百聞は一見に如かず 購入ミシンNO.43 ブラザー ヌーベルクチュールスペシャル2 TA3-B627

以前、ブラザーのミシンは自分の志向とは合わないと書いた事があります。その当時は革や帆布など厚物を縫う事が多かったのと、頑丈な雰囲気が漂う機械が好きだったので、ベルニナやJUKIのミシンが好きでした。

部品目当てのついでに手にしたブラザー。コンパルEXに続き、前々から気になっていた職業用ミシン・ブラザー・ヌーベルクチュールを買ってみました。
これも職業用TAタイプのボタンホーラーがついていたので、勢いで買ったというところもありますが、なかなかこれがいいミシンです。

コンパルも予想以上に使いやすくいいミシンでしたし、今まで購入しなかったのが不思議なくらいブラザーのミシンはいいのです。他社のミシンと比べて、動きも滑らかで音も静か、見た目も含めて全体として優しい雰囲気を醸し出したミシンが多い気がします。
写真や店舗で見ているだけではなく、使ってみて改めてそう思いました。
百聞は一見に如かず、というところでしょうか。

ヌーベルはどの職業用よりも静かで、職業用に限らず他のどんなミシンと比べても最高レベルに静かな感じがします。
音が小さいという利点のかわりに、パワーはJUKIやジャノメ系の職業用に比べてなさそうで、厚地には他社の方が対応しそうです。鞄や革などのクラフトよりは衣料制作に向けて作られているためでしょう。

スピードは、個人の感覚的なものですが、フットコントローラーを踏み込んでもシュプールよりは遅いような気がします。1分間1500針ということで説明書等によるとシュプールと同じですが、最高速がシュプール25より遅いような気がするのです。動きが軽やかなので、感覚的にそう思うだけで、実際はシュプールと同じく1500針なのかもしれませんが、何となくそういう気がしました。
そうは言っても、ヌーベルの最高速くらいあれば十分です。これ以上早くなくても問題ありません。

重さは大体シュプール25と同じくらいだと思います。ジャノメ系の高速直線ミシンよりは軽いので持ち運びがしやすいです。

返し縫レバーや送り長さ調節ダイヤルは操作がしやすいです。

いくつかの機能特徴を以下にあげてみます。

押え圧調節

◆押え圧調節
押え圧調節の目盛表記が通常他社でもよくある強い、普通、弱いなどではなく、ベルベット、薄地、厚地など、生地の厚さによりどこに合わせればいいかはっきりと書いていてわかりやすいです。
厚地や薄地だと押え圧を強くするのか、弱くするのかわからない人でも、問題なく調節ができる親切な記載方法です。

送り歯高さ調節

◆送り歯調節
ブラザー・職業用の特徴である送り歯高さ調節。
生地により送り歯の高さが調節できます。

以前紹介したトヨタの古い家庭用ミシンでもこの機能はありましたが、現在家庭用ミシンで、送り歯の高さが調節できるものは殆ど見かけません。

下針送り、真ん中送り歯の最後方から針が上がる

◆下針送り。
ブラザー職業用が薄地に強いと言われる大きな要因となている、下針送り。
ベルベットなどを縫う際に縫いずれを防ぐ機構なのですが、送り歯調節のレバーをベルベット用のところにあわせれば針板の穴から針が出てきます。
ヌーベルクチュールという名前どおり、衣服制作での使い勝手を十分に考慮された職業用ミシンと言えるでしょう。

◆標準押えが分割式。
横から見ると押えが前後に分割されています。
他の職業用はこの部分は普通につながっています。
ブラザー・ヌーベルは下針送りにも対応するように分割式になっているようです。

◆上糸テンションダイヤル
目盛がないので、一度普通地で標準値を設定したら、そこから自分の勘を頼りに強くするか弱くしていくという使い方になると思います。この点が他の職業用に比べてやや難しい点です。
（これよりも新しヌーベルは目盛が入っています。）

それ以外の点では他の職業用とそれ程変わりがありません。

音が静かで低速運転もしやすく、加速・減速もなめらかでフットコンの操作がかなりしやすいです。シュプール25やベビーロック・エクシムプロよりも滑らかです。
ただしこの旧型ヌーベル（TA3-B627）は電動ミシンです。針の停止位置が一定ではなく、指定もできません。この後の型や現行のものは他社と同じく電子ミシンで針上下ボタンや自動糸切機能もあります。

現行のヌーベルクチュールは使っていないのではっきりしたことは言えませんが、音は静かだと聞きますし、厚地をメインで縫わないなら、職業用の中でヌーベルを選ぶのもいいと思いました。
鞄や革など厚地をあまり縫わず、衣服制作をするなら、薄地にも強く、あらゆる生地を綺麗に縫ってくれることでしょう。