電力がなくても手廻しで何とかなる事もありますし、何より整備しやすく、シンプルなつくりなのです。

これが、80年代からはメンテナンスが難しくなってきます。注油不要をうたったミシンが登場し説明書にも注油箇所が書かれていなかったり、グリスを使ったりするので使用者が簡単には整備できず、基板やステッピングモーターがあるので素人には構造を理解するのが難しく、だんだんとミシンと使用者の距離ができて、耐久性も少しずつ落ちていくのです。
素人ではボディを開けにくくしてあるのも80年代以降のミシンで多くなってきます。

電動で、直線・ジグザグ・ボタンホールが出来て、フリーアームになり、ポータブルにしても無理がない。あまりミシンをヘビーに使わない人はこのあたりのミシンを、自分で出来る注油などのメンテナンスを時々しながら使っていくのがいいのではないかと考えたりしたのです。

ということで、70年代のミシン、今見直してみるのはどうでしょうか。
日本の歌謡曲や流行歌もこのころまではプロの作詞・作曲家が時間をかけて作ったのがわかる優れたものが多いような気がします。歌手もこのころまでの人は80年代以降のような下手な人はいません。
やはり様々な面で今とは時間の使い方が違ったのでしょう。

10 件のコメント:

  1. はじめまして。ジャノメ813か815の購入を考えており、調べていたらこちらの
    ブログを見つけました。
    帆布でバッグを作っていまして、シンガー188Uで作業しているのですが、
    「細い」フリーアーム付き(かつ丈夫な)ミシンも欲しい・・・とのことから上記の
    2機種が良いのでは?と考えています。(腕ミシンが欲しいところですが、
    金額的に厳しい現状です。)
    ただ、多用している糸が20番なため、家庭用ミシンでは糸調子や糸絡みの点で
    難しいのでは?とも懸念しています。パワー不足も心配ですが、フリーアームを
    使いたい作業はほんの一部なので、その時は手回しで使おうと思っています。

    ハナシ人さんはどちらも持っている(持っていた)とのことで、20番糸でこれらの
    ミシンを使用されたことがあるかお尋ねしたく、こちらに記入させていただきました。
    突然の質問で恐縮ですが、教えていただけましたらうれしいです。








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  2. コメントありがとうございます。
    ご質問のジャノメ813、815で20番糸を使って厚地を縫う件ですが、やったことがないので何ともいえません。
    説明書では16番針、40番糸までしか記載がありません。16番針を使い20番糸を縫われているのであれば、手廻しであればボビンや上糸の調整により何とかなるかもしれませんが、はっきりした事はいえないです。すみません。

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  3. お返事ありがとうございます。
    オークションなどで安く入手できましたら、ドキドキですが挑戦してみようと思います。

    ハナシ人さんのブログはミシン素人の私には大変参考になるので、これからもブログを拝読します。
    ありがとうございました。

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  4. 20番糸が上手く縫えるかどうかわかりませんが、813,815は縫い目のキレイないいミシンだと思いますので、手にしてみてもいいと思います。

    また是非ブログ見てください!

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  5. 再度のコメント失礼します。前回お尋ねしてから813・815をチェックしつつ、ハナシ人さんの前ブログ「ミシンのハナシ」を読ませていただいてました。(まだ全部ではありませんが・・・)

    その中の「来るべき場所に来る、あるべき場所にある。」や他の回でジャノメのTwo in Onについてを読み、とても気になってしまいました。希望する細いフリーアームではありませんが、フリーアームの下の空間が広そうなのと安定した運針が良いなと思います。(私はほとんど直線縫いなので、ロック機能などはもったいないですが。)
    ※話が外れますが、ドラマ「ヤヌスの鏡」、観ていたのでなつかしです(>_<)

    興味を持ったところで、疑問に思ったのでまた図々しくもお尋ねしたく、記入させていただきました。「唯一無二。洋裁ミシンの傑作。購入ミシンNO.22 JANOME New Home Two in One DX」で、このミシンの釜の画像を見ますと垂直半回転釜に見えるのですが、そうでしょうか?それとも、ジャノメ813は垂直全回転釜なのにボビンケースは半回転釜用を使うそうなのですが、このパターンでしょうか?(垂直半回転釜のミシンはスピード的には劣るけれど、厚物縫い、太糸の使用に強い(と書いているサイトをいくつか見ました。)とのことで、私のような量産をしない、マイペースに使う人には向いているのかな?と思います。)

    また、このミシンも部品の多くが金属製の頑丈なものでしょうか?(オークションに出品されているのがほぼジャンク品で、出品者もミシン業者さんではないためコンディションを詳しく聞けず、不具合があった時に比較的直しやすいミシンなのかも気になります。)

    長文、乱文で恐縮ですが、よろしくお願いします。

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  6. Two In Oneは半回転釜です。813などとは異なります。
    半回転釜は糸締まりがいいですが、厚さや糸に関しては、職業用ミシンや工業用ミシンで採用されている全回転釜も太糸、厚物に強く、あんまりこの辺は釜は関係ないような気がします。
    おそらく部品は金属が多いような気がします。電動なので、比較的直しやすいとは思いますが、ロックミシンをあまり使わないのであれば、Two in Oneでなくても、同じような性能を持つ垂直釜フリーアームでいいのではないかと思います。非常に使いやすいミシンですが、ロック機能があるため他のものよりも大きく、重いです。



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  7. 早速のお返事ありがとうございます。
    半回転釜ミシン=厚物、太糸に強い、で考えていたのでまた1つクリアになり、だいぶ
    選択肢が絞られてきました。

    そして大きさも、重さもあるのですね。確かに画像から「ドン」と重量感のある筺体に
    見えます。ただでさえ狭い部屋に、すでに足踏みミシンがあるので、もしこのミシンも
    部屋に置いたら圧迫感が出てしまうと思うので、とても有難い情報をいただきました。

    ミシンのことを調べますと、本当に奥が深いです。出来ることなら私も気になる機種を
    どんどん入手して、そのミシンの一長一短を体感したいです。

    今回も本当にありがとうございました!

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  8. 初めまして。楽しく拝見いたしました。私はジャノメの352型を持っています。母が購入したもので、価格は59000円と当時としては安い部類のミシンだと思いますが、いいものなのでしょうか?電源コードを探さなければならず、母も捨てるかを迷っているのですが・・・。

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  9. ジャノメ352をお持ちなんですね。デザインも四角っぽくて、色も落ち着いていて、機能もシンプルで、いいミシンだなーと私も気になっていたミシンです。縫い目も安定していそうですし、貫通力も性能も家庭用ミシンとしては十分だと思います。電源コード付フットコントローラーの差込口は汎用的なものに見受けられるので、(コントローラーの形は違うものになるかもしれませんが)新品でも手に入りますし、オークションでもフットコンのみで状態の良い中古がすぐ手に入ります。
    機能に不足を感じていないなら、コードを買って使った方がいいミシンだと思います。

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  10. 素早いご返信ありがとうございます。電源コード付フットコントローラーなんですね!詳しい入手方法までご教授いただき本当に感謝です。
    10年ほど押し入れに眠っていたミシンですが、褒められたこともあり、ますます可愛く思えてきたので大事に使おうと決めました!また何かあれば質問させていただきます。ありがとうございましたm(__)m

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